2020年11月16日月曜日

2020/11/14土~15日 フロアレスシェルターを試すその4@笠取山

その1はこちら
2019/9/28土~29日 フロアレスシェルターを試す@雲取山


このところなんだか妙に気に入っているフロアレスシェルターだが、もちろん真冬に使うようなものでもない。
本格的な冬になる前に、試したいことをもう一つ試しておこう。

前回の最期で試したいこととして2点挙げた。
1.風の吹き込みをなくすスノースカート
2.中央の邪魔なものをなくす柱の二本化(逆V字)
一方でシンプルさが魅力のフロアレスシェルターであまり複雑な事もしたくないとも述べた。
2の柱の二本化だが、あてにしていた長いストックを片方へし折ってしまったこと、また中央に柱がある事に私の方が慣れてきたことから、これは必要なくなった。
しかし1の風が吹き込む点はなんとかしたい。
色々思案しているうちにスノースカート以外で思いついた手を試してみる。


ホムセンで#3000の頑丈だが安い防水ブルーシートを買ってきた。
180cm×360cmのものを、長辺側を切って180cm×290cmにする。
丸めてバンドで縛って778g。
流石にでかくて重い。
まあ今回はテスト故、今後も本気でこれをやるなら別の素材を探すべきか。


押し入れから冬用のダウンシェラフをだしてくる。
でかいなあ。


食料の準備。
全部で3500kcalあるので一泊としては十分。
日本ハムのストックポークというプラカップに充填されたボロニアソーセージがこれ一つで900kcal以上ある。


荷物チェック


仮パッキングで12.4kg。
寝袋がでかくてかさばるので、マットは外付けになってしまう。
これにお湯と身の回りの小物が加わるので最終的には14kgを越えるだろう。
前日準備はここまで。

実際当日朝に背負ってみるとずしりと肩にくる。
「重い」という程ではないが、軽いとは言えない。

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0703 新宿 かいじ83号甲府行
0823 塩山 1980円+1580円
0830 塩山駅
0930 落合 1100円

落合バス停(1110m)
↓2:00
作場平(1310m)
↓2:00
笠取小屋(1802m)

笠取小屋 700円

笠取小屋
↓1:00
笠取山(1953m)
↓0:40
雁峠
↓2:30
新地平(1070m)

西沢渓谷発のバス
10:12(山梨市)600円
11:22(山梨市)
13:10(塩山)850円or750円
14:10(塩山)
15:10(塩山)
15:10(山梨市)
16:25(山梨市)

花かげの湯 510円
市営バスは「花かげの湯」で下車
山交バスは一つ手前の「窪平」で下車

窪平からのバス
12:07(山梨市)200円
13:55(塩山)350円
15:25(塩山)
15:55(山梨市)
16:25(塩山)
17:10(山梨市)


特急券は前日の夜に買ったがガラガラ。
座席未指定券でも余裕で座れるはずだが、たいした金額差でもないし、いい場所に座りたいので指定席券を買う。

塩山からのバスはそこそこ並んでいて。
トイレに寄ってから並んだため、座れなかった。
大菩薩峠登山口で半数以上が降り、
柳沢峠で1人降り、
バス停ではないが鶏冠山入口で4人降り、
終点の落合で私含めた4人が降りた。


初めて来た落合バス停。
昔はなんでも奥多摩駅から柳沢峠までバスが通っていたらしいが、今は丹波山村まで。
塩山からのバスが柳沢峠を越えて落合までくるものの、
青梅街道(大菩薩ライン)は落合~丹波山間がバスが無い区間となっている。
まあ住民もいないから仕方ないのだろうけど。
そうしてみるとますます「君なんで山梨県なん?」という思いを丹波山村に対して抱く。


落合バス停付近は建物がいくつかある。
東京都水道局のしゃれた建物と、酒屋さんが一軒と。
この時間だからまだ開いていないのか、それとももう営業してないのか。
周辺の家屋も人が住んでいるのかいないのか。


9:40にバス停から出発



まずは犬切峠へあがる。
道はいくつかあるのだが、手前の登山道の様に見える破線は実は林道で。
目の前で林業者の軽トラが入っていったので何となく遠慮する。
神社を過ぎてすぐのここ、見るからに廃林道っぽいここから登ってみる。


途中まで広い林道っぽい道だったか途中から登山道になる。
この深いえぐれ方からするに、歴史のある道なのだろう。
たぶんここが本来の犬切峠にあがる道だったのではないかな?
今は舗装された車道が新犬切峠にまで通じているけれど。


新犬切峠から林道一ノ瀬線に入る。
山深い地域なのだが、山仕事の車両や遊びに行く人の車が結構通る。


途中にあった待避所兼展望台。
奥秩父縦走路の飛竜山~笠取山が一望できる。
こうしてみると結構アップダウンが激しい。
ベンチがあったのでここで一回目の休憩。
朝買ってきたおにぎりを一つ食べる。



長い長い林道歩きを経て、ようやく作場平に到着。
ここまで落合バス停から2時間。
この長さ故、これまで落合バス停を登山口として認識していなかったのだが。
それでも鴨沢~雲取山荘よりかはこっちの方が早いのだ。

そして土曜日の作場平は駐車場からあふれ出た沢山の車が止まっている。
確かにここをスタートにできるなら、笠取山はぐっと手軽な山になる。


作場平からちょっと入った適当なとこで倒木に腰かけて2回目の休憩。
朝に新宿駅で買った大船軒のお寿司。
たった3貫で150kcalぽっち。
ヘルシーね。
酢が利いていて醤油なしで食べられるお味でした。


一休坂のコースを行く。
ここの標識には急登とか書いてあるけど、どこにも急な所の無い歩きやすい安全な道でしたよ。
とはいえ。
14kgのザックは確実に体力を削ってくる。
歩きやすい道ゆえに、つい日帰り装備のようなペースで歩いてしまい、足に疲労感が溜まってくる。


一休坂十文字という十字路。
ベンチがあるので3回目の休憩。
まだいくらも歩いていないのに、薬の副作用というか、一時的な低血糖の症状・めまいがする。
腰をおろしてお湯をのみ、キャラメルをたべる。
このところ調子がいいので油断したかな。
服薬治療が終わるまで気を抜いてはだめね。


道は、とてもいい。


橋も真新しくしっかりしている。
だがどうもここよりも南側のルートの方が歩く人が多いようだ。


笠取小屋直下の水場。


到着。
落合バス停から4時間なので、そうね、鴨沢から今は亡き奥多摩小屋と同じくらいかな。
笠取小屋では何かTVの撮影?のようなことをしていた。
テント場代700円。


突然山の方から鹿の大群が降りてきてびびる。


こんな小屋の、テントの近くにまで群れで来て、何をしているんだろと不思議だったが。
後で理由はわかった。
差しさわりがあるのでここには書かないが。


さて。
それではやってみましょうか。
180cm×290cmのブルーシートを敷き、その上にフロアレスシェルターを広げる。


四隅+出入口をペグダウンし、中でストックを立てる。
するとこんな風にシートがちょっとはみ出ているね(手前側以外)


はみ出たブルーシートを中に押し込み、フロアレスシェルターの裾と一緒にクリップで留めてしまう。


こんな具合に。
これなら別途スノースカートを用意せずとも風の吹き込みを抑えられるという寸法よ。


まあ入り口側はクリップで留める事は出来ないけどね。
三方の隙間をなくすだけでも全然吹き込みが気にならなくなった。
魔法瓶のお湯を沸かしなおしてお昼にしよう。

ちなみにここのテント場は石の少ない土で、アルミのペグをその辺の石で叩くだけでいい感じに打ち込める。
重い頑丈なペグを持ってくる必要はなかった。
私はいつもの鋳鉄のペグだったけど。
12本とかならともかく、四隅の4本だけなら重いペグでもさして気にならん。


アルファ米のドライカレー。
アルファ米はいろんな味のがあるけれど、それだけで食べるにはイマイチ味が弱い。
油っけが足らないんだ。
その辺補うと米の戻りが悪くなるのかな?
カップラーメンみたいに仕上げに液体調味料を足すようにはできないのか。
まあでも、お腹がすいていたのでバクバク食べた。
ちょうどスコッチは切らしていたので代わりにブランデーを持ってきた。


明治屋の脂肪の少ないコンビーフ。
80gで400円近くし、いつもスーパーの棚の前で怯んでいたやつ。
本当に脂肪が少ない。
牛脂は冷えると食べにくいが、こいつは脂肪が少ない為常温でもおいしいのが強み。
もちろん加熱してもおいしいだろう。


お昼を食べて横になり、少し眠って起きると15時半。
早くも山の空気はシンと冷え込んできている。


流石にこの時間から笠取山へ行ってくると帰りは暗くなってしまう。
だが少し歩きたい気分なので偵察がてらにぶらぶらと散歩してくる。


分岐。
こんなV字だが奥秩父縦走路だ。
右が笠取山へ
左が雁峠へ
目の前にある小さなこんもりした丘が、


「小さな分水嶺」と呼ばれる場所。
ここから東側の雨水は丹波山村から東京へ向かい、多摩川の水になり、
西側の雨水は甲府盆地へ向かい、富士川の水になり、
北側の雨水は秩父へ向かい、荒川の水となる。
なるほど……
三県境の山というのは目立つものだが、三水域の分水嶺というのはこれまで意識したことなかったな。


笠取小屋は電波が入らないが、この小さな分水嶺までくると電波が入る(ドコモ・AU)。
小屋からは見えない富士山も見える。


南アルプスの方へ沈みゆく陽を見ながら戻る。



相変わらずな鹿チャンたちを見ながらテントにはいる。
そういやテントを閉じずに食料を置きっぱなしだったのはまずかったかな?

と、その時。急に強烈な立ち眩みがくる。
ぐっとこらえて落ち着いてから靴を脱ぐ。


こうしてみると笠取小屋は小さな小屋だ。
だが小ぎれいではある。
どうも小屋に通じる作業用林道があるらしく、ここまで小屋の人は軽四駆で来られるらしい。
その為小屋の維持のための物資には余裕があるのか。
大菩薩の介山荘と同じパターンね。


低血糖症状も出たことだし、晩飯にしましょ。
当初はアルファ米を作って、アマノフーズのフリーズドライの丼もので食べるつもりだったが。
このストックポークというボロニアソーセージ、900kcalもあって、山で食わなきゃいつ食うんだよと思い直してここで消費することにする。


脂を大量に含んでいるはずだが、敷き油なしだとうまく炒められない。
フォークに刺して直火であぶっても、いま一つ。


ゆでてしまうのが一番簡単ね。
これを食べながらブランデーを飲んでいつしか横になって寝入ってしまった。

でかい冬用の寝袋は掛け布団のようにかけていただけだが、さすがの温かさでカイロもサバイバルシートも必要なかった。
とはいえ、夜中の2時ごろに目が覚めたときは少し寒く感じ、きちんと寝袋に入って首元までファスナーをあげた。
それで充分暖かい。
温度計が無いので外気温は不明だが霜柱が立つので当然氷点下だろう。
冷たい空気の侵入を感じないので、大きめシート&クリップは大成功と言っていいのではなかろうか。


5時少し前に目を覚ます。
良く寝た。
トイレに行くとまだ真っ暗で、満点の星空だった。
スマホのカメラでお伝え出来ないのが残念デス。


しばし星を見ていただけで急速に体が冷えた。
残りのストックポークをゆでて、野菜スープにして食べる。


5時半頃には東の空が明るくなってくる。
寒さも思ったほどでもない。
ならば、


予定を変更。
テントはここに置いたまま、軽身で笠取山を回ってこよう。


ヘッデンを点け、暗い道をあがっていく。
昨日偵察しておいてよかったかな?


分水嶺の所までくると、もう充分明るくなったのでヘッデンを消す。


笠取山。
その左後ろは雲海の秩父。


笠取山の西の肩。
なぜか標識には笠取山への案内が無い。
見りゃ分かるといえばそうだけど。


スキージャンプ台のごとき斜面を登っていく。
写真なのでのっぺりして見えるが、実際に立つとものすごい巨大な急斜面よ。
特に後半は傾斜度が増す。
踏み跡もさすがにジグザグになるが……
上から降りてくる人にジグザグ道を譲って、直登の踏み跡に入ったのがいけなかった。
結構荒れてて、岩角をつかみながらでないと登れない。
写真を撮る余裕もなかった。


笠取山(西峰)
既に何人かが朝日を眺めている。


こちらの西峰の方が展望が良く、山梨県の標識がある。


西の方
まだまだ続く奥秩父山塊に、雲海に沈む甲府盆地とその向こうは南アルプス。


南の大菩薩連峰と富士山。


関東平野は雲海の底。


ブランデーのお湯割りを楽しんでいるうちに陽があがって朝焼けも終わった。
よくよく見れば御坂峠が見えている、という事は雲海は1200m位までか。


東峰へ向かう。
西峰~東峰間はちょっと岩っぽい。
岩や木を手でつかみながら通行する場所もいくつかあった。
怖さを覚えるようなのは無かったが、ちょっと注意。


東峰には環境省(庁?)の標識がある。


ここからの富士の眺めも悪くないが、そうね、山頂も狭いし西峰には負けるかな。



東の肩に降りる。
巻き道を通って戻るとする。



途中にある水干(みずひ)という場所。
奥秩父縦走路の上で、多摩川の河口から最も遠い場所、らしい。
笠取山を踏んできた後では感慨が薄いが。
ここから沢沿いを下っていけば、実際に水のある本当の源流を見られるらしい。


結構派手に霜柱が立っている。
まだ凍結して滑るという程でもなく、念のために持ってきた軽アイゼンは必要なかった。
ただ夜間に雨が降った翌朝とかはどうかな?


笠取小屋に戻って撤収。
朝ごはんを食べなおすつもりだったが、あのストックポークが腹持ちが良くて。
わかめスープだけ飲んで朝の薬も飲みこむ。
笠取山周回してきたので思いのほか時間もくった。
午前中のバス……11時台の山梨市市営バスには乗りたいので。
8時半にはここをたちたかった。
結局8時40分になってしまったが、まあいい。
林道にまで出れば多少急ぐことはできるだろう。


気持ちのいい笹原だ。


雁峠近くの廃屋。
雁峠小屋だった建物だろうか。


雁峠。
ここもいいところだ。


ここから新地平へ向かって降りていく。


降りていくとすぐに、沢水の音が聞こえだす。
小さな流れなのでどうという事もないと足をいれたらば。


予想外に柔らかい泥で。
片足をズボリと取られてしまった。


地形図を見て予想ついていたが。
雁峠~新地平のルートはずっとなだらかな傾斜で、急な所がない。


ただ倒木が若干うるさいのと。


渡渉の回数がやたらと多い。
結構くだってきて、沢の水量も増えてきているのに渡渉するのは嫌なものね。
一応渡るための石はあり、くるぶしまで水に浸かるようなところは無い。
とはいえ滑る石もあるし、トラブルもあるかもしれない。
防水のミドルカット以上の靴と、バランスを取りながら足を運ぶために杖があった方がいいよ。


どこが林道の終点だったのかはっきりしなかったが。
途中から林業者のユンボのキャタピラ跡が見えだしたら、もう渡渉はない。


手が入っているのだろう。
きれいな山だな。




高度を下げるほどに、秋が戻ってくる。


鶏冠荘の裏から回って、


国道140号にでる。
新地平バス停に11時に帰還。
西沢渓谷から来るバスは11:25。
ここから道の駅みとみまで1km少々。
歩いて向かえる距離だが、食事するほどの時間の余裕もないので、ここで片づけしながら待つとしよう。


バスの車窓からみた広瀬ダム。
ちなみに塩山駅からの山梨交通はICカードが使えるが、山梨市駅からの山梨市営バスはICカードが使えない。
事前に料金を調べて小銭を用意してこよう。


山梨市市営の花かげの湯。
3時間510円なり。
お湯は、うーん、今一つ。
同じ市営でも古い銭湯の趣きのある笛吹の湯の方がいいかな。


ただここは食堂がいいらしい。
特にデカ盛りの天丼が有名と聞く。
食事制限中の私にはちょっとダメだが、他にも色々あるだろう。

と、期待していたのだが。
どうもバイカーの大集団がお座敷に入って注文が立て込んでいるらしい。
時間がかかるとのことでバスの時間を勘案してビールと枝豆だけにしておく。

窪平バス停まで歩き、13:55の塩山駅行の山交バスに乗る。
こちらはICカードでOK。
そういえば恵林寺も一度お詣りしたいと思っているのだけど。
西沢渓谷に降りてくる時ってでかくて重いテント泊装備を背負っている時なので、
市内観光としゃれこむには腰が重いのだよなあ。

塩山駅の駅前で何か食べようかとも思ったが。
次のかいじが30分後。さらにその次のかいじは1時間20分後。
どうもちょっと間が悪い。
お土産だけ買ってホームへおりる。


武田二十四将という地酒。
じゃがりことチーズおかきも買った。


よく見たら笹一酒造だ。
笹子駅の近くにあるあそこだ。

詳しくは知らんが、小幡の名が二つ入っている。
西上州は甘楽町の小幡、だよね?
確かに小幡の赤備といえば甲陽軍鑑にも乗っているほどの精鋭だったらしいが。
西上州が武田の支配下になって以降なので、武田支配下の国衆としては新参者じゃないかな。
(11/17追記:武田二十四将の小幡氏は元は遠江の出身で甲斐に移った小畠氏といったが、のちに小幡姓に改めた。上州の小幡氏とは同姓だが縁は無い)

帰りに池袋のモンベルに寄って、ザックの交換修理の部品を受け取った。
なんだか今のモンベルって山帰りに寄りにくい雰囲気がある。
特に池袋店はマルイの中だし。

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床面積よりも少し大きめのシートをクリップで留めて、スノースカートの代わりに吹き込みを抑えるというアイディアは大成功だろう。
結露が垂れてきた時に土の地面ではなくシート上を濡らすのではと心配したが、寝ている顔の上、呼気が当たるあたりが少し濡れているだけでさほどの結露はなかった。
やはりピラミッド形状で天頂部にベンチレーターがあるという構造は蒸気が抜けやすいのだ。
今回は安いブルーシートで試したが。
今後もこれで行くならば素材は考えなければいけないな。
ブルーシートでは若干重い。
フロアレスシェルターとブルーシートとで超軽量テントとさして変わらない重さになってしまうし。
なによりもかさばって仕方がない。
薄くて・軽くて・防水性があって・そこそこ上部なシート。なにか無いだろうか?
既存のテント用のグランドシートなんかまさにそれだけど、高い上にこれだけの大きさのものが無いのだ。

 

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