2018年5月29日火曜日

2018/5/26土~27日 ヨモギ尾根

2018/5/26土~27日 ヨモギ尾根

0447 立川
0518 青梅
0519 青梅
0559 奥多摩 637円
0605 奥多摩駅 奥10鴨沢西行
0644 鴨沢西 690円

お祭バス停570
1:50
塩沢橋711
2:50
奥後山1466
2:00
奥多摩小屋1750

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雲取山へ登るコースはいくつもあり、そんなサブコースの一つ「ヨモギ尾根」を登ってみたい
雲取奥多摩小屋の水場は冬でも枯れたり凍結することのない貴重な水場なのだが、石尾根上の道から数分降る
その降る道がヨモギ尾根なのだ
そのサブコース、地図では破線ルートなのだが、水場までの道はもとより、水場の先もよく踏まれている
地図を眺めていても案外歩きやすい道なのではないかと思われる
それで気にはなっていたのだが、いかんせんコースが長い
守屋地図だとお祭バス停から奥多摩小屋まで6:40かかる

自宅からだと一番早い電車・バスでもお祭到着が9:13になってしまう
週末で増発便の出た後の最後が丹波山行のバスということもある
そうなると到着は9:30頃
そこから7時間かかると見ても16:30
陽の長い時期とはいえ、マイナールートゆえの不安もある
できれば早い時間に歩きはじめたいが……

まず考えたのは登山口に近い場所に前夜泊すること
お祭りバス停の前に「お祭荘」がある
今は丹波山村営になったが以前の七ツ石小屋はここの経営だったという
あるいは鴨沢バス停から西へ200m程に「鴨沢山の家」という民宿もある
通りから見た所、感じの良い民宿だった
このどちらかに泊まろうかと思ったのだが、調べると奥多摩駅から鴨沢西方面への最終バスは17時台
会社を終えてからではとても間に合わない

次に考えたのは、テント泊装備を持っていくなら奥多摩駅近くの氷川キャンプ場でテント泊して、始発のバスで登山口へ向かうこと
だがこれも駄目だ
氷川キャンプ場の受付は16時までで間に合わない

奥多摩駅周辺の旅館ならば、会社を終えてから遅くに行っても宿泊出来るだろうが
ほんの6時間程度寝るためだけに旅館というのもなあ、なんだかな

色々考え、調べたのだが
立川からならば始発電車で行けば、06:05の始発バスに間にあう
立川ならば安いカプセルホテルもある
そんな訳で、都内から奥多摩に向かうのに立川で前夜泊という奇妙な事をするはめになった
立川は昔、勤務先のあった場所で、そのカプセルホテルもほぼ毎日目にしていたのだが
泊まることになるとは思いもしなかった
テントで泊まる事を思えばカプセルの狭さなど気にならないし、清潔な布団が敷いてあるだけで御の字
都心ならばカプセルでも4000円するのだし、行動開始時間を早めるための2100円はアリだろう


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朝の奥多摩駅前
流石にまだこの時間は人も多くはない
とはいえのんきにトイレを済ませてからバスに向かうと既に席は埋まっている程度には登山者はいる
そしてこの時間から山に向かおうって奴はやはり気合が入っていて、皆一様にザックがデカイ
どう見ても一泊って荷物ではなく……奥秩父縦走にでも行くのかって人ばかりだ

水根バス停で一人、奥多摩湖バス停で一人降りたきりで、後は皆鴨沢で降りた
私だけが終点の鴨沢西まで行く



 鴨沢西バス停
お祭バス停は丹波山行きのバスだが休日の始発バスは鴨沢西止まりなのだ
まあ、さほどの距離でもないので歩く



 お祭バス停の少し先、青梅街道を外れ後山林道に入る
土曜日だが林業者がやっているのか、途中ダンプが一台降りてきたのと、軽トラの脇でタバコをフカシているおじさんと挨拶した



 片倉橋の手前に駐車スペースがあり、5.6台とバイクが1台停まっている
そのすぐ先、右手になにやら車の通る道があり、以前から気にかかっていた
ちょっと覗いている



 50m程で行き止まり
山肌が比較的ゆるい所を階段状に整地して、土砂や砕石を置いておく場所にしているようだ



 片倉橋



 片倉橋のすぐ先の取り付き
七ツ石尾根の登山口
ここもそのうち挑んでみたい




 フタリシズカ
花が一本だとヒトリシズカ、二本だとフタリシズカ
では3本だと?
二本以上はみなフタリシズカでいいらしい




 塩沢橋に到着




お祭通過が7:00だったから、ここまではまずまず
休憩を取ろう




 ”林道塩沢線起点”の石碑はあるが
林道としては荒廃している雰囲気
チェーンをまたいで先に進む




 ほどなくして、落石が散らばる有様
もう長いこと車両が通行することはなくなっているのだろうな



 道が崩落した箇所を高巻きに通過する



 崩落箇所のすぐ先が尾根への取り付き、登山口になる
ちゃんと標識もある



 崩落箇所を振り返る



 下の沢を見て思案する
実は朝、ホテルで水を汲んでくるのを忘れていて
手持ちの水分が1.5Lのコーラのみなのだ
7時間弱のコースで1.5Lというのはちと心もとないと思っていた

ここで沢水を汲んでいくという手もある
ここより上流に人工の施設はないが、もう結構長い距離を流れ落ちてきている沢の水だ
安全を第一に考えると、積極的に飲みたいものでもない
汲むだけ汲んで、非常時まで手をつけないという手もあるが
飲まない水はただの重しでしかない

今日は思ったほど熱くなく、先程塩沢橋で休憩した時にコーラを300ml飲んだきりだ
さほど水はいらないと思われる
仮に、奥後山到着時点で残りを全部飲み干したとしても、あと2時間なら水場まで持つだろう
そう考えて沢水は汲まずに行く



 結構な急斜面をジグザグに巻きながら高度をあげていく



 道ははっきりしている



 あちこちでヒトリシズカ・フタリシズカが群生している
ちょうど今が季節なのか



 急な山肌を巻く道だが、この通り道の保全はかなりしっかりと行われている



 尾根上にあがる




この位置
だが道は尾根上ではなく、西側へ大きく巻く
(後で調べた所、西へ巻く道とは別に、尾根上を直登する道もあったらしい。気づかなかったが)



 手の入った道ではあるが、やはり上から落ちてくる砂に飲まれがちではある



 毒ぽさをアピールするキノコ





 作業道との分岐点には標識がある
行政や警察消防の設置した公的な標識ではなく、簡易な標識だ
そして登山ルートと作業道との踏まれ具合にほぼ差が無いことから推察するに、
このルートは治山・林業者の作業・巡視道であり、彼らが保全している道であるが故に登山者にとっても歩きやすい道なのだろう




ちなみに上の標識の場所がここ




そして西へ大きく巻いて、東へ折り返す地点がここ

いや、「山と高原地図」のいい加減さについてはもう何度も言及してきたので今更苦情は無い
調査員が記憶を頼りに適当に線を引いていたのだろう
ただ昔はそれで通用したのだ
地図はあくまで「そのへんにルートがある」事を示し、登山者は自分の目で現地判断を行わなければならない、という理屈だったのだろう

だがスマホアプリ版がでて、GPSと連動するようになるとその適当さが問題になってくる
滝子山でやられたように、道を見失った際に「地図上ではGPSの現在位置より東にルート線があるが、実際は西側に道がある」なんて事態にもなる
GPSという文明の利器と、旧態依然とした山地図の適当な慣習とが噛み合わなくなってきているのだ

一応、フォローしておくと、私のスマホに入っているこの奥多摩地図は2013年版と古く、
山と高原地図は毎年改定するごとに、GPSのトラッキングログを取った正確なルートラインに順次置き換えられている



 西から東へ巻き返す道も大分歩き、「そろそろかな」と思い出した頃に林業班境界標識と出くわす
林業班の境界は尾根筋などに付けられることが多く、つまりここが



ここ
実際はもう少し東へ進む



 ここから尾根上にあがる
塩沢橋の休憩から2時間近く経過し、少し疲れた
休憩にいい場所ではないが、ここで2回めの休憩にしよう



 さらに東へ、水平に伸びる作業道が気になって守屋地図を出してみる
守屋地図にも記載はないが、死人窪のほうへ向かう道だ
なんとも不吉な名前
死体がよく出てくる場所なのだろうか?



 少し登ると再び尾根上にあがる
ここから先はずっと尾根上を進むことになる
広く開けて平らな場所で、腰をおろせる倒木もある

休憩したすぐあとでもっといい休憩場所が出てくるの、くやしいなあ





 奥後山まではなだらかな尾根歩き




 広葉樹から松の植林に変わる境界に、モノレールの終点があった




ではこの辺が奥後山か(GPSの掴みが悪い)
踏み跡から見える範囲では山頂標識はなかったので、山頂は巻いて通過してしまったか
モノレールは西から登ってきているので、おそらくは後山林道の終点か、林道脇の作業小屋のあたりからここまでひいてあるのではないか




 雲取山が見えた




 西方向が開けた場所
一番手前が三条の湯に降りる水無尾根
その向こうが北天のタルへの中ノ尾根
一番向こうが飛竜山への縦走路だろう




 道が尾根上から外れ、東へ巻き出す
だが林業班境界標識の後ろ、わりとはっきりとした踏み跡が尾根上に続いている



おそらくヨモギの頭まで直登する踏み跡なのだろう



 標高をあげてきたからか、ミツバツツジがまだ残っていた





 後少しが意外と長い



 倒れかかった標識
この分岐をあがれば水場のはずだ



 だがその前に
巡視道の方が気になってちょっとだけ行ってみる
地図には破線ルートでのっているものの、ルートの東側のブナ坂十字路側では全くもってどこから始まるのか分からないルートなのだ

・・・・・・
興味本位で行って、嫌なものを見てしまった
ゴミがひどく散乱している
何十年も昔の瓶や缶が多いが、比較的近年のゴミもある
登山者のマナーが悪かった昔の名残だろうか
でも登山者のものではない、ドラム缶やズタ袋などもあり
小屋や林業者が投棄していたのだろうか



 水場で水を汲む
いままで気にならなかったが、よくよく見れば水場周りのここも結構ゴミが散乱している
それでもここは人目につく場所だからか、いくらかはゴミが片付けてある
この下はもっとひどいんだ

後山林道の新片倉橋を通過した際に、三条方向から下ってきた登山者とすれ違ったきり、この水場まで誰とも合わなかった
水場で水を汲んでいた人も、この向こうから人がやってくるのに少し驚いた風だったのがおかしい



 水場から最後の登り



 13:10奥多摩小屋到着
テント受付とビールで1000円

お祭からここまで6:10
破線ルートゆえどのくらいかかるか読みづらかったが、思ったよりも道の状態が良く、あるきやすかった
予想幅の範疇だが、そのなかでも短い方の予測時間で登れた
結果からいえば、立川で前夜泊せずともホリデー快速1号で来ても大丈夫なルートだったわけだ



 雲がかかりはじめた
まだ時間が早くテントの数は少ないが、平らで木の根っこなどの出っ張りもない特等地はもう取られている
奥多摩小屋のテント場、広い割に平らな場所は少ないのだ

だからヘリポートの周りにテントを張る手合が絶えないのだろう



 さて、どこにしようかみわたして
ちょっと狭いがここにしてみる
両脇の立木を利用してみたい



 ツェルトの四隅をペグダウンして



 ストックで建てる
サイドリフターを両脇の立ち木で引っ張ってみるって訳だ



 中で横になって休憩
ひ、広い
サイドリフターを面に対して垂直方向へ引っ張ることができれば、ツェルトはこんなにも広いのか



 買ったきりあまり使っていなかったエマージェンシーブランケットを持ってきて、フロアシート代わりに敷いてみた
やはりこういったものがあるのと無いのとでは地面からの冷たさの伝わりが全然ちがう



 縦方向のたるみが気になって手直し
四隅のペグを左右方向に引っ張りすぎていたのが原因と気づいたので

そのままウトウトと昼寝
6時間以上歩いたもんな、そりゃ疲れるよ

登山道の脇に張ったので、続々と登ってくる人たちの会話が耳に入る
「お、ツエルトだ」
「ビバーグ用のやつだよ」
「フレームがなくてストックで建てる……」
「立ち木をうまいことつかって……」
などの会話が聞こえ、内心ドヤる
ただ同時に(そこまで珍しいかなあ?)とも
大きめのテント場なら、必ず一人はツェルトを張っている人は居るもんだし
今日の奥多摩小屋にも、私の見た範囲でもう2人、ツェルトは居たよ
(モンベルのグリーンが一人、ファイントラックのオレンジが一人、アライのイエローが私)



 目が覚めると18:40
絞ってないベンチレーターから外を覗くとまだ明るい

買ったビールと持参した紙パックのワインを飲みつつ、行動食をかじる
今回は調理器具を持ってこなかった
あえておにぎりやパン類も買ってこなかった
もう寒くはないので温かい食事は必須ではないというのもあるが、行動食だけで過ごした場合にどれだけ体力的に堪えるのかを試しておこうと思って

あえて寝袋も持ってこなかった
ジャージの上下を着込み、エントラントのカッパも着たが、まだ若干寒い
アルミシートをひっかぶってちょうどよくなる


 アルコールの力で再び寝入って
ツェルトの中がうす軽くて目が覚め、もう夜明けかな?と時計を見るもまだ1時台だ



 いつの間にか雲が晴れ、月が出ていたようだ






 朝
眺めのよい奥多摩小屋だがご来光は望めない
もう大分明るくなってから、野陣尾根の向こうから出てくる



 うっすらとだが、富士山は見える
南アルプスは無理



 トイレを済ませてから戻る
前回GWの時と比べたら1/3位のテントかな
それでもこの数ではある

奥多摩小屋が閉鎖されたら、どうなってしまうんだろうな
七ツ石小屋と雲取山荘のテント場だけではどうしたって足らないだろうに

思えば都心から一泊二日の山行でテントを張れる場所って、意外と無いんだよな



 朝ごはん
チョコレートを小さく齧り、同時にフルーツグラノーラを口の中に入れ、一緒にモグモグ
このままだと食べにくい
M&M’sみたいな粒状のチョコとブルグラを混ぜて、ボトルに入れておけば食べやすいのだが
家の台所にあったものをそのまま持ってきたからなあ

で、行動食だけの食事でどうなのかといえば、やはりちょっとだるい
温かい食事と比べて消化の負担もあるが、たぶん塩分が足らないのではないかな
今後の検討課題だ



 さて、撤収
風が強くなかったのもあるけど、緩まずによく持ってくれた
だいぶツェルトの張り方にも慣れてきたなあ



 ペグを抜く
軽量さが命のツェルトなのに、重いスチールのペグやハンマーを持ってくるなど、ちぐはぐな事をやっていると思われるだろうが
これも試行錯誤の一貫なのだ
ことに非自立型のツェルトはペグ打ちが綺麗に・快適に張るためのキモなので

張り綱用のソリッドステークは流石の信頼感
硬い石が地中にあってもハンマーでぶっ叩けば入らない地面は無い
四隅用のアルミクロスペグも予想通り、ハンマーで叩いても曲がらない頑丈さでスティックペグより安心感がある
ただ石を貫通するような威力は期待できない
本当に硬い地面だと、スチールのペグで下穴を開けてからでないと打てないだろう
それと抜いた後、溝に土がこびりついて拭き取るのが面倒だ



 撤収完了
6:45出発

今日は……
千本ツツジを見て、赤指尾根を降ろうかと考えていたのだが
予定変更して最短の鴨沢に降りよう

なんだかもう満ち足りた気分になってしまった
私は山を歩くのも好きだが、なにより山でテントで寝るのが好きなんだな



 ミツバツツジ



 カラス



 マルバダケブキとヤマツツジ



 千本ツツジとはいかないが、ブナ坂にもいくらかツツジは咲いている





 今回いたるところにヒトリシズカが咲いていた
いままで気づかなかったが、雲取はこんなにもヒトリシズカの多い山だったのだな




小袖乗越の登山口に降りた所で帰りのバスの時間を確認する
なんとなく、10時半頃のバスに乗れればいいかな?と思っていたが
その一つ前のバスに間に合いそうだ
しかもそのバスは鴨沢西始発ではなく、丹波山から来るバスだ
ならば鴨沢よりも少し近い所畑に降りよう



 正面の鴨沢にではなく、ここを右に折れ、所畑へ降りる



 おや?
いつもは乳白かかったエメラルドグリーンの奥多摩湖が
今日は妙に濁っている



 9:36、国道411青梅街道沿いの所畑へ下山完了
奥多摩小屋から休憩なしで降りてきたので脚に少々堪えた
とはいえなだらかな道の鴨沢ルートだからこそ可能
階段ばかりの丹沢でそんなことやったら膝を壊してしまう

丹波山からのバスは増発含めた2台体制だったが、鴨沢から大量の乗客があり
鴨沢に降りていたら座れなかったかもしれない

もえぎの湯に寄っていくつもりで着替えも用意していたが、
ちょうどいい時間の電車があったのでそのまま帰るとする



 帰宅して道具の整理をしていて気づく
スティックペグが3本しかない……?
あっ、しまった!
ツェルトの四隅だけでなく、中央部の風上側に一本スティックペグを打ったのだった
ツェルトをたたむ時にも引っかからなかったので、そのまま忘れてきた
山に物を置いてくるなど登山家の恥
次に行った時に回収してこなければなあ



今回のヨモギ尾根、あるきやすくて良いルートだった
作業道との分岐点には標識があり、迷うような所もない
崩落などの危険箇所も、多少はあるが、危険ってほどでもない
広葉樹の森も美しかった、紅葉の時期はもっと良いだろう

やはり登山口までのアプローチの長さがネックで歩く人が少ないのか
それと、しいて言えばだが、同じような景色が長く続くので少し退屈に感じるかもしれない
いや、同じような景色が長く続くというよりは、単純にコースが長いと言うべきかな