2020年11月22日日曜日

2020/11/21土~日 理想のテントを想う@雲取山

テントの王道はダブルウォール。
それは分かった上で、私は”ツェルトやらフロアレスシェルターで構わない条件”を追究している。
基本悪天候の時は山に行かないので、結構な割合でその条件は満たせてしまうが。
もちろん本当に寒い時……雪上に張る時などはダブルウォールを持っていく。
そのメインテントともいうべきダブルウォールテントだが。
WILD-1というアウトドアショップのオリジナル商品である「トレックドーム2」というものを使っていた。
コイツは結構すごいテントで。
生地の厚さ(丈夫さ)はモンベルのクロノスドームに近いが、入口は短辺側の両方についていて、両方をメッシュにできる。
夏のまだ陽が高いうちにテント場について設営して中で横になって一休み、などという時。
入口が一つの軽量山岳テントなどでは暑くて中に居られない、という事もある。
だがトレックドームなら両側を全開(もしくはメッシュ)にすれば風が中を通り抜けるので快適にすごせる。
寒ければ締めて、中で煮炊きするときはインナーの両側の扉のファスナーの上の方を開けておくことで蒸気を上から逃がし、フライの内側に結露させるという事もできる。
使えば使う程良くできたテントと感心するつくりながら、クロノスドームよりも若干軽く・値段は半分(1万円ちょっと)というすばらしいテントだった。
だがそのトレックドームも長年使って生地がゴワゴワとし、金具がさび付いて色々と傷みが目立ってきた。
ところが買い替えようにももう終売して存在しないのだ。
ちなみにこのWILD-1のテント部門が独立ブランドとなり、テンマクデザインになっている。

強いて言えばツードアドーム2がトレックドームの後継と言えなくもないが…
今、HPで確認したらそれももう姿を消していた。

また短辺側に入口がある、というのにも若干使いにくさを覚える。
外から入るときに靴を脱いで、最初に寝床を踏んづけるというのも好きではない。
それとペグを12本も必要とし、設営・撤収に手間がかかるのもどうかと感じていた。

「それならシングルウォールがいいのでは?」
うん、私もそれは感じていて。
候補には検討しているんだけど、シングルウォールはどうにも安いのがなくて。
なかなかふんぎりがつかない。
フロアレスシェルターもコツがつかめてきたし、シングルウォールならばこれでいいかなって。


そんなこんなで再び天気のいい週末がきた。
実は3月に新しいダブルウォールのテントを買っておいたのだけど、このコロナ騒動やら私の糖尿病やらで使う機会がなくここまで来てしまった。
安い中華テントで、インナーがほぼメッシュのやつ。
一応長辺側の両側に出入口があるやつ。
寒い事が予測されるので、本格的な冬になる前に一度使ってみようかなって。
それにここ数日妙に暖かい。
そこで装備を削って
・冬用のダウンシェラフではなく、快適7℃の春秋用化学綿シェラフ
・フォームマットは無しにして、エアマット一つだけ
・その代わり買ったきり使ってないSOLのエスケープヴィヴィを持っていく
という体制。
前日の仮パッキングで10.2kg
お湯1Lや身の回りの小物をたして12kg程度か。
うん、前回より大分軽い。


鴨沢。
いい天気だ。
缶コーヒーを一つのんで、9:13に出発。


どっかで見たような柄だが。
まあ、多少はね?
私も山奥の田舎の生まれなので、地元がなにかで取り上げられるとはしゃぐ風潮には覚えがある。
「水戸黄門がきた(ドラマの作中でソコを通る)」「のど自慢がきた」「大河ドラマがきた」とか。そういうの。


小袖の登山口。
2017年に作られた、あの看板が無くなっている。
昨年見たときに壊れかけていたし、撤去したのか。



若干だがまだいい色の枝がのこっていた。


この廃屋も年々傷んでいくな。
初めて見たときはまだ壁がしっかりしていたのだが。




水場の所で最初の休憩。
先週塩山駅前で買ったシャインマスカット餅を行動食にもってきた。
これを食べながら登る。


堂所。
この先のマムシ岩で2回目の休憩。


下段巻き道。
あらかた落葉しきっている。


ブナ坂十字路で3回目の休憩。


例の木。



奥多摩小屋跡地。
撤去工事が進んでいる。
オンボロだけど、私は好きだったよ。
テント泊の方がすきだけど、ここには4回ほど泊まった事もあったっけ。


鴨沢ルートで一番きつい小雲取への登り。
ペース維持優先で急がず登ってきたが、さすがにここでは息があがる。


小雲取へ登れば、山頂まではあとわずかばかり。
今日はピークを踏んでいこう。


あとちょっと


ついた。
時刻は14:21。
鴨沢から5時間8分だ。
12kgのテント泊装備を背負ってこれは上々。
糖尿病治療前よりも良いくらいだ。


南は富士山。


東の都心方面。


東京と埼玉の標識のある方へ移動し、腰をおろして最後の休憩。
持ってきた1Lのお湯はこれで全部飲み干した。
お餅も食べきった。


雲取山荘も一年ぶりくらいかな?
予想通りテントは多め。
山荘近くに適当な場所はなく、平らな場所を求めて北へ下っていき、分岐から少し男坂へ入った場所にテントを張った。


ペグうちもそこそこに、中に入って休む。
ああ、やっぱり雲取山荘までは疲れるなあ。
やっぱり奥多摩小屋の場所は「ちょうどいい」のだったと思うよ。

フリーズドライの甘酒をつくる。
アマノフーズの方が酒粕の風味がきいた上品な味なんだが。
疲れたときは森永のお菓子的な甘さが良い。


広くて平らな場所はまだいくらもあったが。
この後まだまだテント泊が来るだろうと思って木の間の狭いところに張った。
結果から言えばあまり来なかった為、堂々と広いところに張ってもよかったのだが。
テント1張り分の幅しかない場所に張った場合、長辺側に出入口があるテントはそちらからの出入りに支障がある、といういままで気づかなかった点をいきなり突き付けられる。

そしてこれは分かっていたことだが。
寒い。
フライと地面との隙間が大きく、そこから外の冷たい空気が入ってくる。
インナーも地面との近くはメッシュでなく、寝ている時に外からの風が直接体にあたる事こそないものの、冷気はほぼ素通しなので。

通常のダブルウォールテントというのは風をおおむねシャットアウトしつつも、中の温まった空気をある程度逃がさず「二枚の壁」による断熱効果をもちつつも、ある程度は天井から外に逃がすことでフライシートの内側に結露させることでインナーの中は濡れないようなつくりになっている。
だがインナーがほぼメッシュのダブルウォールテントというのはこの機能性が皆無。
ダブルウォールである意味が無い。
フロアレスシェルターにシートを敷いた状態と変わらないではないか。
確かに通気性が良く、結露はしないが。
それは中の温度が外と変わらない状態にまで冷えるということなので。
夏の暑い時期で虫が気になる場所ならば、これが最適解になるのだろうけど。
そういう用途ってとても狭いと思うんだ。

ああ、話は変わるけどさすがにもうキシャヤスデは見かけなかった。
先週の笠取山もそうだった。
来年こそは出ないでほしい。
フロアレスシェルターが使えないではないか。


水を汲んできてお湯を沸かす。
少し早いが晩飯にしよう。
って、あれ?
食料袋を確認して何か少ないな?と感じたが。
そうだ、今日の昼飯は朝に駅でおにぎりか何かを買って食べるつもりだったのに買うのを忘れていた。
行動食のお菓子で済ませてしまった。


アルファ米のパエリアとフリーズドライの牛とじ丼。
アルファ米はいろんな味があるが、風味付け程度。
それ単品でおかず無しで食べられるようなものではない。
塩気も油っけも全然足らない。

ブランデーのお湯割りを飲みながら、コンビーフと鰯の油漬け缶をちびちび食べる。
明治屋の脂肪の少ないコンビーフはおいしいなあ。
食べるものが少ないので、鰯は油まできれいに舐めてしまった。
こっちはもちろん温めて食べた。


寝る前にトイレに行く。
遠いなあ。
山荘前のトイレはもう冬季閉鎖になっていて。
左端の冬季トイレ一つだけになっていた。
今日みたいなテントの多い時は行列必至ゆえ、ぎりぎりまで我慢せずに早めに行ってほしい。


都心方向の夜景がきれいだ。


いやー、寒い。
インナーがメッシュのテントはほんとに寒いな。
フライと地面との隙間から冷たい空気がガンガン入ってくる。

では寝るための準備をしようか。
まず貼るカイロを足の上下に貼る。
私はハクキンカイロが好きなんだけど、こういう使い方はできない芸当よね。


快適7℃の寝袋に入り、さらにSOLのエスケープヴィヴィに入る。
ものはコレ。

熱反射するサバイバルシートを寝袋状にしてある。
すごいのはこれ、熱反射素材でありながら透湿性もある。
シェラフカバー代わりに使うと寝袋の性能に-9℃の上乗せになるというらしい。


暖かく寝ていたのだが、4時ごろに目が覚めた時に少し肌寒さを感じてサバイバルシートを上に掛けた。
これで暖かくなり、いつの間にか二度寝してしまう。
エスケープヴィヴィの内側は濡れていなかった。
これはいいものだ。


再び目が覚めると7時近く。
しまった、随分と寝過ごした。


まあいいか、と朝飯の準備。
これが残りの食料のすべて。
空腹を覚えるほどでもないが、ちと足らないなあ。
非常食の事もあるし、食料はもうちょっと余分を持たないとだ。


親子丼にお湯を多めに注いでしまい、かきたま汁の様になる。
まあ、ぼそぼそしたアルファ米を食うにはこれでもいいのさ。


撤収。
7:40に出発。
ふと、三峰神社側に降りる事も考えた。
三峰神社なら降りてすぐ風呂に入れるし、おいしいものも色々とある。
わらじカツ丼、ホルモン焼き、ちちぶ餅……
いかんいかん、まだ食事制限中じゃないかと邪念を振り払って鴨沢をめざす。


小雲取からの富士山。
風が強く、富士山がかぶっていた笠を飛ばされたみたいだ。


ヨモギの頭から都心方向。
関東平野は雲海の底。

ブナ坂十字路で一度休憩を取り、QBK(急に便意が来たので)林の中をだいぶ下っていってキジ・ハンティング。


登り尾根の途中でもう一度休憩したかったが。
なんとなく休むタイミングを取りかねて一気に下ってしまう。


さすがに足がくたびれた。
いや、堂所あたりで休憩を入れるべきだったな。
鴨沢の集落に入った時点で11:39。
頑張れば留浦の11:50のバスに間に合うかもしれないが、そんな元気はなくなってしまった。
ちょうど向こうからバスが来る。
あれが折り返して12:20のバスになるやつだろう。それでいいや。


荷物整理もそこそこに、バス停脇の木漏れ日に入る。
生ビール2杯とカレーライスをお腹にいれてようやくほっとした。
昨日の朝のバスは3台の増発体制だったが、この時間は意外と下山者が少なく1台だけでも余裕で座って帰れた。

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そういえば雲取山荘のテント場で見ていて思ったのだが。
昔は山のテン場といえばアライとモンベルの2強だったのだが、近年アライはあまり見かけない。
そしてネイチャーハイクを筆頭とした中華テントがじわじわ増えてきている。
そんな中で目についたのが、ヘリテイジのストックシェルター。
これ。現在はトレイルシェルターと名を変えている。
https://heritage.co.jp/Gears/TrailShelter.html

シングルウォールでペグ2つだけで設営できる。
フレームは無く、ストック2本をAフレーム状の柱にする。
本当に寝るだけの事しかできない小ささ故、私の検討対象からはずれるが。
もしこれがもう二回り大きくて、
中で上体を起こして座っても頭が天井に着かず、
ザックの中身を全部出しても置いておけるスペースがあり、
着替えができなくもない程度の余裕があれば……
かなり私の理想に近いのだけどなあ。




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