2019年6月5日水曜日

2019/5/31金~6/2日 東京都の最深奥@長沢背稜

1.長沢背稜へ
2.計画
3.1日め
4.2日め
5.3日め
6.反省点



1.長沢背稜へ
山登りを初めて最初にかった地図・ガイドブックがヤマケイアルペンガイドの『奥多摩・奥秩父』だった。
それを参考に奥多摩の低山を日帰りであちこち登っていたっけ。
奥多摩のいろんな山が紹介されている中で、特に厳しい……登山口からの所要時間が長く、山深いと思われたのが長沢背稜の山々だった。
雲取山から北へ、芋ノ木ドッケ
そこから北東へ長沢山・酉谷山
そこからさらに東へ尾根は続くが、つまりは雲取山を起点とした東京都と埼玉県の境界の尾根のことだ。
いつかはあるきたいと思いつつもなかなか機会がなかったのだが、
たまたま3連休にできたのと、一度日原から三ツドッケまで登って心理的なハードルが低くなっていたので。
思い立ったが吉日、行ってみる。




2.計画

・5/31金
0745 四谷
0828 立川(朝食)
0856 立川2番線奥多摩行
1005 奥多摩 1080円
1015 奥多摩駅 奥20日原鍾乳洞行
1039 東日原 460円

東日原バス停
↓2:45
一杯水避難小屋
↓2:25
酉谷山避難小屋
↓0:15
酉谷山

・6/1土
酉谷山避難小屋
↓2:25
長沢山
↓1:45
芋ノ木ドッケ
↓1:20
雲取山荘

・6/2日
雲取山荘
↓0:35
雲取山
↓1:35
七ツ石山
↓0:20
千本ツツジ
↓0:50
赤指尾根分岐
↓2:00?
1104ピーク
↓1:25
留浦バス停

留浦からのバス
1150小菅、1221丹波、1347丹波、1445鴨沢西、1604丹波

コースタイムは守屋地図のもの。
ヤマケイアルペンガイドで長沢背稜の山が異様に厳しいコース設定なのは、
「避難小屋を計画利用しない」という建前を通しているため、日原からの日帰りか、一日で雲取山荘まで行く設定にしているため。
私の脚力からいっても現実的ではない。酉谷山の避難小屋を使わせてもらう。
当初始発のバスで日原に8時半頃の到着で考えたが、酉谷山避難小屋まで5時間10分。
ちと到着が早すぎるかな?と思い直し、次のバスで計画しなおす。
平日はバスが少なく、次のバスだと10時半頃になるが。
陽の長い時期のこと、問題ないだろう。



3.1日め
東日原バス停~一杯水~酉谷山避難小屋

立川駅の長田本庄軒で朝飯
ついでにほまれ屋でおにぎりを買っておく


 平日に奥多摩に来るなんて3年か4年ぶりくらいだろうか。
ホリデー快速がないと、奥多摩は遠く感じるなあ。


 日原方面へのバスは、平日は鍾乳洞まで行く。
東日原で降りたのは私ひとり。
他に老人グループが5.6人いたが皆鍾乳洞に行くのだろう。
こんな時間だしね。



 郵便局と駐在所の先から入る


 前回間違った場所
車道ではなく、左手の石垣の上を行く




 人の通らぬ山道になぜか灯いている電灯



 2軒ある民家の脇を抜けて


 配水所の前で身支度をする。
ここから急登になる。

ここから一杯水までは前回(2018/7/8)歩いたのと同様





 TV中継アンテナの場所が倉沢見通尾根との合流点。
かなりヤブい感じだ。


 ヤマツツジ


 足元に青いモミジが


 見上げれば新緑も色濃くなってきた


 今回こういう倒木が多かった。
くぐるには低く、またぐには高い嫌な倒木。
ザックが小さければくぐってもいいが、テント泊装備の70Lザックではな。


 オレンジのヤマツツジと、ムラサキのミツバツツジ




先週体調不良で安静にしていて体がなまったからか。
あるいは久しぶりのテント泊装備で荷物が重いからか。
どうにも調子が上がってこない。
ヨコスズ山を越えたあたりから疲労感で脚が重い。
時間は早いが、今日はもう一杯水避難小屋に泊まってしまおうかな、と考え出す。
だが一杯水避難小屋が見えてくると……
10人くらいの若いあんちゃん達がテントを張って騒いでいるではないか。
小屋の中も使うようだ。
これはかなわんなあ。


 ひとまず水を汲みに行く


 石の鉢は底に穴が開いていた。
水はホースではるか上の方から引いてきているみたいだが、
その上の方から古い自転車のブレーキのような異音が聞こえてくる。
ポンプか何かを動かしている?のだろうか。

 コースタイムより30分も余計にかかっている。


 ひとまず小屋の脇に座って遅い昼飯にする。
仕方ない、予定通り酉谷山避難小屋まで行こう。



 三ツドッケ西の合流点。
ここからは未知のルート。


 道はなだらかではある。


 林業の標識になにやら書き込みがある
イタガタノミネ?


 ああ、板形と書いてハンギョウと読むのね。




 いまひとつ調子の上がらない体でもくもくと歩く。


 道がVターンのようになっている。
正面にも道が続いているが、これは?


 バナド岩?


 ちょっと見ていこう。


 石尾根がなかなかの眺め。


 このあたりから、白いツツジも出てくる。
アシタカツツジ?シロヤシオ?
ちょっとよくわからない。


 少し傷んだ桟道。
一番手前の橋が少したわむ。


 通過してから振り返る。
崩れた以前の橋がそのままになっている。
このあたりの都県境の尾根は岩尾根で通行が困難。
巻道もこのような桟道にならざるをえないのか。



 七跳尾根との交差点で休憩。
小屋まであと1時間だが、すでに15:50
14時半に一杯水を出てから1:20経過している。
概ねコースタイム通りではあるが、荷物の重さが堪える。
休憩してから立ち上がると、雨が降り出した。
もういっそそのへんの平らなところでテントを張ろうかとも思ったが。
雨の中での設営や撤収は嫌なものだ。
カッパを着込んで小屋へと向かう。




 十字路の標識
ここから下を見れば、


 ようやく着いたか。
ちょうど17時頃の到着。
小屋には先客が2人いた。



4.2日め
酉谷山避難小屋~酉谷山~長沢山~芋ノ木ドッケ~雲取山荘

私もまあ、人のことは言えないのかもしれないが。
平日に避難小屋泊まりしているソロの中年男性はちょっと変わった人というか。
一人は2時半頃に起きてラーメンを作ってズルズル喰いだして、3時半頃までずっとガサガサゴソゴソとうるさかった。
4時近くになって出発していっただろうか。
もう一人はその人を寝ながらうるさく感じるのか、時々ビクッと動いては寝袋のままで間にいる私を蹴っ飛ばす。
そのもう一人も5時前には出発していっただろうか。
半分起きて半分寝ているような塩梅だったが、5時頃からようやく安眠できた。


 6時頃に起きて、荷物を整理してから朝飯にする。


 出発する前に水を汲んでこよう。
水場はどこかな?と下へ少し下ると、チョロチョロと水音が聞こえる。


 音のする方を覗き込むと、ルート上ではない藪のなかになにやらパイプが見える。
踏み跡の柔らかい斜面だ。
一度小屋に引き返し、サンダルではなく靴を履いて、両手があくようにザックでくる。


 その藪の中に入っていると、
なにこれ?
黒い蛇腹パイプが這わせてあり、その中から水音がする。
パイプははるか下の方にまで続いている。

朝食でたっぷり水分摂取したとはいえ、残りの水は1L。
雲取山荘まで持たせるのはちょっと危うい。
なんとかして水を確保したいが。


 小川谷へ降りる道を少し下って、この朽ちた標識の場所から水平移動するように、パイプのある方へ向かってみる。
踏み跡は、だいぶ怪しいものの、あるっちゃああるのだ。


 見えた!
ようやくパイプの終点が。


 やれやれ、ようやく水が得られた。
このパイプ小屋から30~40mは道なき山肌を這っていた。
なぜこんな場所にまで持ってきているのだろう。


 水を汲んで小屋に戻ってくる。
と、ふいに違和感を覚える。
おわかりいただけるだろうか?この写真の左下。
町中の側溝の蓋のようなものがなぜ山中に?
瞬時に理解して、中を覗き込む。


 水場があった。
小屋の眼の前にあったのだ。
私がずっと追った黒い蛇腹パイプはこの水場からの排水パイプだったのだ。


 以前にしいれた知識が線で繋がりだす。
この酉谷山避難小屋は、見ての通り奥多摩の中でも一番小さい小屋で。
山の斜面にどうにかこしらえた小さな敷地に建っているのだが。
土地の崩落の危険があることから利用の自粛を呼びかけている、という話だったか。
水場の水をわざわざパイプで何十mも下で排水しているのは、水で地面がゆるんで崩落を早めないようにするためなのだろうな。



 とんだ時間のロスだったが、ともあれ7時過ぎに出発。


 長沢背稜はピークを巻くように東京側にルートがあるが。
酉谷山と長沢山はピークを踏んでいく。
まず上へ。


 稜線上にでる。
小屋がいっぱいだったとき、テントを張れそうな平らな場所が2つくらいある。
もっとも風が強そうだが。


 上空は晴れている。


 酉谷山到着


 守屋地図で15分とあるが、30分かかったぞ。


 酉谷山は南面が良い眺めだ。
左手遠くに大岳山が見える。
するとその大岳山の鋸尾根を下った場所に、奥多摩駅や氷川の町があるはずだ。
幾重もの山並みの向こうに、見ることはできないが人の生活する世界があるのだ、と思うとき。
ようやく山と心が一つになれた気がする。
これこそが深い山へ登る醍醐味だろうか。


 酉谷山を西へ下る。
赤破線コースだが、特に不明瞭や危ない場所はない。


 巻道との合流点


 正面の登りにも踏み跡は見えるが、


 ここは左手へ。
水平に巻いていこう。


 なだらかな美しい森だ



 タワ尾根との交差点で小休止


 左手に採石場がみえる。
こんな奥地で……って、あれ?
小川谷林道はもうずっと通行止で工事をしていたはずだが。
ということは小川谷林道が復旧しないことにはこの採石場も稼働できないということか。


 稜線上にヘリポート。



 もくもくと歩くが、昨日同様ペースが上がらない。



 水松山の西の分岐
南のルートはピークを踏むことになり、アップダウンが大きそうだ。
楽そうな北のルートを行く。


 標識はふんだんにある。


 長沢背稜のコースは、都県境上か、あるいは東京側に巻くようにルートがあるが。
ここだけが例外で埼玉側を巻く。


 都県境に復帰





 長沢山へ到着
ここも例の新しい標識になっていた。


 避難小屋からここまでコースタイムで2:25だが。
すでに3時間半弱経過している。
おかしい。
いつもなら守屋地図のコースタイムの7~10割程度で歩けているはずなんだが。
いくら荷物が重くて調子が悪いとはいえ、こんなに時間がかかるとは。


 長沢山は展望はあまりない。
木の合間から除く眺めも日原の奥地の山々で遠くまでは見えない。

腰をおろして行動食を食べながら思案する。
ここから雲取山荘までコースタイムで3:05
ここまでの調子で4:30くらいかかると仮定すれば、11時にここを出て雲取山荘着が15時半か。
是非もなし。
15時半までかかるものという前提で、15時半まで歩き通せるペースを維持しよう。


 長沢山から西へ少しくだると、これから向かうピークが見える。
埼玉側から雲が湧いてきている。
じきにここも雲の中になるだろう。


 手前のピークが小屋背戸の頭
奥のピークが芋ノ木ドッケ
その右手が白岩山か




 特になにもない仏小屋の頭
だが、



 このあたりからシャクナゲが群生している。


 そして仏小屋の頭から小屋背戸の頭への急登が今回の山行で一番きつかった箇所。












 岩と木の根の這った急登、そしてシャクナゲ
休み休みしながら少しずつすすむ。



ようやく小屋背戸の頭に到着。疲れた。


 埼玉側も

 東京側も真っ白になってしまった。


 芋ノ木ドッケへはなだらかな道が続く



 とはいえずいぶん森が荒れているな


 芋ノ木ドッケへ到着


 シカチャンがお出迎え


 長沢山からは概ねコースタイム通りで歩けている。
ようやく調子が上がってきた感じだ。



 二軒小屋尾根への分岐は通せんぼしてある。


 大ダワ方面へ、南へ下っていく。
急斜面の下りで妙に踏み跡が薄い。
不審に思うも急斜面を下った先は踏み跡が明瞭なので、ほっと一息ついて歩き出すも。
歩いていく方向が妙に東へ向かっている様な気がしてGPSを見ると、


 あ、だめだこれ。
コースを外れた別の踏み跡だ。
急斜面を登り返す。


 三峰神社から雲取にくると、芋ノ木ドッケのピークは踏まずに西側の巻道を下ってくることになる。
そのルートとようやく合流した。
ここからは既知のルート。
安心したら急にお腹がすいてきた。


 それにしても。
避難小屋を出てからここまで、人間には一人しか合わなかったな。
鹿には3頭出会ったけど。


 大ダワ。
男坂を登るつもりだったけど、重い荷物に疲労もあるし、おとなしく女坂を登る。


 雲取山荘到着
雲の中だ。
テント受付に缶ビールももらって1000円。


 14:51着
小屋背戸の頭を過ぎてから、ようやく調子が出てきた。
遅すぎる。


 小屋近くに平らな場所が一つ分あったが。
一足違いで別の人に取られてしまった。
男坂と女坂の分岐近くにまで下ってきてテントを張る。
ハンマーで打てばアルミのペグでもささる、程よい硬さの地面だ。

土曜日とあってテント泊の人がぞろぞろくる。
雲取ヒュッテ跡地の方にまで団体さんがむかっていた。


 最近流行りの高級フリーズドライを試す。
アマノフーズは噂通りの旨さ。
味の素はなんというか、キノコの具材はいいが、味のベースが永谷園の朝餉昼餉夕餉っぽい。いや、悪くないんだが値段相応の価値を感じないというか。


 携帯の電波を求めて山荘前にやってくる。
長沢背稜はずっと圏外だった。
山荘前はつながるはずなのだが、今ひとつ電波が悪い。
雲の中だからかな?






5.3日め
雲取山荘~雲取山~鴨沢コース~鴨沢バス停



 5時半ごろ、テントを撤収。
山荘前で水を補充して身支度も済ませる。


 当初の計画では千本ツツジから赤指尾根を下るつもりだったが。
疲れてしまったのでいつもの鴨沢コースで降りよう。
それでも久しぶりだし、雲取山のピークは踏んでいこうか。




 ようやく山頂、森を出るというところで小雨がぱらつく。
慌てて森へ引き返してカッパを着る。


 が、小雨はすぐに止んだ。
山頂は案の定360℃の真っ白さ。


 雲取避難小屋のトイレを修理している。


 山梨県の標識も確認


 ブナ坂を下る。
いつもなら気持ちのいい開けた尾根歩きだが。


 閉鎖された奥多摩小屋
テント場は念入りに「テント禁止」の立て札があった。


 堂所下の水場
冬と違って景気よく水が出ている。


 水切りが泥で埋まっているようなので。
ストックの先でほじくっておいた。


 9:28に小袖の登山口


 あれ?9時台の丹波山からくるバスって9:51だっけ?
少し急げば間に合いそうだけど……


 バスは数分遅れていたみたいで
9:53に鴨沢バス停に降りてきた私の目の前にやってきた。
走れば載せてもらえただろうが、あえて見送る。

次のバスは10:18だし、山の休憩所かえるに寄ってみたかったんだ。
雲取山頂でコーヒー豆をガリガリ挽いている人がいて。
美味しいコーヒーを飲みたくなっていたのもある。
時間をかけて淹れてくれたコーヒーは疲れた体に染み入る旨さだった。



6.反省点

 1日めの心拍数

 1泊目の睡眠

 2日めの心拍数

 2泊目の睡眠

3日めの心拍数

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今回、2日目の昼過ぎまでどうにも調子が悪かった。
体調はその時々の良し悪しはあるが、納得行かない。
荷物が重くて急な登りで時間がかかったのはわかるのだが、その疲労の仕方がちょっとおかしかった。

最近の筋トレの成果か、重い荷物でも脚がしびれるということは無い。
脚の筋肉は鴨沢に降りて時点でもまだまだ余裕はあったのだ。
スマートバンドのデータの通り、心拍数も140くらいに抑えて息切れをしないようにしていた。
それなのに。体の芯からじわーっと湧いてくる様な疲労感で体が思うように動かなかった。
これは単純にスタミナが足りていないのだろうか。
筋トレだけじゃなくて、持久力もつけないとだめなのかな。