2019年10月27日日曜日

2019/10/26土 登り尾根を下る

本当なら今回のタイトルは
「フロアレスシェルターを試すその3@雲取山」
になるはずだったのだが。
予定を変更して日帰りで降りてきた。
その理由は本文中で。


長らく断水していた奥多摩町は数日前にようやく水道が復旧した。
それでも数十年に一度レベルの水害の爪痕はまだあるらしく。各所で登山道が通行止めになっていたりする。
そのためか登山者も少なめで。
ホリデー快速1号は青梅の時点でもう座席がまばら。
奥多摩駅から丹波行のバスも増発1台のみ。


 鴨沢バス停で準備。
いつものように缶コーヒーを飲んでカフェインを入れておこうと自販機の前に立ち……
財布に万札しかないことに気づく。
いけね。くずしておくのを忘れてた。
コーヒーが飲めないのはいいとして、テント場代を万札で払うのも申し訳ないなあ。


 バス停のすぐ上手あたりまで、土砂?


 いつもの小袖登山口。
ここまで若干の倒木とかはあったが、特に危険個所はなかった。
今日は高校の山岳部もきている。
静岡県の高校のゼッケンをザックに縫い付けてあった。


 堂所手前の水場。
バシャバシャでている。
ここで水を汲んで最初の休憩。

休憩しながら、ふと重大なことを思い出す。
雲取山は今、キシャヤスデが大量発生しているそうな。
7年か8年に一度地中からでてきては繁殖を行うと。

実は私、前回の大量発生時を見ているのだ。
始めて雲取山に登った時がそれで。
地面一杯の虫に辟易した。

って、あれ?
今日私が持ってきたのはフロアレスシェルター。
キシャヤスデが大量発生している地面に、敷物一枚だけで寝ると?
いやいやいや

雲取山荘まで行ってみないと実際の状況はわからないが、そこまで行ってからでは下山できない。
うーむ。
今日はやめとこう。
ひとまず堂所までいって、そこでお昼を食べる。
もう少し、七ツ石あたりまで登ってもよいが。
それよりも別に行ってみたいところがある。


 それがここ。
いわゆる鴨沢コースは登り尾根の東側を緩やかに巻きながら堂所まで高度をあげる安全な道なのだが。
実は尾根上にも踏み跡はあるらしい。
前から気になっていたこのコースを行ってみよう。


 堂所からはいってすぐ。


 踏み跡はあるし、四角い石の境界標識のようなものもある。
山仕事の人が頻繁に歩いているようだ。


 小屋
2軒並んでいる。
手前の小屋は古いが、奥の小屋はきれいだ。


 地図で見たときは廃屋かとおもったが。
現在も山仕事の人が使っている小屋なのだな。


 思ったほど藪も濃くはない。


 倒木も多少はあるが、支障はない。


 でっかいサルノコシカケ


 ぽつぽつ紅葉もみえる。


 完全に尾根上のルートなので細かいアップダウンはあるが、
ここが最高点。


 踏み跡が薄い場所もあるが。
基本尾根上を行くので迷いようがない。




 いつも休憩する水場の上がここか。




 広いこぶに出る。


 片倉谷へ下る分岐の場所だ。


 でも赤テープなんてないな?
そして踏み跡はほぼないし、降りていくのは難儀な急斜面だ。

多分「こっちに行く踏み跡がある」ではなく、「間違えてそっちに行くな」という趣旨で分岐を地図に載せたのだろうか。




 1214ピーク
手製標識があった。


 くだる。


 ふいに尾根が広くなる。



 地図でみてもしばらくは尾根が太い。
丹波山的に表現すれば小袖天平(でんでぇろ)だろうか。





 小袖山。
さっきのと同じ手製標識。


 鴨沢ルートでいえばもう廃屋よりも南だが。
まだ1000mもある。これからくだりだ。


 広かった尾根も再び細くなる。


この先、下りが急斜面になったあたりで不意に踏み跡が薄くなる。
土も妙に柔らかい。
ルートを外したかな?とキョロキョロ見回し、GPSでも確認したが、そういうわけでもなさそうだ。
単純に傾斜が急なのと、歩ける幅が広くて踏み固められていないのだろう。

ゆっくり気を付けて歩いていたつもりだが、突然右足がずるりと取られる。
転んでしまった。
体は別に異常ないが、


 妙な体重のかけ方をしたせいか、右のストックをへし折ってしまった。
登山者の得物ともいうべき相棒を。
買ってからだいぶたち、手首にかけるテープも毛羽だって、締めるときに引っ掛かりが出るようになっていた。
そろそろ買い替え時かな?と感じてはいたがこんな風に壊してしまうとは。

片手ストックで気を付けて下っていたが、さしたる間を開けずに今度は左足がすべる。
落ち葉の下に隠れていた杉の枝が濡れていてその上に足を置いたようだ。
今度は肘を少し擦りむいた。
イテテ。

2回も転ぶのなんていつ以来だろう?
さすがに懲りて慎重に降りて行ったが、またしても足を取られる。
妙な転び方をして、左足のすねの筋肉を攣りかけた。
しばし立ち上がることもできずにうめく。


 振り返って。
そこまで急な斜面でもないし、表面は乾いているように見えたが。
踏み跡がなくて土が柔らかく、表面(落ち葉)の下はまだまだ水を含んでいたようだ。


 車道が見えてきた。
小さな小屋がある。


 あまりにボロボロの身なりを、ここで最低限ととのえる。


 ようやく。小袖乗越に降りることができた。

鴨沢バス停に降りてきて、次のバスは50分後。
着替えはあるが温泉の後で着替えたい。
水道でタオルを絞って顔を拭き、ズボンの泥をぬぐう。
ジャージの上は着ずにザックに入れていたので汚れていない。
これを腰に巻いてごまかすとしよう。


 まだ時間があったので、鴨沢バス停のところの食堂?木漏れ日で一杯。


 小腹がすいていたのでかけそばも。
留浦の島勝にいこうか迷ったけど、結果からいえば島勝はお休みだったのでこっちで正解。


 バス停にゃんこども。
登山者が猫にあげられるような食べ物を持っている可能性は低いが。
ここのにゃんこは人懐っこい。


 バスの中から。
小河内ダムはまだ茶色の水を吐き出している。


奥多摩駅前からもえぎの湯に向かう途中、下の河原をみるとテントが張られている。
氷川キャンプ場は月内休業と聞いていたが。
水道が復旧したことで営業再開したのか。

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いやー今日は散々な目にあった。
でも全部自分が悪い。
記録的台風の爪痕がいまだあり、昨夜もまとまった雨が降った後のマイナールートに踏み入れるとは。
このところあまり詳細な下調べをせずに行ったりと、山をなめているのかも。
自戒せねば。


2019年10月20日日曜日

2019/10/19土~20日 フロアレスシェルターを試すその2@巾着田

前回フロアレスシェルターを試した時
https://yamatabinokiroku.blogspot.com/2019/09/201992829.html

またテントのフライだけを試した時
https://yamatabinokiroku.blogspot.com/2019/10/20191056.html

いずれも「フライと地面との隙間から吹き込む風をどうするか」
という課題が残った。
隙間を埋めるスカート、冬用のフライシートについているスノースカートのようなものが要る、と感じていた。
色々調べてみると、これは主にファミリーキャンプの世界でだが、
ブルーシートを切ってクリップで留めて冬の冷たい風の吹き込みを防ぐ、という対策があることを知った。
登山用テントでやっている例は見つからなかった。
(ガチの冬山をやる人なら、当然冬季用のテント・フライを買うだろう)
けれどこれはいいアイディアだ。
なるべく薄くて軽量で、防水性と耐汚性のある素材で、でもあまりペラペラでもなく多少のコシもある布状の物はないか……
ホームセンターをうろうろしてみて、結局シャワーカーテンに目をつけた。
これを30cm幅に細長く切って、クリップで留めるか、ビニル用両面テープで張るか。
初回なので様子見で、クリップで試してみよう。

そんなことを考え、準備していたのだが。
土曜日は午前中まで雨。
昼からは晴れるが山に登るには遅い時間だ。
いっそどこか麓のキャンプ場でもいいかな?と調べるも、
氷川キャンプ場も川井キャンプ場も先週の台風の爪痕からまだ復旧せず休業中なのだと。
それならば。
いつか試そうと思っていた巾着田の河原に行ってみよう。
あそこは無料でキャンプが許可されているらしい。
(曼殊沙華の時期と年末年始は除く)
ただそこでテントを張った人のブログなどを読むと、大きな石まじりでペグが打てないという。
それならばと重くてもソリッドステークと金づちも持っていく。

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昼頃に家をでて、池袋から西武線に乗る。


 高麗駅を出て高麗川の橋を渡る。
まだまだ水も多く、濁っている。
だが向こうの河原にはテントがみえる。


 河原に降りていく。
手すりに草がからまり、先週の台風の跡が残ったままだ。


 石垣が崩れいていたり。


 川近くの彼岸花も洗われてしまった。


 そこそこすでにテントやタープが張られている。
駐車場のすぐ下なので大きなやつがおおい。
河原の上流側は大きな石が多く、小さな幕は張りにくそうだ。


 奥(下流側)へ行くと大きな石も少なく、土が見えている。
周囲も小さい幕なので、ここにしよう。


 石まじりの固い地面に備えて鋳鉄のソリッドステークと金づちを持ってきたが……
まいったな。
ここ土というよりほぼ砂だ。
ペグが手だけでやすやすと全部刺さってしまい、ぐらつく。


 とりあえず張ってみたが、まるでダメ。
ちょっとゆすっただけでペグが抜けてしまう。
糠に釘だ。
これは大きなプラペグが要るな。


 中のストックを少しずらすことで、寝る側の幅を広くすることができるが。
これをやるとずらした側のペグにより強い力がかかる。
うーむ。


 下流側にもっとましな場所はないか、偵察がてら散策する。


 曼殊沙華公園もこのありさま。



 川近くは特にひどい。
砂地のように見えるが、ここは元々曼殊沙華が咲いていた場所のはずだ。



 いくらかマシそうな場所もあったが大差はなく、そもそも張っていいのは駐車場の下の河原だけのようだ。


 奥のトイレのとこのイベント時用広場。
ここに張れればいいのだが、まあそういうわけにもいかない。


 ドレミファ橋。


 写真だとわかりにくいが、これを渡るのはちょっと嫌だ。
まず足首まで水に浸かるので、ミドルカットのブーツでも水没する。
濡れた木の橋なので滑りやすいだろう。
明日この橋を渡って宮沢湖に抜けて、温泉に入りつつムーミンテーマパークとやらを偵察しようかと思っていたが。
無しだ、無し。



 流木を見ていて気付く。
そうだ、適当な太さの枝を40~50cmくらいに切って、ずずっと差し込めば砂地といえど安定したペグになるんじゃないか?


 流木から適当な奴を折ってきた。
(生えている木の枝を折るようなマネはやめようね)


 40cmくらいで折って、ナイフで先をとがらせる。


 ソリッドステークを抜いて、代わりにぐぐっと差し込む。
さらに石で叩いて限界まで打ち込めば、
うん、いい感じだ。


 反対側も。
私は「登山にナイフは不要」と考える派で。
せいぜい細引きを切るのに小さな刃物があれば充分。
だから道具袋にもビクトリノックスのスーベニアを入れているだけだ。
刃渡り5cm程度のブレードと、その半分位のブレードのみの極めてシンプルなやつ。
でもそんなやつでもあるのと無いのとではいざという時の応用力が違うな。


 うん、びしっとテンションかかった状態になった。

さて、予定ではここからスカートを取り付けるつもりだったのだけど。
木の枝もろともループを砂地の地面に押し込んだからか、フライと地面との隙間がほぼない状態になってしまった。
もとよりここ、あまり風もないし……
もういいや、これで。
スカートを試すのは次の機会で。


 交差点のとこのセブンに買い物に行こう。
しかしテントを張ってからコンビニに行くってのも妙な感じだ。

いつの間にかテントも増えている。
でかい幕が多いが、山岳用のテントもいくつかみかけた。


 巾着田はコスモスが咲いていた。


 巾着田の内側は無事だったのかな。


 よくよくみると、若干倒されたような跡もみえる。


高麗本郷交差点のとこのセブンでストロングゼロとおつまみ、あとインスタントスープとおにぎりなどを買ってくる。


 テントに横になってぼーっと濁流を眺める。
買ってきたアイスを忘れて寝入るという失態をおかす。


 日が傾いた頃に目を覚ます。
濁流を肴に一杯。
よく見たらストロングゼロじゃなくて、セブンのジェネリック製品だった。
こいつもストゼロ同様やばいくらいによく回る。
すぐにジーンと頭と体がしびれてきて、ほどなく横になる。
意識のあるうちにと寝袋を出して、入る。

夜中の12時頃に目を覚ます。
暑くて寝袋から出る。
ああ、そうだ、ここは山の上ではなかったんだな。
麓では防寒対策なんてまだあんまり必要ないのだな。



 翌朝
目覚ましのセットも忘れて、いつもの時間に目をさます。
ヤバいな、ストゼロ(のジェネリック)
幕の内側は少し結露している。
撫でれば指が濡れるが、水滴が落ちるほどでもない。
暑くて”快適:7℃”の寝袋をけっとばすくらいだった。
地面との隙間云々ではなく、そもそも外気温が低くないのだ。


 トイレにたつ。
朝靄の巾着電。いいところだな。
Tシャツにジャージのみでまったく寒くない。


 一晩経っても弛みはわずか。
木の枝ペグ、いい仕事してくれた。


熟睡。
気を失うような寝入り方だったけど。
ストゼロはやばい(3回目)

あったかいスープを朝食にとり、コーヒーを2杯飲んでから撤収。
高麗まで来たし、せめて日和田山くらい登ろうかと思わないでもないが、
なんだかそんな気分じゃなくなったので帰る。



 駐車場のトイレは混んでいたので、ドレミファ橋のトイレで朝の日課。
ウォッシュレットのトイレでありがたい。

その近くの酔芙蓉。
この花を見て、白い顔の美女が酔った様を思うとは。


 水車は止めてあった。


 高麗駅近くの台交差点。
電車の時間を見ると次は25分後。
元セーブオンのローソンでおにぎりを買ってホームのベンチで食べる。
8時ちょうどに三峰口・長瀞行の快速急行が止まって、多くのハイカーを吐き出していった。
これから日和田山に登るであろう高齢の団体さんがおおいね。


西武池袋駅改札内の茶漬け屋。
ひじきの煮物とお新香の小鉢もついて600円。
おいしいけどちと高いかな?


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結局フロアレスシェルターのスカートのテストにはならなかった。
山のテント場と麓のテント場では風も寒さもまるで違うし。

しかしそれはそれとして、巾着田の河原はわりと良いところだった。
上水道にウォッシュレットのトイレは山のテント場では望めないものだし。
近年無料のキャンプ場が利用者のモラルの悪さから閉鎖になるというニュースも聞く。
大切にしたいものですね。

それはそうとここで張るならプラペグか、大きめのVペグを持っていくように。


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2020/10/15追記
巾着田のキャンプが禁止になってしまった。
デイキャンプはOKだけど、泊りはダメと。
とても良いところだけに残念だ。
この手の無償キャンプ場はどこも閉鎖される傾向にあるようだが、巾着田は有償でもいいから維持してほしかったな。