2020年2月29日土曜日

2020/2/23日~24月 レッドアローの思い出@三峰ルート

暖冬やばい。
去年も雪が少なかったが、何のかんのいって2月に入ってからある程度降った。
だが今年は1月末にまとまって雪があった以降、まったく雪が降らない。
そしてこのところの急激な春のきざし。
もうこのまま冬が終わりそうなのだ。
八ヶ岳とかの山小屋も「雪融けが始まった」「GW頃のようだ」などと言っている。
軽アイゼンマニアを自認するこの私が、今シーズン一度も使わずに終わりそうなのだ。
こんなことなら先々週の七ツ石小屋の時に、少し足を延ばして雲取まで行っておくべきだったか……
ともあれこの週末の天気の良い日月で一泊の山に行って来よう。
凍結のある場所を歩くとなれば、未知のルートは避けたい。
となれば、雲取か、大菩薩か、足を延ばして八ヶ岳か。
うーむ。

先の七ツ石の時になぜ雲取まで行かなかったのかといえば。
明け方があまりに寒くて、陽が上がってくるまでテントから出たくなかったから。
寒い中での撤収作業が嫌でうだうだしているうちにだいぶ時間を食ってしまい、早く降りて温泉につかりたくなったのだ。
自由気ままなテント泊を愛する私だが、寒い環境では小屋の中で朝食をすませ、トイレ身支度荷造りも済ませ、山歩きの準備万端整えてから小屋を出られる山小屋泊まりに分があると認めざるを得ない。
山小屋に泊まろうか。
そうとなれば、一度は雲取山荘に泊まっておくべきだろう。
北面で雪の多そうな三峰ルートで。



 4本爪の軽アイゼンをこよなく愛する私だが、三峰ルートは若干足元の悪い所もある。
つま先や踵で立たねばならないような場所が凍結していると、4本爪では不安がある。
チェーンと10本爪をもっていこう。
小屋泊まりだから荷物は少ない。


 池袋6:50のラビューで


 改札に近い扉で待機して真っ先にバス停に駆け寄るが、それでもすでに10人以上並んでいる。
まあこの位置なら座れるだろう。
と、思いきや増発1台がきて全員座れたようだ。
もっとも途中の三峰口駅から乗ってきた人達は立ちだが。


 三峰神社の駐車場
和名倉山をみるに、山頂のほうは若干白いものがみえるが。
もう春の陽気だ、陽射しが温かい。


 では


 おなじみの味わい看板・・・・・


 地蔵峠まではなだらかな道をゆっくりとあげていく。
しかし今日の風の強さはどうしたことだ。
西からの風が轟々とうなりをあげて、木々をゆらしている。
ここはまだ山腹だからよいが、稜線にあがると寒いかもしれない。


 地蔵峠のすぐ先の眺めのいいとこ。
だが風が強い!


 秩父宮殿下の前を通って


 霧藻が峰休憩所前
強風に体温を奪われてたまらないので上を着る。


 枯葉の積もった南面をお清平へ下る。
風の当たらない場所なら陽射しが温かいのだがな。

お清平でお昼ご飯を食べる。


 前白岩の肩へ登っていくと、徐々に凍結箇所が出てくる。
この程度ならばまあ、凍結を避けて足を置けばよいが。


 これを見て観念し、チェーンを出す。
あと風が強くて薄い手袋では手がかじかんでしまう。
防寒テムレスもだしてオーバーグローブがわりに装着する。


 とはいえ北面以外は雪の無い場所の方がおおいまま、白岩小屋跡まできた。


 雪の無い場所でもつけっぱなしで歩きやすいのが、軽アイゼンに対するチェーンの利点。
とはいえ固い石の上を歩いたりすればチェーンそのものにダメージははいる。
私が初めに買ったチェーンはそのせいで1年で切れてしまった。


 白岩小屋の中は前回見た時と変わらず。
本当の暴風雨に遭難したときには身を守れるかな?程度。


 白岩小屋からは積雪が踏み固められているような状態。


 チェーンが普及してきた昨今だが、このルートを行く人は6本爪や10本爪を装着している人も多い。


 本日の最高所。雲取山荘よりも高い白岩山。
ここから大ダワまで大きく下らねばならぬのが三峰ルートの一番つらいとこ。

一番事故の多い西のまき道だが、オーバーグローブをしていたのと、
カフェインの取りすぎで腿が攣りそうになっていたのをなだめながらだったので写真を撮る余裕がなかった。
朝に缶コーヒーを1本、三峰神社でもう1本、登ってくる途中でエナジードリンクを1本。
年々カフェインに弱くなっているようなきがする。



 大ダワ周辺の原生林では鹿の群れをよく見かける。
芋ノ木ドッケ南面の分岐から大ダワまでは全く雪なし。
大ダワから雲取山荘への女坂は半分圧雪・半分凍結のようなかんじだった。


 15時半ごろに雲取山荘到着。
なんども着ている場所だけど、通過するだけだったりテント泊だったりで宿泊するのは初めてだ。
通されたのは1階の部屋。
8畳間、といっても団地間のように1畳が小さい。
そこに同じようなソロのおっさん4名。
中央にこたつ。
しばらくは酒などのみつつ山談議をば。


 夕食。
ごはんはおかわり自由。平均的な山小屋飯かと。
今日の宿泊者は30~40人くらいだったかな?


 廊下には本棚がいっぱい。
古い本がおおいかな?
なぜか古いコンピュータ関連の本も多かった。

部屋は8畳に4人なので窮屈ではない。
真ん中にこたつを置いたまま、そのまわりに井桁になって布団をしく。
羽毛のあったかい布団だった。


 朝飯。
大もりのお替りをした。
うーん。荷物を減らしたいのでなければ、素泊まりで利用して自炊するというのもありかな?
ただ自炊場所は小屋を出たすぐの場所に火を使っていい自炊小屋があるのでそちらでとなる。


 小屋前の朝日。
昨日の脚が攣りそうなのは落ち着いたが。三峰側へ降りるには登り返しがきつい。
山頂を踏んで鴨沢に降りようかな?と思ったのだが。
同部屋の人から「石尾根はドロドロだったよ」と聞いた。


 三峰神社に下ることに。
まあゆっくり歩けばいいさ。
それにしても準備万端整えてから小屋を出られるというのはいいもんだなあ。
普段はテント泊でも寒い冬に限っては小屋泊まりというのもすてがたい。
冬ならば週末でもそんなに混まないし。
アイゼンとかの装備や着替えで、ただでさえ重いテント泊装備が一層重くなるわけだし。
ただやっぱり他人の目のある相部屋はテントほどくつろげないなあ。



 大ダワから登り返して


 芋ノ木ドッケの西のまき道にはいる。
こんな状況。
ここは冬の間の滑落事故多発地帯。



 所どころ、ステップの小さな所や、道の細いところがある。
そんな場所がつるつるに凍結していると……
例えば4本爪の軽アイゼンだと、爪をしっかり利かせながら足を置くのが難しかったり、
チェーンによっては凍結への食いつきが悪かったり、
そんなこんなでスリップしてしまう危険があるのだろう。

川苔山の、百尋の谷手前に比べたらどうってことないような凍結だけど。
まあ実際事故が多いのだから油断してはいけない。


 芋ノ木ドッケ。
芋ノ木が生えているらしい、このへん。
芋ノ木はキャッサバであり、タピオカの原料になる。
時勢に阿ってタピオカドッケと名を改めたら女の子が来たり……はしないか。


 白岩山への登り完了。
ベンチでちょっと休憩。


 昨日から引き続き、チェーンをつけ続けている。
このチェーン、昨年買った”カンプのアイスマスター”、のパチもの。


 見ての通り、小さな爪つきプレートをチェーンでつないだ独特の形状をしている。
つるつるカチカチの凍結箇所でもとても食いつきが良い。
ガリガリっとしっかり氷を噛んでくれる。
先ほど言ったような「4本爪やチェーンでは不安な場所」でも全く怖くない。
それでいてチェーンなので、「10本爪や軽アイゼンだと雪の無い場所で歩きにくい」という問題も回避できる。
今回の三峰ルートのような、”陽の当たる所はまったく雪がない”が、しかし”日影はカリカリに凍っていて、それでいて傾斜があって危ない”ような場所ではコイツが最適解かもしれない。
毎年の軽アイゼンの記事でも再三書いているように、アイゼンに関しては「大は小を兼ねない」のだ。

うむ、素晴らしいな、カンプのアイスマスター(のパチもの)。
評判がいい(カンプのだが)のもうなずける。
しかしこいつに欠点がないのかといえば、もちろんある。
去年一回使用した時がそうだったが、緩めの圧雪や泥濘の所を歩けば、あっという間にプレートのとこにダマができ重くなる。
それとこれはシリコンゴムバンドを引っ掛けるチェーン全般の欠点だが、
かかとに引っ掛けたゴムがずり落ちてくるんだ。
踵の裏のチェーンが浮いてチャリチャリいうのも気になるし、バンドが外れないかとも気になる。
何か踵のゴムがずり落ちない工夫がないだろうか?
まあチェーンはチェーンなので過信は禁物。本当に危ない時は10本爪を使おう。
とはいえ、今回は10本爪の出番はなし。単なるお荷物でした。


 白岩山からの下り


 白岩小屋から両神山、その後ろの浅間山
昨日と打って変わって風が無く穏やかな陽気だ。

前白岩の肩を過ぎてからチェーンを外す。
アイゼンをつける・外すの判断は意外と難しいもの。
私が4本爪を愛用する理由の一つが装着・脱着が楽で苦にならないから。



 お清平から霧藻が峰へ最後の登り返し。


その後iphoneのバッテリーが残量50%くらいから突然0%になってしまい、写真なし。
うーん、寒い所ではそういうこともあるが。
結構降りてきてから、それもポケットのなかで冷えない状況でこれは解せない。

三峰神社に着いたのが11:35
11:30のバスが行った直後だ。
昼飯でも食って行こう。


 鳥居前のお店で。
落ち着てiphoneを充電器につないだら、あっさりバッテリー50%の状態で復帰した。
ここのおでんは味噌が甘くない。


 わらじカツ丼
タレがかなりあっさりめ。
ごはんに対してカツの多いわらじカツ丼でも食べやすい。
むしろ白菜の漬物が結構しょっぱい田舎風だ。


さて、三峰神社の風呂には入らず12:30のバスにのり、13:50に西武秩父駅に戻ってきた。
祭りの湯で山の気(えんきょくひょうげん)を洗い落としてから帰りたいとこだけど。
それなら15:25の特急でいいかな?と考えた。
しかし少し悩んで16:25の特急券を買う。


 ホルモンを食い。

祭りの湯でのんびり入浴。
露天の寝ころび湯でひと眠り。


 クリームソーダなど飲んで時間調整してから特急へ。


 16:25に遅らせた理由がこれ。
3月でレッドアロー号はなくなり、すべて新型のラビューになるのだとか。
多分これが最後の機会だろうから、思い出深いレッドアローに乗っておこうかな、と。



 私が東京に出てきた時。
3月もだいぶ遅い時期なので不動産屋を回っても安くていい部屋がなかなか見つからなかった。
池袋を起点に東武東上線をずるずると下って、結局川越で部屋を借りることになった。
部屋そのものは安くて広くていい部屋だったし、川越も魅力的な地方都市だが。
ただ都心に通うにはいかんせん遠い。
高田馬場へ出るのに、通常なら東武東上線急行と山手線だろう。
だが川越市駅から座るために準急を使ったり、帰りの急行で座るために1本、あるいは2本見送る事もざらであった。
そうなると実際は時間がかかる。
バイト経験もほぼない私は昼間働いて夜間大学に通う生活を甘く考えていたが、実際にやってみると本当にしんどくて……あの時の私はいつも疲れていたのだ。
借りた部屋は東上線やJRからは遠いが、西武の本川越駅ならば徒歩3分で近い。
また少しでも定期代を安くするために、ほどなく東上線+山手線ではなく西武新宿線を使う様になった。
これで行きは時間がかかっても確実に座って行けて乗り換えなし。
だが帰りは……本川越までの長時間の立ちはつらい。
運が良ければ小平あたりで座れることもあるが、場合によっては所沢を過ぎないと座れないこともあり。
吊革につかまったままウトウトすることも日常的で。
どうしても疲れていてつらい時に特急レッドアロー号が眩しくて、
お金が無いのに400円の特急券を買ってしまうことも何度かあったのだ。


そんな思い出のレッドアローともこれでお別れ。
おさらばです。


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