2019年9月30日月曜日

山での携帯

4.5年前までは山で使う携帯といえばドコモ一強で、次点がau。
SBは論外だった。
もっともこれは山でも使えるようにエリア設計されている訳ではなく、麓の街の電波が見通しのいい尾根上では気象条件などによって拾えてしまえる、というのが実態だった。
ただ僻地山間地でのエリアにドコモは強かったので、必然山の上でも拾える電波はドコモが強かったのだ。

そのヤマヤにはドコモ神話ともいうべき信頼があったのだけど、ここ数年徐々に疑問を感じるようになってきている。
昔は「LTEは掴まなくとも、3Gは掴む」というのが山ではザラにあった。
いわゆる800MHz帯のFOMAプラスエリア。
ここ数年その強みを感じなくなってきている。
LTEを掴まない時は3Gも掴まないというか。
以前は3Gの電波をつかんだはずなのに、今は3Gもつかまないというか。
3Gの800MHz基地局を100%そのままLTEに移行させているわけではない……のだろうか?

今使っている端末は、海外メーカーのsimフリーで、一応3G800MHzも対応しているはずだが。
ドコモから発売される端末は日本で実際に使われている電波に合わせたチューンが施されていると、公式に回答しているインタビュー記事を見たこともある。
電波がギリギリな山の上だとそのへんの差もあるかもしれない。
雲取へ向かうブナ坂の道も、行き(9/28)は全然電波が入らなかったけど。帰り(9/29)はそこそこ入った。
雲取山荘前も同様。
気象条件に大きく左右されるため、はっきりとはいいがたいが。
雲取山荘前って以前はもっと電波状況が良かったような記憶があるんだ。
暇なら本を読むけど、天気予報くらいはネットを見たい。

今メインで使ってる端末がそろそろ限界なので。
次は海外simフリー端末ではなく、ドコモから発売された端末の中古を狙ってみようかな。

2019/9/28土~29日 フロアレスシェルターを試す@雲取山

その2、巾着田編(砂地でのペグについて)

その3、大菩薩編(設営と撤収の詳細)

その4、笠取山編(裾からの風の吹き込み対策)

その5、小金沢連峰編(ワンポールをAフレーム化)

新シリーズ? ツーポールテントを試す

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私はツェルトを愛用する方だと思う。
自分の体力の無さを道具に転嫁しているきらいはないでもないが。
荷物が少なく・軽いというのが望ましいのは全ヤマヤが同意するだろう。
また一般的なダブルウォールのクロスドームテントは、様々な状況に対応できる総合力から選ばれてはいるものの、好条件下では過剰装備であるとも感じている。
・明け方でも寒くない夏季で、
・大雨が降らず
・強風が吹かず
という条件下ならば、
・テントでなくツェルト
・半身マット(足の方は中身を出したザックを敷いておく)
・寝袋不要(明け方寒ければ雨具を着るか、サバイバルシートをかぶる)
で十分、というのがここまでに私の中で固まった考えだ。

ツェルトというのは基本的に緊急用装備であって。
様々な状況で風雨から身を守るために色々な使い方ができるように汎用性を持たせてある。
それゆえに特定の使い方での欠点もある。
指定されたテント場で、テント代わりに張るには不都合もあるということだ。
まず床が割れていること。
非常時にすぐかぶれるためにそうなっているが、テント代わりの使い方しないのであれば不要であり、雨天時に床から水が沁みてくる原因になる。
次に結露。
頂点の両側にベンチレーションがついてはいるが、あれ、中の湿気を効率よく排出できているようには思えないのだ。
自分の体から出る蒸気は、ベンチレーションに届く前にツェルト内部に触れ、たちまち結露する。
冬の朝の窓ガラスを想像してみてほしい。あの結露だ。
しかもガラスと違って極薄い布。それが風であおられて波打てば、すぐにバラバラと落ちてくる。
「テントの中で雨が降る」という言い草が大げさな例えでないことは、経験した人ならわかるだろう。
最後に張り綱。
例えばテント内部の長辺側が200cmだとして。
クロスドームとツェルトとでは必要なペグダウンの長さがまるで違う。
つまり、こう。
ペグダウンした場所までの張り綱を含めた、正味の専有面積はとてつもなくでかくなる。
指定されたテント場で、混みあう時期に隣と詰めあって設営しないといけないような場面では実質使えないのだ。

とまあ。ツェルトを長く使っているとツェルトの欠点も見えてくる。
なので、
「ツェルトと同じくらい小さく軽いけど、もうちょっとましな何かはないかなあ」
と考える事が多くなった。
あれこれ考えて、候補として挙がってきたのがフロアレスシェルター。
インナーテントが無く、フライシートのみのテントといえばわかるだろうか。
その中でもフレームの無いワンポールテント形状で、ストックをポール代わりにするやつが一番軽量になる。

https://locusgear.com/items/khufu-hb/
https://yamahack.com/1340
ローカスギアのクフ
このローカスギアのクフを初めて山で見かけたときは、あまりのストイックさに舌を巻いたものだけど。
ツェルトで問題のない前述の好条件下でならば、これだって問題ないはずだ。
引用したこの画像では張り綱を張っているが、角度的にはフライのペグダウンだけでも耐風の為の張り綱にはなるはずだ。
しかしこいつは。ガレージブランドということもあって、とても高い。

ところで一人(二人)用のテントというのは山岳用の軽量テントは高く、ツーリング用・キャンプ用のテントはそこまで軽量化を突き詰めていないので安い。
Amazonをみていて気付いたのだが。
一人用のワンポールテントにもこのキャンプ用の安いのがあるのだ。5000円程度で。
これのフライだけを持って行って、フロアレスシェルターとして使えないだろうか?



 で、届いたのがこちら。
https://www.amazon.co.jp/gp/product/B07CLYR6F3/
4930円だった。


 インナーは536g
まあこっちは小さくてメッシュで使い勝手が悪そうなのでどうでもいい。


 肝心のフライ。682.5g
厚手の生地で重い。ツェルトと同じ生地ならば300g程度だろうに。


 付属品。ペグとか張り綱とか。


 ペグは安いピンペグ。14.0g。
ペグはまあ、別のものを持っていこう。


 一緒に買ったエアマット。593.0g
意外と軽くない。それと足踏みポンプがかさばる。
ポンプが無ければもう150gは軽くなりそう。


 手持ちのisukaのインフレータブルマットが632.0gなので大差ない。
ただ畳んだ時の大きさは圧倒的にエアマットが小さい。


 というわけでこいつを試しに雲取山荘までいってきます。
前回(大弛峠~甲武信小屋~西沢渓谷)荷物が重くて堪えたので、今回は思い切って絞り込んでみる。


 ザックもいつもの40Lザックに収まった。
ザック重量も8kg。水はなしだけど。
うん、軽い軽い。


 ホリデー快速1号できて、9時過ぎに鴨沢。
肌が灼けるような陽射しだ。
缶コーヒーを2本のみ、トイレを済ませてからゆっくり歩き出す。


 ミズヒキ(タデ科イヌタデ属)だろうか?


 堂所手前の水場で水を汲んで休憩。おにぎりを二つ食べる。
鴨沢ルートは水場が豊富なので、水を担いでくる必要が無いのがありがたい。


 赤い実。わからん。


 マムシ岩でちょうど12時。
2回目の休憩、おにぎりをもう一つ食べる。



 七ツ石小屋。少し腰を下ろして休む。
まだまだ蝿が頭部にまとわりついてうるさい。

七ツ石小屋上部の水場で再度水を飲み、一応水筒も満たしていく。


  ブナ坂にあがると一気に秋の気配。
半袖Tシャツだとちょっと肌寒い。


奥多摩小屋跡。
一時期狂ったように張られていた「テント泊禁止」の立て札もおおよそ撤去されていた。


 鴨沢ルートで一番きつい、小雲取への登り。



小雲取へ登っていると、真後ろに富士山が見える。
富士山から東京は東北東の方向なんだけど。


 雲取まで来ると、富士山は南南西の方向になるのだ。
そして小雲取の山頂手前は北北東への登りになっていると。


 山頂が見えた。
が、山頂には寄らず東のまき道で山荘へ向かう。


 雲取山荘着。
向こうの芋ノ木ドッケと白岩山が少し色づき始めている。
テント泊の受付をし、缶ビールを一つもらう。


土曜日ではあるが、そこまでテントは多くない。
山荘近くも空いていたが……初めてのテントで手間取るかもしれないと思って周囲にまだテントの無い場所を探して下ってきたら、結局いつもの場所(女坂との分岐近く)まで来てしまった。
ペグが小さなアルミペグで引っ掛ける場所も小さいので、このテントのでかいテープ状のループが引っ掛からないのではと歩きながら心配していた。
その場合細引きを切って、細工が必要かと思案していたが、まあすんなりと引っ掛かってくれた。


1.シートを敷いて、その上にフライを広げる
2.四隅をペグダウンする
3.130cmに調整したポールを中でたてる
4.長辺側の出入り口に追加でペグダウンする。
思ったより簡単で早かった。
ポールの向こう側半分を寝床にする。
手前側半分の枕側を荷物置きにする。
手前側半分の足側は何も置かず、シートをめくって土間にできるようにする。
これで一晩過ごしてみた感想をまとめる。

欠点
・真ん中に柱があるというのはわかってはいたが、想像以上に邪魔。
 寝ている分には問題ないが、座って何かをやるにしてもいちいち邪魔になる。
 着替えはあきらめて外でした。
・フライにスカートが無いので、地面との隙間から風が吹き込む。
 夏ならば問題ないが、風が冷たい季節には対策が要る。
・今回は雨に降られなかったが、雨が降って地面が濡れる時はやはりフロアレスには不安がある。
 水はけのいい、雨水が流れない場所を選ぶ必要がある。

長所
・荷物が小さい軽いだけではなく、部品そのものが少ないことによる設営&撤収の速さに驚く。
・通気性抜群(欠点でもある)
・中が寒いので結露はしないが、結露したとしてもフロアレスの妙で、シート以外の隅の土の地面に落ちるならあまり気にならない。
・テントの中に広い土間があるというのはとてもいい

まとめると、
・夏の暑い時期で悪天候の心配が少ないならばあり
・春秋の肌寒い時期は、フライにスカートのついているものがいい。
 ないしはテント内で防寒対策がいる(シェラフカバーとか)
・真ん中の邪魔な柱を許容できるかどうか
ということになるだろうか。


 5時過ぎに目が覚める。
雲のせいで東の空からのご来光はなし。

雨も風も無いので、まずいきなりテントのペグを抜いてしまう。
フライシートをくるくる畳んでザックの底に押し込み、
シートの上の寝袋やマットやらを順番に畳んでザックに入れていく。
設営時よりも撤収時の「速さ」にびっくり。



 雲取山荘前に移動して、トイレやら水くみやら身支度やら


天気は、うん、大丈夫そうかな?


少し傾斜している場所だったので、夜中に何度も寝返りを打ったり、寝ている位置を直したりしたような気がするが。
おおむねよく眠れた。
エアのみのマットは膝たちになったり、座ったりするとクッション性が無いが。
横になって寝ると適度に体重が分散されて体を持ち上げてくれる。
寝心地がいいわけではないが、重さや小ささを考えれば、犠牲にしてもいいかなと思える程度には悪くない。


 曇っている状況で山頂に行っても展望はないだろうと、帰りも東のまき道を使う。
上から落ちてくる石が鹿避けネットに溜まってひどいことに。

ちなみに。
雲取山頂が2017m
東のまき道の小雲取側分岐点が1937m(小雲取と同じとして)
標高差は80m
東のまき道を使って山頂を経由しないならば80m分楽できるのかといえば、そうでもない。
まず東のまき道は部分部分で状態が悪くなっていて、通行に少々気を遣う。
「登って・降って」の微小な登り返しが多数ある。(ほんとに微小だが)
道の確かな山頂経由と比べてそこまで楽か?といえば、標高差80mを額面通りにとれるほどの差ではない、と思う。


 小雲取からみた富士山と道志・丹沢方面。
曇天ながら良い絵。


 南アルプス方面。


 奥多摩小屋のテント場、なんとか復活してほしいものだけど。

その後急がず休みながら降りたので、脚への疲労は皆無だった。
やはり荷物が軽いというのはとてつもなく大きい。
真面目に軽量化に取り組むべきか。


小袖の登山口に降りた時点で09:53
バスが10:18
小袖から鴨沢までのコースタイムが守屋地図で25分
見積では10:10~10:20頃に小袖登山口で、留浦で飯食ってからバスに乗るつもりだったけど。
なんとも微妙な時間に降りてしまった。


 ちょっと急いだ。
10:15に増発のバスが来たので、それに乗って帰る。
バスが奥多摩湖のあたりまできて、今日が丹波山村の舞茸祭りだっと気づく。
しまった。
来年は原木舞茸を食べられる山計画にしよう。




2019年9月19日木曜日

2019/9/14土~16月 国師ヶ岳・甲武信ヶ岳

9/14土
0633 西ヶ原
0648 四ツ谷 195円
0702 四ツ谷
0801 高尾
0802 高尾
0924 塩山 1994円
0940 塩山駅北口発
1025 柳平着 1000円
1035 柳平発
1110 大弛峠着 800円

大弛小屋 テント泊800円
外来食事あり


9/15日
※コースタイムはヤマケイアルペンガイドに拠る
※テント泊装備の私の脚だと3割増くらいと見ておくこと

大弛小屋(2365)
↓1:20分
北奥千丈岳(2601)を経て国師ヶ岳(2591)
↓1:20
国師のタル(2150)
↓0:40
東梓(2271.6)
↓0:30
両門ノ頭(2263)
↓2:20
甲武信岳(2475)
↓0:15
甲武信小屋(2300)

甲武信小屋 テント泊1000円

9/16月

甲武信小屋(2300)
↓0:20
木賊山(2469)
↓1:10
戸渡尾根合流点(1869)
↓1:40
徳ちゃん新道入口
↓0:30
西沢渓谷入口(1110)

西沢渓谷入口からのバス・2系統
山梨交通(塩山駅南口行)1030円
0935.1310.1440.1540
※笛吹の湯下車だと560円+650円

山梨市民バス(山梨市駅行)900円
0720.1012.1122.1510.1625
※笛吹の湯下車だと200円+500円
※花かげの湯下車だと600円+200円

笛吹の湯 500円
花かげの湯  510円
はやぶさ温泉 放光寺入口バス停 1200円


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三連休の天気予報は今一つだが、新しく買ったテントを試しに行きたい。
だが休みの直前となっては高速バスなど空いているはずもなく。
二泊三日でそれなりに歩けて、予約の不要なところとなると……
奥秩父だろうか?
大弛峠までの栄和交通の乗り合いバスは予約が必要だが、満席ということはほぼない。
大弛峠から甲武信ヶ岳まで歩いてみよう。

大弛小屋と甲武信小屋は単純な標高差はほとんどないが、
追跡の標高差は結構なものがある。
地形図の等高線を目で追ったかんじ、大弛小屋から甲武信ヶ岳までざっと1200mは登りそうだ。
重いテント泊装備でその行程は、わりと私の体力の限界に挑むことになる。


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◆前日~1日目 大弛峠まで


週末用の食糧を買い込んでくる。
レトルト食材などは普段買うのよりもかなり「いいやつ」を山にはもっていく。


ジャガイモの入ったニョッキ。
初めて買う。
なんだかとっても芋虫っぽい。


新しいテントは一人用でダブルウォールテントとしてはかなり軽量な部類だが。
それでも当然ツェルトとは比較にならない大きさになる。
寝袋もいるし、防寒用着替え用の服もかさばってくる。


当然普段使いの40Lザックには入らん。
テント泊用の70Lのザックのお出ましだが。これだとスカスカだ。


塩山駅北口。
特急のちょうどいい時間がなくて、結局四ツ谷からローカルで来た。
大弛峠行はシーズン中の土日祝に午前3本ある。
その一番最後の9:40のバスに乗る。

実は塩山駅9:42到着の特急かいじもあって、結局その到着を待ってから出発していた。



塩山からのバスは焼山峠行だが、その少し手前の柳平でほぼ全員が下りる。
バスは巨峰で有名な牧丘地区を走るのだが、杣口浄水場を過ぎればもう山道で民家はない。
ここ柳平はダム湖と山荘があるちょっとした観光地っぽいところだ。


ここから先の川上牧丘林道は大型車は走れない。
故に大型バスから3台のワゴン車に分乗して峠へ向かう。
ワゴン車がくるまでのしばしの間、建物の無くなった分校の校庭をながめる。
周囲に民家は見当たらないが、かつては山仕事で生計をたてる開拓村があったのだろうか。



大弛峠へ到着。
車道の峠としては日本最高所になる。
峠でなければ富士山五合目の方が高いし、乗鞍の畳平もある。
徒歩の山道の峠なら南アルプスの三伏峠が最高所になる。


金峰山・国師ヶ岳への手軽な登山口とあって、駐車スペースはすぐいっぱいになる。
山梨側は舗装路だが、長野側はダート。


朝日岳・金峰山への登山口。
前回来たときは山道をグネグネと走る車に酔って、30分ばかりこのベンチに倒れていたっけか。


反対の峠の東側が幕営指定地。
峠が近いのが難だが、きれいに整地されていて快適そうだ。


大弛小屋でテントの受付をする。
お昼前なのでまだ誰も張っていない。


naturehikeという中華メーカーのテント。
MSRやビッグアグネスといった海外メーカーのテントを丸パクリしたテントを出している。
これもどっかで見たようなやつですわね。
ただ細かいところまで気が利いたつくりで、非常に安いわりに軽くてよくできている。

見ての通り、細長い5角形のベースにY字フレーム。
ペグを打って左右に引っ張らないと居住スペースを確保できない。
半自立というか、3/4自立というか。
あと吊り下げ式だが見ての通りフレームの高さに反してインナーテントの高さが低い。


前室が結構広め。ペグ2本で前室をつくり、これで7角形になる。
うーん、癖が強い。


Y字フレームの先が入口になっていて、入口がとても低い。
手をついて這うようにしないと出入りできない。
ただちゃんとペグを打てば意外とそこまで狭くはない。


中に入ってゴロリ。
インナーテントは上2/3がメッシュなおかげで通気性は抜群。
暑くて虫もいる夏にはいいだろう。
でも春秋は気候によっては寒いだろうな、これは。
下1/3がメッシュでない理由もすぐにわかった。
横から風が吹いた時、フライシートの下の隙間から風が入り込むのだけど、その風が寝ている体に直接当たらないようにするためだ。
なるほどね。

ただ、なぜダブルウォールのテントが必要かといえば。
寒い季節でもテントの中は温かく保ちたい。
外が寒くて中が温かければ当然結露する。
結露が体や荷物をぬらさないために、フライシートに結露させるのがダブルウォールテントというものであって。
通気性抜群で中が寒いのならばそもそもダブルウォールの意味がないのでは?
と思ってしまう。

(パクリの事はさておき)決して悪いテントではないが、快適に使える季節は短いかもな。


大弛小屋の水場はバラックの中に作られている。
裏の沢から引いた水がジャバジャバでている。


ジョニ黒を小さなボトルに詰めて持ってきた。
冷たくてうまい沢水をチェイサーにちびちびとやる。


一日目は登らない。
厳しい明日に備えて英気を養うのだ。


じゃがいものニョッキ、すごいもちもちしていた。


日が暮れてくると大弛峠は雲につつまれてきた。
明日に備えて早々に眠りにつく。


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◆2日目 大弛峠~甲武信小屋

いつものように5時前に目が覚める。
西の空に浮かぶのはやけに明るい月。


朝ごはんを食べてから撤収。


出発前にトイレによる。
大弛峠からみた雲海と南アルプス。


小屋で水を補給してから出発。
もって行く水の量は少し悩んだが、少々余裕のある3Lとした。
地図アプリを開いて、うっかり。電波のある場所で地形図をダウンロードしわすれてた。
まあ、山と高原地図もあるからいいか。


登りだし。


木の階段。


急斜面にすのこのごとき階段。


これはすごい。


というか、ほんとにすごいな!?


夢の庭園からの眺め。


瑞牆山もちらり


夢の庭園から上へ向かう道が見当たらず、分岐まで下ってからメインルートを登り返す。
だがメインルート側からは夢の庭園への道はこんなに明瞭にあった。
はて?



「大垂水峠から前国師まではずっと木道が敷かれている。」
というガイドブックを読んで、初心者向けの観光コースなのかと思っていた。
いや、実際登山装備ではない観光客でもあるけるようにはなっているが……
けっして穏やかな山というわけではない。
これらのダイナミックな木道がなかったとしたら、急傾斜で結構なタフな山道だぞ、ここは。


前国師の手前までくると富士山が望める。


前国師岳


南アルプス


これから向かう国師ヶ岳から甲武信岳へと連なる稜線。
アップダウンが多くてみるからに手ごわそうだ。


前国師と国師岳と北奥千丈とをつなぐ、その名も三繋平。


北奥千丈はスルーして国師ヶ岳へ向かう。


国師が岳


富士山の手前の御坂山地がかろうじて飛び出ているということは、
1300mくらいより下は雲海の底というわけか。


電波が入ったので天気予報を確認しておく。
おっ、当初の予報よりも快方へ向かったようだ。
これなら今日は雨の心配はないかな?



国師ヶ岳の山頂にはそれなりに人はいたが。
その先へは誰も進まない。
国師ヶ岳~甲武信ヶ岳の西の肩・信濃川源流分岐の間は、奥秩父縦走路のなかでも最も歩く人が少ないという。



国師ヶ岳の東の肩。
ここから北へ一気に高度を下げる。
ここを行けばもうエスケープはない。甲武信小屋まで行く以外なくなる。
本当に問題ないか?と自身に問う。
久しぶりのテント泊装備が重く肩にかかるが、体調は悪くない。
いける、と内心鼓舞して先へ進む。


甲府盆地・富士山周辺よりも東側は雲のなかだ。


せっかくの高度を無慈悲にさげていく。



話には聞いていたが倒木多め。


とはいえ奥秩父でこんな苔むした森があるとは。




国師ヶ岳と甲武信ヶ岳の中間で最も低い国師のタルまで下りてきた。
ここで休憩。


昨夜の睡眠。まずまずよく眠れた。

さて、今日はここからが本番。
国師のタルからは登り基調のアップダウンを繰り返す。
余裕をみて持ってきた水3Lだが、ここの休憩で飲んで残り2.4L。
んー、そんなにはいらないかな。1Lくらい捨ててもいいかなとは思うが。
何かあった場合にそなえてこのまま持っていこう。


のぼり


のぼり


ピークの三角点


倒木


キノコ


倒木


ピークの消えかかった標識


倒木の白骨化死体


ピーク
正面へ直進しないようトラロープが張ってある。



さっきの消えかかっていた標識は東梓か


先はまだまだ



それにしもて倒木が多い。多すぎる。
またぐ・乗り越える・くぐる・よける
対処はいろいろだが、でかくて重いザックを背負っているとうっとうしいこと。


シャクナゲのトンネルを抜けると


そこは


崖だった。
両門の頭か。
甲武信ヶ岳は雲をかぶっている。


来し方を振り返る。
国師ヶ岳は雲をかぶっている。


先に進んで富士見。
ここもトラロープで右に誘導される。


次のピーク・水師までは100m下って100m登る。


このあたりから太ももにヒクヒクと疲労感が出始める。
久しぶりのテント泊装備の重さと、アップダウンを繰り返す私の苦手なルートに体が音を上げだしたか。
困ったことにさっきから軽い頭痛もする。
頭痛などめったにならない体質なんだが……この頭痛はなんだか高山病の初期症状のような気がする。


正面に次の水師がみえて、その高さと遠さにひるむ。



そう感じるだけだ、実態はちがう、と地形図を確認して落ち着かせる。


倒木


マリオに出てきそうななんともいいきのこ


うんざり


水師についたが


特に展望はなし。
さあ、次が最後の甲武信ヶ岳だ。


水師から少し下ると正面に甲武信ヶ岳と木賊山


千曲川源流分岐。
長野県川上村の毛無平から登ってくるルート。
日本一長い信濃川の、最初の一滴となるのが甲武信ヶ岳である。
ここで最後の休憩をとる。
奥秩父縦走路で最も歩く人が少ない区間とはかいたが。
9月の3連休ともあってそれなりに人はいた。
後ろからきて私を追い越したトレランが2人。
正面からすれ違った人が7.8人はいただろうか。


倒木の割れた中がまだきれいだ。
先日の台風でおれた木だろうか。


最後の登りだ。気合を入れろ。


ガレ場にでる。


あと少し。


何かが見えた。


おお、


おおっ、


ついた……
誰もいない。
ベンチがあったので座り込む。疲れた……


甲武信ヶ岳は西面が開けている。
つまりずっと歩いてきた方だ。


山を雲が覆ったり晴れたりするのをぼーっと眺める。


長野側は随分と高いところ……2800mくらい?まで雲があがっている。


満ち足りた。
降りよう、甲武信小屋へ。


出発しようとして気づいたが、富士山も見えた。
入れ違いで甲武信小屋の方から外人さんが登ってきた。
彼のでかいiphoneで写真をとってあげた。


くだる


木賊山へはわりとなだらかな登りになりそうだ。


甲武信小屋。
重厚なかんじだ。


小屋の前のテント場へ降りてくkると、西日が小屋の裏からさしてくる。
テント場はトリカブトの紫の花が咲き乱れていた。


ここもきれいに整地されている、快適なテント場だ。
昼過ぎからの頭痛がどうにも酷くて、すぐにテントにはいって横になる。


目が覚めるとぼちぼち陽がおちる頃合い。
食欲はないが、食べないと体力が回復しないし、明日ばててしまう。
モンベルのアルファ米2合にお湯をいれて戻し、レトルトの中華丼とカレーを温める。
中華丼は食べられたが、カレーが。
食べていると頭痛がひどくなってきてつらい。半分は残してしまった。
久しぶりに食べたけど、アルファ米はおいしくないねえ。



今日の来し方。
両門の頭あたりで疲労感が出始め、
富士見のあたりで腿の筋肉がひくつき始めた。
体力がおちてるなあ。


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◆3日目 甲武信小屋~西沢渓谷~帰路


いつものように5時前に目が覚める。
サーという音が遠く聞こえる。
雨か。
まあ多少降られるのは覚悟していたけどね。


よく眠れた。
ありがたいことに頭痛はおさまっていた。



今日のルートを確認。
木賊山に登ってあとは西沢渓谷に降りるだけ。


電波が時々入るので天気予報をチェック。
うーん、これは山の上でだけ降っているパターンだろうか。
天気は快方に向かうようだし、少し待っていれば止むだろうか?
可能なら早く下山して温泉につかって旨いものを食いたいところだけど。
今日は西沢渓谷に降りるだけだし、急ぎではない。
少し待ってみようか。
と二度寝に入る。


結局8時近くまで待っても雨は止まず。
観念してカッパを着込んで撤収にはいる。
当然というかテント場にもう誰も残っておらず、私が最後だ。
小屋の前のベンチに屋根があるので、そこで最後の身支度。
雨の中を行くのでスマホもビニールに包んでザックにしまう。
ザックのレインカバーを出そうと底のファスナーを開けるも……無い。
以前ザックを洗う時に外して、付け忘れていたか。
まあともあれこれ以降しばらく写真はなしです。


甲武信小屋から木賊山へは緩めの登り。
最後がちょっとざれ気味の露岩帯だったけど、足の置き方を気を付ければ滑りはしない。
木賊山の頂上は気に囲まれて展望はなく、ピークハントでなければあえて来る必要はないかも。
北側にまき道があったかな。


木賊山を過ぎて少し下り、下りが急になりだしたあたりで戸渡尾根への分岐がでる。
尾根道で踏み跡は明瞭だ。



分岐の手前。
この場所でようやく雨がやんで、カッパを脱げた。
太ももの筋肉がひくひくするので、急ぐことができない。
立ち止まりながら、脚を休ませながらになり、なんとももどかしい。


カッパを脱いでも濡れたシャクナゲのトンネルをくぐると腕が濡れる。


尾根上のピークへと登り返すと、



そこが近丸新道と徳ちゃん新道の分岐点だった。
近丸新道は支尾根を一気に下り、ヌク沢を渡渉してあとは山腹の山道を緩やかに下っていく。
渡渉があるので増水時に難があるらしい。
徳ちゃん新道は平成に入ってから甲武信小屋のご主人が開拓した最後まで尾根通しのルート。
増水って程でもないが、地形を見るに急斜面が少ない。
こっちを行こう。



向こうに三富のダム湖がみえた。
あそこの手前がゴールだ。


む。なんだかいい天気になってきたな。
天気の回復が6時間早ければなあ。


1619ピークのあたり



尾根の正面がトラロープでとうせんぼされ、左に下るよう誘導される。


ここが徳ちゃん新道で一番の急斜面。
ただ踏み跡はジグザグについていて、危なっかしい感じはない。


ここも同様。


急斜面をくだりおえる。
しばらくは細い尾根上をまっすぐに歩く。


尾根が広くなり、沢水の音が大きくなってくる。
高い場所ではしなかった、くさいきれにむせそうになる。


ベンチがあった。
駆け寄るようにして座り込む。
ああ、つかれたなあと息をつき、首をめぐらすと建物が目に入る。


ああ、西沢山荘か。
もうゴールだったんだ。


帰りのバスの時間をチェック。
私は山行計画案を自分のメールあてに送っておく。
スマホですぐにチェックできるので。
このブログの先頭にコピペしてあるのはそれです。

それはそうと、次のバスは1時間半後か。
まいったな。


登山口の西沢山荘。休業。
きれいな建物だ。もったいないなあ。


振り返った登山口。


広い林道をバス停に向かって歩く。
紅葉の時期はこの道が人でいっぱいになるらしい。


西沢渓谷入口バス停。
東沢山荘でいつものようにおばちゃんがヨモギ餅を売っていたので二つ求め、ポカリで流し込む。
うーん。ここから10分歩けば道の駅みとみがあって、いろいろと食事の選択もあるんだけど。
次のバスは栄和交通の塩山行で、道の駅には停まらないんだ。
つまりここに戻ってくる必要がある。
めんどくさくなったのでここで小一時間バスをまつ。

当初の予定では、山梨市市営の”はなかげの湯”(でかい天丼が有名らしい)か、
泉質が良いという評判のはやぶさ温泉に入るつもりだったが。
カッパで蒸れて体臭が気になって一刻も早く湯に浸かりたくなり、
また下山が遅くゆっくりとしか歩けなかったせいで時間が遅い。
一度見知った三富の”笛吹の湯”でさっと汗を流した。
湯上りに体重計にのり、ザックを背負ってまたのってみる。
ザックの重量が15kgもありやがる。
水がもう無いのに15kg!?テントが濡れた状態だからそのせいかな。
30分後の市営バスで山梨市駅に帰る。

駅に着くとまずは指定席の確保。
券売機をたたくと、次のかいじもその次のかいじも完売。
だがその次のかいじの直後に臨時のビューやまなし号というのがある。
反射的にそれの指定席を買ったが……。
買ってからまじまじと切符を見るに、新宿までの指定席が520円??
安すぎない?
何かとんでもない勘違いをした?
と不安になる。
ともあれ40分あるし飯を食おう。

山梨市駅の駅前には飯屋が乏しい。
居酒屋はまだ開いておらず、ほうとう屋は随分待つようだ。
どうしたもんかとぶらつくと、”街の駅やまなし”とかいう公民館がめにはいる。
入ってみると喫茶店がある。
公民館の中の喫茶店かあ、でも他にやってる店もないしな、とここで腰をおろす。
ミックスサンドイッチとハンバーガーセットを注文。
サンドイッチに巨峰とマスカットがついてきたのがちょっぴりうれしかった。
この”街の駅”、正面に足湯がある。
山から降りてきて、足だけじゃあなぁ。


ホームに入ってビューやまなし号を待つ。
17時前でもう陽がだいぶ傾いている。
今日は下山だけなのに、ずいぶん遅くなったもんだ。


ビューやまなし号というのは乗車券のみで乗れるホリデー快速で。
一部に指定席車両とグリーン車両がついているタイプだった。
そして指定席車両は二階建てのボックスシート。
安いわけだ。
ボックスシートって向かいの人と膝がぶつかって嫌なんだよなあ。
グリーン車は在来線のグリーン車と全く同じ。つまり二階建ての進行方向向かいの4列シート。


ちょっとまとめておこう。
甲府から新宿へ帰る場合。
・あずさかいじ指定席 1550円(進行方向4列)
・あずさかいじグリーン席 3090円(進行方向4列・前後広い)
・ビューやまなし指定席 520円(ボックスシート・2階)
・ビューやまなしグリーン席 1670円(進行方向4列・2階)

ビューやまなしは在来線のグリーンカー扱いで、料金の段階がおおざっぱ。東山梨からでも甲府からでも同じ値段。
最初から特急に乗るつもりで、その代わりに買うならばグリーン席で良かったのだな。
また高尾から先の停車駅は中央特快と同じなので。
高尾で中央特快への乗り換えが可能で、四ツ谷よりも先に行くならば高尾で乗り換えてもいいだろう。


勝沼から乗ってきた同じボックスの家族づれは三鷹で降りた。
新宿を前に網棚からザックを下す。
この70Lザックも傷みが目立つようになった。
アコンカグアというメーカーで、安い割には高機能で。
見ての通り背面パネルの調整ができるフレームザックなのだが、その分重い。
雨蓋にも癖があるし、いろいろと使わない機能がゴテゴテしているものちょっと。

帰宅後、テントや寝袋を干したりと一通りの作業をこなす。
風呂に入ったのち、バスタブでこのザックをジャバジャバとすすぐとまあ汚れの出ること出ること。
次にテント泊用のザックを買うとしたら、もうちょいシンプルなザックがいいなあ。