その2、巾着田編(砂地でのペグについて)
その3、大菩薩編(設営と撤収の詳細)
その4、笠取山編(裾からの風の吹き込み対策)
その5、小金沢連峰編(ワンポールをAフレーム化)
新シリーズ? ツーポールテントを試す
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私はツェルトを愛用する方だと思う。自分の体力の無さを道具に転嫁しているきらいはないでもないが。
荷物が少なく・軽いというのが望ましいのは全ヤマヤが同意するだろう。
また一般的なダブルウォールのクロスドームテントは、様々な状況に対応できる総合力から選ばれてはいるものの、好条件下では過剰装備であるとも感じている。
・明け方でも寒くない夏季で、
・大雨が降らず
・強風が吹かず
という条件下ならば、
・テントでなくツェルト
・半身マット(足の方は中身を出したザックを敷いておく)
・寝袋不要(明け方寒ければ雨具を着るか、サバイバルシートをかぶる)
で十分、というのがここまでに私の中で固まった考えだ。
ツェルトというのは基本的に緊急用装備であって。
様々な状況で風雨から身を守るために色々な使い方ができるように汎用性を持たせてある。
それゆえに特定の使い方での欠点もある。
指定されたテント場で、テント代わりに張るには不都合もあるということだ。
まず床が割れていること。
非常時にすぐかぶれるためにそうなっているが、テント代わりの使い方しないのであれば不要であり、雨天時に床から水が沁みてくる原因になる。
次に結露。
頂点の両側にベンチレーションがついてはいるが、あれ、中の湿気を効率よく排出できているようには思えないのだ。
自分の体から出る蒸気は、ベンチレーションに届く前にツェルト内部に触れ、たちまち結露する。
冬の朝の窓ガラスを想像してみてほしい。あの結露だ。
しかもガラスと違って極薄い布。それが風であおられて波打てば、すぐにバラバラと落ちてくる。
「テントの中で雨が降る」という言い草が大げさな例えでないことは、経験した人ならわかるだろう。
最後に張り綱。
例えばテント内部の長辺側が200cmだとして。
クロスドームとツェルトとでは必要なペグダウンの長さがまるで違う。
つまり、こう。
ペグダウンした場所までの張り綱を含めた、正味の専有面積はとてつもなくでかくなる。
指定されたテント場で、混みあう時期に隣と詰めあって設営しないといけないような場面では実質使えないのだ。
とまあ。ツェルトを長く使っているとツェルトの欠点も見えてくる。
なので、
「ツェルトと同じくらい小さく軽いけど、もうちょっとましな何かはないかなあ」
と考える事が多くなった。
あれこれ考えて、候補として挙がってきたのがフロアレスシェルター。
インナーテントが無く、フライシートのみのテントといえばわかるだろうか。
その中でもフレームの無いワンポールテント形状で、ストックをポール代わりにするやつが一番軽量になる。
https://locusgear.com/items/khufu-hb/
https://yamahack.com/1340
このローカスギアのクフを初めて山で見かけたときは、あまりのストイックさに舌を巻いたものだけど。
ツェルトで問題のない前述の好条件下でならば、これだって問題ないはずだ。
引用したこの画像では張り綱を張っているが、角度的にはフライのペグダウンだけでも耐風の為の張り綱にはなるはずだ。
しかしこいつは。ガレージブランドということもあって、とても高い。
ところで一人(二人)用のテントというのは山岳用の軽量テントは高く、ツーリング用・キャンプ用のテントはそこまで軽量化を突き詰めていないので安い。
Amazonをみていて気付いたのだが。
一人用のワンポールテントにもこのキャンプ用の安いのがあるのだ。5000円程度で。
これのフライだけを持って行って、フロアレスシェルターとして使えないだろうか?
で、届いたのがこちら。
https://www.amazon.co.jp/gp/product/B07CLYR6F3/
4930円だった。
インナーは536g
まあこっちは小さくてメッシュで使い勝手が悪そうなのでどうでもいい。
肝心のフライ。682.5g
厚手の生地で重い。ツェルトと同じ生地ならば300g程度だろうに。
付属品。ペグとか張り綱とか。
ペグは安いピンペグ。14.0g。
ペグはまあ、別のものを持っていこう。
一緒に買ったエアマット。593.0g
意外と軽くない。それと足踏みポンプがかさばる。
ポンプが無ければもう150gは軽くなりそう。
手持ちのisukaのインフレータブルマットが632.0gなので大差ない。
ただ畳んだ時の大きさは圧倒的にエアマットが小さい。
というわけでこいつを試しに雲取山荘までいってきます。
前回(大弛峠~甲武信小屋~西沢渓谷)荷物が重くて堪えたので、今回は思い切って絞り込んでみる。
ザックもいつもの40Lザックに収まった。
ザック重量も8kg。水はなしだけど。
うん、軽い軽い。
ホリデー快速1号できて、9時過ぎに鴨沢。
肌が灼けるような陽射しだ。
缶コーヒーを2本のみ、トイレを済ませてからゆっくり歩き出す。
ミズヒキ(タデ科イヌタデ属)だろうか?
堂所手前の水場で水を汲んで休憩。おにぎりを二つ食べる。
鴨沢ルートは水場が豊富なので、水を担いでくる必要が無いのがありがたい。
赤い実。わからん。
マムシ岩でちょうど12時。
2回目の休憩、おにぎりをもう一つ食べる。
七ツ石小屋。少し腰を下ろして休む。
まだまだ蝿が頭部にまとわりついてうるさい。
七ツ石小屋上部の水場で再度水を飲み、一応水筒も満たしていく。
ブナ坂にあがると一気に秋の気配。
半袖Tシャツだとちょっと肌寒い。
奥多摩小屋跡。
一時期狂ったように張られていた「テント泊禁止」の立て札もおおよそ撤去されていた。
鴨沢ルートで一番きつい、小雲取への登り。
小雲取へ登っていると、真後ろに富士山が見える。
富士山から東京は東北東の方向なんだけど。
雲取まで来ると、富士山は南南西の方向になるのだ。
そして小雲取の山頂手前は北北東への登りになっていると。
山頂が見えた。
が、山頂には寄らず東のまき道で山荘へ向かう。
雲取山荘着。
向こうの芋ノ木ドッケと白岩山が少し色づき始めている。
テント泊の受付をし、缶ビールを一つもらう。
土曜日ではあるが、そこまでテントは多くない。
山荘近くも空いていたが……初めてのテントで手間取るかもしれないと思って周囲にまだテントの無い場所を探して下ってきたら、結局いつもの場所(女坂との分岐近く)まで来てしまった。
ペグが小さなアルミペグで引っ掛ける場所も小さいので、このテントのでかいテープ状のループが引っ掛からないのではと歩きながら心配していた。
その場合細引きを切って、細工が必要かと思案していたが、まあすんなりと引っ掛かってくれた。
1.シートを敷いて、その上にフライを広げる
2.四隅をペグダウンする
3.130cmに調整したポールを中でたてる
4.長辺側の出入り口に追加でペグダウンする。
思ったより簡単で早かった。
ポールの向こう側半分を寝床にする。
手前側半分の枕側を荷物置きにする。
手前側半分の足側は何も置かず、シートをめくって土間にできるようにする。
これで一晩過ごしてみた感想をまとめる。
欠点
・真ん中に柱があるというのはわかってはいたが、想像以上に邪魔。
寝ている分には問題ないが、座って何かをやるにしてもいちいち邪魔になる。
着替えはあきらめて外でした。
・フライにスカートが無いので、地面との隙間から風が吹き込む。
夏ならば問題ないが、風が冷たい季節には対策が要る。
・今回は雨に降られなかったが、雨が降って地面が濡れる時はやはりフロアレスには不安がある。
水はけのいい、雨水が流れない場所を選ぶ必要がある。
長所
・荷物が小さい軽いだけではなく、部品そのものが少ないことによる設営&撤収の速さに驚く。
・通気性抜群(欠点でもある)
・中が寒いので結露はしないが、結露したとしてもフロアレスの妙で、シート以外の隅の土の地面に落ちるならあまり気にならない。
・テントの中に広い土間があるというのはとてもいい
まとめると、
・夏の暑い時期で悪天候の心配が少ないならばあり
・春秋の肌寒い時期は、フライにスカートのついているものがいい。
ないしはテント内で防寒対策がいる(シェラフカバーとか)
・真ん中の邪魔な柱を許容できるかどうか
ということになるだろうか。
5時過ぎに目が覚める。
雲のせいで東の空からのご来光はなし。
雨も風も無いので、まずいきなりテントのペグを抜いてしまう。
フライシートをくるくる畳んでザックの底に押し込み、
シートの上の寝袋やマットやらを順番に畳んでザックに入れていく。
設営時よりも撤収時の「速さ」にびっくり。
雲取山荘前に移動して、トイレやら水くみやら身支度やら
天気は、うん、大丈夫そうかな?
少し傾斜している場所だったので、夜中に何度も寝返りを打ったり、寝ている位置を直したりしたような気がするが。
おおむねよく眠れた。
エアのみのマットは膝たちになったり、座ったりするとクッション性が無いが。
横になって寝ると適度に体重が分散されて体を持ち上げてくれる。
寝心地がいいわけではないが、重さや小ささを考えれば、犠牲にしてもいいかなと思える程度には悪くない。
曇っている状況で山頂に行っても展望はないだろうと、帰りも東のまき道を使う。
上から落ちてくる石が鹿避けネットに溜まってひどいことに。
ちなみに。
雲取山頂が2017m
東のまき道の小雲取側分岐点が1937m(小雲取と同じとして)
標高差は80m
東のまき道を使って山頂を経由しないならば80m分楽できるのかといえば、そうでもない。
まず東のまき道は部分部分で状態が悪くなっていて、通行に少々気を遣う。
「登って・降って」の微小な登り返しが多数ある。(ほんとに微小だが)
道の確かな山頂経由と比べてそこまで楽か?といえば、標高差80mを額面通りにとれるほどの差ではない、と思う。
小雲取からみた富士山と道志・丹沢方面。
曇天ながら良い絵。
南アルプス方面。
奥多摩小屋のテント場、なんとか復活してほしいものだけど。
その後急がず休みながら降りたので、脚への疲労は皆無だった。
やはり荷物が軽いというのはとてつもなく大きい。
真面目に軽量化に取り組むべきか。
小袖の登山口に降りた時点で09:53
バスが10:18
小袖から鴨沢までのコースタイムが守屋地図で25分
見積では10:10~10:20頃に小袖登山口で、留浦で飯食ってからバスに乗るつもりだったけど。
なんとも微妙な時間に降りてしまった。
ちょっと急いだ。
10:15に増発のバスが来たので、それに乗って帰る。
バスが奥多摩湖のあたりまできて、今日が丹波山村の舞茸祭りだっと気づく。
しまった。
来年は原木舞茸を食べられる山計画にしよう。
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