2018年12月2日日曜日

2018/11/24日 自分を見つめ直す@四阿屋山

近々行こうと思っていた四阿屋山のつつじ新道。
結果から言うと撤退です。
通ったことのある人からすれば「あんな程度も登れないの?」と笑われるかもしれない。
然り。
ただ今回は色々と考えるきっかけにもなったので、恥をしのんで記事にします。



去年まで池袋に住んでいたので。
秩父へ行くとなれば当然西武線を使うという考えでいたが。
乗換案内で検索すると、高崎線の熊谷から秩父鉄道への乗り換えをサジェストされる。
広域の地図で見ると、たしかに飯能経由でも熊谷経由でも距離的にはさほど変わらない。
熊谷駅から秩父鉄道に乗るのは初めて。



秩父鉄道熊谷駅のホームの自販機。
食べ物系が色々とある。
かつての有人のキオスク売店の代わりなのだろうか?
カップラーメンがあるが、お湯はどうするのだろう?



三峰口駅でのバスへの乗り換えは10分
温かい立ち食いそばでも喰いたいところだが、10分では厳しいので、代わりにみそポテトを買って食べる。
みそポテト、非常に素朴な食い物だよ。
お腹が空いていればおいしいというか。
正直これまで「とても美味しい」と思ったことは無い。
むしろ遊びに出かけたときなどは美味しいものを色々食べたいものなので、お腹の膨れてしまうみそポテトは敬遠しがちというか。
それでもここの立ち食いそば屋で売ってたみそポテトは、衣がザクザクしていて、タレもくどすぎず、今まで食べたものの中では一番おいしかった。



三峰口駅から日向大谷へ向かうバスの、道の駅のいくつか手前の小森バス停で降りる。



つつじ新道の登山口は大堤バス停で、ここから白井差口行きに乗り換えなのだが。
どうにも乗り換えが悪い。
8:46のバスに乗ろうと思うと、始発で自宅をでて、ここで40分待つ必要がある。
11:12のバスならばここで待つのは20分程度だが、山に行くには時間が遅すぎる。
なにより大堤バス停はここ小森から2km程度。
それならば歩いたほうが話が早い。



というわけでここから車道を歩く



途中、斜面の畑にバナナの木を見つけた。
陽はあたる場所だが、山間の寒いここでよくもまあここまで大きく育ったな。



大堤バス停



ここがつつじ新道の登山口にあたる。
ちゃんと標識もある。



道は急だが、踏み跡はしっかりついているし、案内標識もある。



尾根にあがる



ここだな?



重ねての警告



警告看板の後ろから鎖場が始まる



最初の鎖はどうということもない。
手すりの代わりのようなもの。



最初の鎖を登ってすぐ所に噂のアレはあった。
ルンゼ状の岩壁
多くの人が「垂直」と表現しているが、見た所70度くらいだろうか?
高さは5m程度。

これなら行けそうだ、と一目見て思った。
鎖を掴みながら、まず右手の足がかりに立つ。
そこから左足を足がかりのない岩壁に押し当て、鎖をしっかり掴みながら体重を左足に移していくと、「ズルッ」と左の靴底が滑る。

ここまで傾斜が高いと、足で支えるのは無理か。
となると、腕力だけで身体を引き上げるしかない。
両手で鎖をつかみ、気合を入れようとしたとき、脳裏に疑念が走る。
「本当に行けるのか?」
「途中で腕が痺れてしまわないか?」
「靴底が滑って、垂直にぶら下がる事にならないか?その瞬間に腕力で支えられずに墜落してしまわないか?」

数秒、しかし主観的には随分と悩んだ。
(今の私にはまだ無理だ)
(余裕を持って通過できるよう、鍛え直してからまた来よう)
そう判断して引き返すことにした。

臆病にすぎるかもしれない。
小さな無理は押し通さないと先に進めないという事もあるとは思う。
ただ運動音痴で身体を動かすことを何もしていなかった男が30歳から独学で山歩きをしながら、怪我を全くしないで来れたのはこの臆病さのおかげでもあるのは確かなんだ。



さっきの分岐を山居方面にトラバースしていく



ところどころこういう石垣の跡があるのは何なのだろう?
かつて山畑でもあったのだろうか



分岐から山居への道は少々荒れ気味



山居というのは……
ああ、普通に民家があるのか。
山間の、沢沿いは日当たりも悪く、風も冷たく冬は寒い。
日照を求めて山の南面の中腹に家を構えたのだろう。



その民家の裏まで来たとき、思わず声が漏れる。
武甲山を西から望み、秩父盆地を囲む山並が開ける。



山の南面の中腹をぽっかりと切り開いた場所。
なんとも気持ちのいい場所だ。
ここを目的地のピクニックにしても良いくらいの。



山居から少し上に展望台がある。



ここもまずまず


この屋根、杉板だ



両神神社奥宮
ここまでは初心者でも安心なコースだが。



ここから山頂までは岩場になる



とはいえ、殆どはこういう類の鎖場なので。
鎖は触らずとも普通に歩いて登っていける。



山頂直下の標識に「大堤」の指示がある



つつじ新道を登ってくるとここで合流する。



最後のひとのぼりで



四阿屋山到着



方位盤



両神山が見えます



非常に狭い山頂ではあるが、山頂標識の右後ろをちょっとだけくだるとベンチが二つある。
ここでお昼にしよう。
サーモスの500mlボトルにお湯を入れてきたが、これ保温性能がちとイマイチなんだ。
5時間前に熱湯を入れてきたというのに、もう飲み頃(80℃くらい?)にまで落ちている。
それと去年使って以来だけど、コーヒーの匂いが染みついて残っている。
帰ったらちゃんと塩素漂白しないとだめだな。



降りる前に今一度、両神山と



二子山を眺める。



ヒョイヒョイと降りていくと、前を行く老夫婦に追いつく
追い抜けるような場所もないので、圧迫せぬように10m位の距離を保っておく。



奥さんのほうがだいぶへっぴり腰で、鎖を掴んで恐る恐るといった感じだ。
ああ、そうだ、思い出した。
私が初めてこの山に来たのは山歩きを初めて割と初めの頃だった。
今はどうとも思わずに歩いているこの道も、鎖を掴みながら内心ビクビクしながらだった記憶がある。

私は別に……ピッケルの要る雪山登山とか、ザイルの要るクライミングとか、ハードな登山へと向かうつもりは無い。
すっかり山の虜になった今でもそういうのは求めていない、と思う。

ただはからずも「かつての自分」を目の当たりにすると、ここ何年かの成長は確かにあるのだと感じられ、
それならばストイックに山を続けていれば、あのルンゼ状の鎖場だって余裕をもって越えられる日はくるだろうか。

そんなことを考えつつ、両神神社奥宮で道を譲ってくれた老夫婦に会釈して先を行く。



下りはまだ歩いたことのない、北側のコースで降りてみよう。
落ち葉が厚く積もって、テープがないとちょっと見失いそうになる。



薬師堂に降りるはずだが。
柏沢というのは?



なるほど、日向大谷に向かう途中の集落か



途中、高架鉄塔があった
周囲が伐採されているので眺めがいい



南東側、武甲山方面



北西側、二子山方面
二子山へ連なる右手の巨大岩壁、すごいな
あんな山があったのか



いつもの



今年は暖かい秋だった
そのためか紅葉の見頃が図りづらく、あっという間に山から降りてきて、あっという間に終わろうとしている感じだ。



途中こういう標識が沢山ある
山の標識で「山道」と書いてあればそれは作業道であって登山道じゃないぞ、という意味だが。
このルート上の「山道」は言われないと存在に気づかないような薄い踏み跡ばかり。
山仕事する人の目印であればテープで済ます所だ。



下山口付近に何やら中華なあずま屋



下山完了
鳥居山コースというのか



本日のゴール
道の駅両神温泉



露天風呂こそないものの、広い館内でのんびりくつろげる。
湯上がりにコーヒー牛乳でも飲もうかと思うと、牛乳の自販機がなぜか2台ある。
片方は明治の、もう片方はこれ。

以前顔振峠の平九郎茶屋で飲んだサイダーが小鹿野の戸田乳業の地サイダーだったっけ。
あの戸田乳業か。
ではあのサイダーもあるかな?と探したが、サイダーは売ってなかった。



なので食堂で麦のサイダーをいただく。
蕎麦もなかなかおいしい蕎麦ではあるが、それ以外のメニューは少ない。
道の駅の周辺にわらじカツのお店とかもあるので、食事はそっちでもいいかもしれないな。


道の駅から三峰口駅へ向かう小鹿野町営バスは乗客が私一人だけの貸し切り状態。
池袋への電車の乗り換えについても教えてくれ、親切な運転手だった。
朝、来る時に日向大谷へ向かう他の登山者も言っていたが、非常に運賃が安い。
民営バスであれば通常1時間も乗っていれば1000円はする所、ここは半額。
町民の税金で運営しているバスを行楽客ばかりが利用している状態だとなんだか申し訳ない。
せめて地元にお金を落とそうという気持ちになる。
そんなとき、登山口に温泉・食堂・物産販売がセットになった施設があると、とても利用しやすい。



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というわけで今回は久々の敗退。
だが新しい目標が出来た。
これまではバテずに歩き通せる体力を求めていたが、これからは上半身の腕力も鍛えていかねば。

早速翌日に近所の体育館のジムに行き、ウェート系のマシーンを端から順に試す。
この手のマシーンの良いところは全身まんべんなく鍛えられる事であり、
普段の生活では使わない(普段の山歩きでは使わない)筋肉の存在を理解できる事かな。
上半身のマシーンにしても、ある動作では50kgのウェートをこなせても、
別のあるマシーンでは20kgでつらくてプルプルしてしまう。

さらにその翌日は、味わったことのないへんてこな筋肉痛になった。




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