2021年12月12日日曜日

ワークマンのイナレムはムレナイ夢をみるか

(以前の記事) 
ユニクロ、ブロックテックの謎

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近頃話題のワークマンの服。
例のイナレムを買えたので、何度か山で着てみた。

一応レインスーツとして売られているものだが。
雨具としての信頼性はどうだろう?
私は基本雨の日は山にはいかないので、雨具としてのレビューはできない。
またそういう人間なので、雨具にお金をかける気もしない。
だがこいつは上下セットで4900円。
いざという時に雨具にもなる、透湿性のあるウィンドブレーカーとしてならば興味があり、ちょうど店にあったのを購入した。

着心地は悪くなく、生地の質感も雨具っぽくない。
ずっと来ていても気にならない。


イナレムが注目されたのは、この防水透湿のスペック。
 耐水圧 20000mm
 透湿性 25000g
というのは10年前ならゴアテックスのスペックだ。
今はゴア含め各社の素材はもっと高スペックになっているが。
それでもこの値段でこのスペックは驚き。

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結論から言う。
4回ほど山で着てみた。
その名の通り蒸れないのかといえば、蒸れる。
ではサギかといえば、そうでもない。
だがこのスペックが額面通りかといえば、それはなんとも……
そもそも冬場のシェルに必要な透湿性能とは何か。
そんなことを書き連ねてみる。


■街着としての位置づけ
レインスーツ←←イナレム→→ブロックテック

雨具っぽくない見た目と質感と着心地、それと雨具としての信頼性をトレードオフととらえるならば。
イナレムはレインスーツとブロックテックの中間ではなかろうか。
アウトドアの場でならば、イナレムは雨が降っていなくても着ていて変ではない。
ウィンドシェルとしてアリだと思う。
だが街中での普段着としては若干浮くだろう。
街着としてはブロックテックに劣る。
だが雨具として使うならば、ブロックテックより大分マシではなかろうか……いや、雨の中で着ていないので断言はできないが。


■蒸れなさ
テストした時期が、さほど寒くなく風も冷たくない時期だった。
つまりウィンドブレーカーの必要ない状態でテストの為にあえて着てみたという事もあり。
だいぶ蒸れた。
正直ちょっと暑かったくらい。
だがそもそも山を登っていればどんなに透湿性能があっても蒸れるに決まっている。

そもそも私は冬にシェルを何も着ていなくても、服が汗で濡れるような人間であり。
その上にシェルを着れば当然蒸れる。
透湿性能の高低など誤差みたいなものだ。


■乾きやすさ
では透湿性能など必要ないのかといえば、もちろん必要だ。
透湿性能が0のシェルを着ていると、じっとして休んでいても中の濡れた服が全然乾かない。
汗で濡れて不快に感じるだけならまだしも、冬場は汗冷えは低体温症につながる。
透湿性能があれば、シェルを脱げない状況でも
 生地の透湿性能>発汗ペース
ならばじょじょにシェルの中は乾いていく。

この点でイナレムはブロックテックやエントラントよりかはいくらかマシかなあ……?
でも25000……それほどブロックテックやエントラントとの差は大きいか?
という感じ。
はっきりしない物言いで恐縮だが、なにぶん寒くない状況でテストしたので。


■必要な透湿性能とは
何かで読んだ話だが、透湿性能の計測方法というのは以下の内容らしい。
・密閉容器に1㎡分の出口があり、そこにテスト生地をかぶせる
・容器の中で水を沸かし、24時間後にどれだけ水が減ったか
つまり常時限界まで水蒸気が飽和している前提。
だが汗で濡れた服というのはそんなペースで蒸発しない。
来ている人の体温などで少しずつ蒸発していくので。
「寝ているうちに乾けばいい」程度の透湿性要求ならば、実はそんなに高スペックは必要ないのでは、と考えている。

もちろんガチの冬山などをやる人は、汗をかく行動中の発汗を
 生地の透湿性能>発汗ペース
に抑えなければならないので、ハードシェルに求める透湿性能は勢い高くなるのだろうが。
汗っかきの私が冬の低山を歩くのに、そこまで発汗ペースを抑えるつもりもない。
そこまで運動強度を落としたスローな山歩きが楽しいかといえば、そうではないと感じてしまうのだ。


■アリかナシか
アリ。
私の様に「基本雨の日にあえて山に行こうとは思わない。」「本気で雨具としての信頼性を求めてはいないが、雨具にもある防水透湿のウィンドブレーカーは欲しい。」というニーズには合っている。
そもそも山には雨具を持っていくものだとされている。
思いがけない雨だけでなく、いざという時の防寒具も兼ねて。
低山ではあっても冬の風の冷たい時期にはウィンドブレーカーは必要だ。
そんな向きに上下セットで4900円で買えるイナレムは良いのではないかと。
もちろんもっと高価なものが買えるならそちらでもいい。

一方街着としてなら。
ブロックテックをはじめとした別のものが向いていると思う。


(2022/2/5追記)
大事なことを書き忘れていた。
これに限らずワークマンのレインウェア全般にいえるのだけど、なぜか妙にサイズ感がスリムフィットというか。
ワークマンの他の服で言えば、私の場合L~LLで入るのだけど。
ワークマンのカッパ類はLLだときつい。
このINAREMストレッチレインスーツだと特に太もも周りがパツパツになってしまう。
(私の脚が太いせいだけど)
胸から肩回りも少し窮屈だ。
3Lのものを買い足してみて、それでジャストサイズだった。
どうも夏の薄着の上に着るのを想定しているような?

なのでワークマンのカッパ類はワンサイズ上でいいと思う。
体格が良くて、冬に厚着をした上から着るのならツーサイズ上でもいいかもしんない。


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