2018年10月14日日曜日

2018/10/7日~8月 雁坂峠

2018/10/7日~8月 雁坂峠


0.はじめに
山歩きを始めた頃、最初に買った地図・ガイドブックの類がヤマケイアルペンガイドの『奥多摩・奥秩父』だった。
それを参考に奥多摩の山を随分と登ったが。
奥秩父に関しては日帰りには遠く、体力技術的にも厳しい。
「いつかは雲取から瑞牆まで縦走できたらなあ」
とは思いつつも、なかなか足が向かない山域だった。
ただ数年ほど前から体力的にもだいぶ向上してきた。
代わりに長い休みは取りにくくなったが、ともあれ土日で一泊くらいならばテントを担いで上がれないことも無い。
どこか適当な所はないかと古くなった『奥多摩・奥秩父』を手に取り、雁坂峠に決める。

雁坂峠は「日本三大峠」なるものの一つに数えられる。
・奥秩父の雁坂峠
・北アルプスの針ノ木峠
・南アルプスの三伏峠
南アルプスは北沢峠を挙げている説も見たことがあるような気がするが、ともあれいずれも標高2000mを超える堂々たる峠だ。
ただし、この中で街道として実際に使用されていたのは雁坂峠くらいだろう。
標高2000m超えの過酷な山道ながら、甲州と秩父をつなぐ街道として利用されてきたこの峠道は、1998年に雁坂トンネルが開通するまでは国道140号線だったのだ。



1.下調べ
歴史ある峠道を行くのならば、峠越えのルートをあるきたいのが心情だが。
下調べの段階でちと悩むことになる。
秩父側の登山口は旧大滝村の川又バス停になるのだが。
こちらは標高660mと標高差が大きく、道も遠い。
登りで利用するのは厳しいのだ。
では下りにとればどうかと思うが、今度はバスの本数の少なさと、遠いがゆえの下山時間の読めなさと、川又に時間を潰せる場所が何もないのが厳しい。
(川又からバスに乗って道の駅大滝温泉にまで行かないといけない)

悩ましいが今回は山梨側、標高1100mの西沢渓谷入口からのピストンにする。
こちらのバスは塩山駅から出ている山梨交通と、山梨市駅から出ている山梨市民バスと2系統ある。
特急あずさ3号を使えば山梨市駅での接続がちょうどいいが。
朝も遅い時間だし特急でなくローカルで行って、一番早い塩山駅0830のバスを使おう。


■山梨市民バス
山梨市駅→西沢渓谷入口
0912 → 1010
1021 → 1119
900円(道の駅みとみまでなら800円)

西沢渓谷入口→山梨市駅
0720 → 0818
1012 → 1116
1122 → 1226
1510 → 1614
1625 → 1729
笛吹の湯まで200円、駅まで500円
花かげの湯まで600円、駅まで200円
どちらも入浴料は510円

■山梨交通
塩山駅南口→西沢渓谷入口
0830 → 0930
0905 → 1005
1030円

西沢渓谷入口→塩山駅南口
0935 → 1035
1310 → 1410
1440 → 1540
1540 → 1640
笛吹の湯まで560円、駅まで650円

可能なら恵林寺に詣でたい


◆10/7日
0622 新宿
0705 高尾
0706 高尾
0812 塩山 1944円
0830 塩山駅南口
0930 西沢渓谷入口 1030円

雁坂峠入口 1110m
↓3:40
雁坂峠 2082m
↓0:10
雁坂小屋 1950m

雁坂小屋テント場 800円

◆10/8月
下山2:30

今回の荷物。
これに食料が加わる。
前回の八ヶ岳の時のザックのデカさが我ながらひどかったので、今回は一段と絞る。

なんとか40Lザックに収まった。
しかしそうなると今度はリッジレストLサイズのデカさがひときわ目立つな。



2.10/7日 登り

0608 四ツ谷
0705 高尾
0706 高尾
0812 塩山

塩山駅を出てバス停に並ぶ。
随分たくさんのタクシーがいる。
先々週の小淵沢駅では全然タクシーがこなくて40分も待たされたのだが。
タクシー台数の需給調整というのは難しいものなのかな。
塩山駅からは主要な登山口までの路線バスが充実しているので、登山目的ならタクシーの世話にはならないという違いはあるが。


バスを待っていると交番のおまわりさんがテッシュを配ってくれた。


西沢渓谷入口に到着
登山口からは行き過ぎなのだが、山梨交通の方は新木平(雁峠への登山口)の次がもう終点で、登山口や道の駅には停まらないので注意がいる。


しらべてはあるが、一応帰りのバスの時間をチェック。


車道を少し歩いて戻り、


道の駅みとみ
ここで支度をしよう。


おばあちゃんの焼く五平餅を買って食べる。400円
前回の八ヶ岳の反省から、持っていく水筒の水は1000mlに絞る。
そのかわりここで十分お茶を飲んでおく。


道の駅の観光案内看板


支度をすませてから出発すると、山梨市駅からの最初のバスが道の駅に入ってきた。
ちとのんびりしすぎたかな。


道の駅の向かいのキャンプ場の脇が登山口になる。
10時過ぎにスタート。


橋の下の沢が管理釣り堀になっている。


案内看板
しばらくは林道を歩く


道の駅の先の車道を行くと、あの上の道に通じてトンネル前の料金所に向かう


2階建ての大きなプレハブが二棟並んで建っている。
だいぶ古びていて、使用されている気配はない。
トンネル開通工事の際の作業員宿泊所だっただろうか?
いや、でも20年放置されているほど古びてもいないので、時々しようされることもあるのかな。


雁坂トンネル料金所
ここまでは無料道路。タクシーを頼めばここまで入れる。
数十分の歩き短縮のために一万円を払えるならば、だが。
駐車スペースも意外と多めにあり、おそらくマイカーをここに置いて雁坂に登る事もできそうだ。
料金所管理棟への許可が要るのかどうか、そのへんは分からないが。


舗装された林道が妙なことに。
大量の砂が積帯して、その合間を沢水が流れている。
まるでアメリカの渓谷のミニチュアモデルみたいだ。

少し上にまで行って分かったが、この道は山側に側溝があるのだが、側溝が砂で完全に埋まってしまっている。


赤い実


林道がフェンスで閉ざされている。
右手に別の道がある。


ここは、右に直角に曲がるのでいいのか。


もう少し行くと、こんなふうに平に整地された開けた場所にでる。
なかなか素敵な所だ。
キャンプ場にしたいくらい。


やがて奥秩父主脈の尾根が見えてくる
左が東破風山か。


道を右に曲がると今度はとんがった山が


方向的には古礼山か。


そこからすぐ、林道の終点


倒木に腰掛けて休憩、行動食を齧る。
ここから山道に入るので軍手とストックを出す。


おや?GPSが狂った?
この時はそう思ったが、すぐこの先で分かる。
国土地理院地形図のルートが実際と異なるパターンだ。
実際の踏み跡は沢沿いではなくもうちょっと高巻き道になる。


では出発。


ここで気づいた。
沢よりも少し離れた高い位置に道があり、GPSが性格で、地形図の方が間違っていると。


ん?ここを行くの?と怪訝な表情になった場所。
傾斜のある沢を渡渉する。
ロープは渡してあるが、当然沢水で濡れている。
実際歩いてみるとたいらに足をおけるように岩が切られていて、さほど危なくもない。


ザレ気味の道
山と高原地図に「冬は凍結してアイゼンが要る」と書かれていたのはここのことか。


峠沢の河原に出る。
河原沿いに進む。


沢の渡渉点には橋はもとより飛び石も無い。
浅い石を選んでも、靴の甲まで濡れる。
防水性のある靴が要る。


右岸の道を登っていく。


途中平らな場所があったので、ここで2回めの休憩。
時間も時間なので昼食代わりに多めに行動食を齧る。
ここから先は急登なので、ちゃんと休まないと八ヶ岳のときのようにバテてしまう。


休憩してから出発。
後ろの方に人影が見えた。私が道の駅を出発するのと入れ違いに入って行きたバスで来た人だろうか。


あれ?峠沢をまた渡るの?


ちがった。峠沢に注ぐ別の沢だった。


同じことを心配する人が少なくないのか、沢の名前が。


さて、沢を離れここからはひたすら急登


この辺の道も地形図の破線とルートとは実際には異なるようだ。


急登だが、美しい森だ。


突如眼の前が白く。
かなりの広範囲に渡って崩落しているようだ。
地形図の破線ではここを進むような塩梅なのだが。
踏み跡は崩落地を大きく高巻くように、上へ上へと続いている。


晩秋の山で見る事のできる数少ない花、リンドウ


崩落地を高巻くように登っているうちにこんなとこまで来た。


そこからほぼ水平に移動して本来の(?)ルートに合流


稜線までもう少し


稜線から100m程(標高差で)下の沢筋に、十分な量の沢水が流れている。
今回は持参の1000mlの水で充分足りたけど。
沢水でいいのであれば、ここを登る際に水を持ってくる必要は無いのだな。
あまりおすすめするようなものでもないけど。


後ろを振り返ると左の山から富士山がちらりとみえる。
あれ?ではさっきまで富士山とと思っていた、右の雲がかかった山は?
富士の外輪山のなかでも西側の、毛無山とかだろうか?
確か2000m近くあるのだっけ?
それにしても随分高い山に見えるけど。


最後のひと踏ん張り


もう少し


ああ、


ついた~


山と高原地図のコースタイムで3:40の所、
テント泊装備をを背負った私の足で休憩込み4:20か。
悪くはない、頑張ったよ。


東の水晶岳~南~西の雁坂嶺方面をパノラマ撮影。
幾重にも複雑に伸びる尾根の向こうに甲府の平野部と、そのさらに向こうに富士山が見える、奥秩父らしい眺めだ。


充分に堪能してから今夜の寝床へ、秩父側に下っていく。


木々の合間に突出峠への尾根が見える。
川又へくだるにはあの尾根の先まで行って、そこから急降下になる。
確かに突き出したように見える。


青い屋根の雁坂小屋に到着。
テント受付800円+缶ビール500円


トイレの中を通る国道140号(20年前まで)


テント場は細めの尾根上だが、こんなふうに点在しているのでお隣を気にする必要はない。
ただ地面は石混じりで固く、金槌で叩いてもアルミのペグでは刺さらない。
一本だけ鉄釘を持ってきたので、それで下穴を開けようとしたが。
その釘ですら刺さらないで先端が潰れてしまった。
鋼鉄や鋳鉄のペグでもないと無理だな。
そしてアンカーとして充分な重さの石も無い。
枯れた切り株やそこそこの大きさの石でごまかしておく。
風もなく穏やかなので、これでも問題ないだろう。


ごろんと横になる。ああ、疲れたなあ。
そして雲が湧いてきた。


テーブルが空いたのでそっちで晩飯を作る。
ラーメン2食と買ったビール、食後に暖かい紅茶を。
真夏ならばともかく、涼しくなってきたので熱いものを腹に入れて身体を発熱させないと、汗で濡れた服が乾かないのだ。


乾燥野菜をたっぷり入れたら、水気をだいぶ吸い取られてしまった。

食後暗くなってきたのでテントに引き上げ横になると、急に激しい頭痛に見舞われる。
普段頭痛などしないのに、どうしたことか。
ずっとうんうんうなっていたが、日付が変わる前には眠りに落ちたと思う。
怪我した際の備えも兼ねて、鎮痛剤を携帯しておくべきだろうか?



3.10/8月 下り

朝、いつもの時間に目が覚める。
頭痛はもうない。
最初に天気予報を確認する。
うん、問題はなさそうだが……
周囲から聞こえるポタポタ音はなんだろう?


濃霧だ。
ひどく湿った霧で、ヘッデンを点けても10m先がようやっと見えるくらいの。
この湿った霧で木が濡れ、枝からポタポタとしずくが垂れているのか。


トイレから戻ってきてフライを閉める。
こんな状況なのでテント内で朝ごはん。


ゆっくりお茶をしていたらすっかり明るくなり。
他に5.6張りあったテントはもう居なくなっている。
昨日私の後ろを登ってきた女性が残ってるきりだ。
彼女も今日は三富に戻るだけなのでゆっくりなのだとか。
テントの撤収途中で小雨模様になってきたのでカッパの上だけを羽織る。


雁坂峠へ登りかえす。


昨日の展望が嘘のように真っ白。
小雨も収まったのでカッパを脱ぐ。汗でカッパを着ていても着ていなくても変わらない。
なんだこの蒸し暑さは。
そういえば昨夜も暑くていつの間にか寝袋を出ていたっけ。

「ゆうべは随分と温かかったですよねー」とそこに居た人からも声をかけられた。


そうね。奥秩父は山梨側と埼玉側とで随分と森が違う。


さて、下山しましょうか。
うまく行けば1012のバス、遅くとも1122のバスには乗れるだろう。


脚を痛めないよう小幅でゆっくりと




昨日も感じたが、この枝が一番印象的だ。
紅葉にはまだちと早かったな。


井戸の沢を渡り


昨日昼の休憩をした場所で再度休憩


一口羊羹は登山の行動食に最適。
ただしこういう甘いものばかりだと、カロリーは足りても塩分が足らなくなる。


峠沢の渡渉点


傾斜のある沢の渡渉点。
ロープが濡れているので軍手を外そうとしたらば、手首にかけてぶら下げていたストックも一緒にすっぽ抜ける。
あれよと言う間に谷側へ落ちていくも、1.5m程下で止まってくれた。
斜面に這いつくばるようにして慎重に回収。
私の山道具の中では高価な方なのだ。


改めて。ここを渡ってもうしばし歩けば。


林道終点に戻ってきた。
もう危険のある場所はなくなり、一安心。


時間も順調。
ここからなら1時間で道の駅まで戻れるだろう。


そういや昨日、ここの橋の脇からハーネス装備した人が沢に降りていったっけ。
沢登りの人だったのかな。



例の広い場所まで戻ってくると、小雨がぱらつき出す。
本降りにはならないだろうと判断してそのまま。


料金所にほど近い、最後の沢水ポイントで汚れを落としてストックや軍手もしまってしまう。
這いつくばってストックを回収したときに、ズボンが汚れてしまったな。



道の駅みとみに帰ってきた


1013のバスまで25分はある。
昨日五平餅を買ったおばあちゃんから、今日は肉巻きドッグを買う。400円
山梨・長野の方で「肉巻きドッグ」という名で売られているものは、正確にはドッグ(フランクフルトソーセージ)ではない。
きりたんぽのように串にご飯を握り付けたものを、スライスした豚バラ肉で巻いたものを加熱調理したものだ。

時間もあるし、座れるか心配なので。
結局西沢渓谷入口まで向かうことにした。


西沢渓谷入口バス停では、私の他に2人いるきりだった。
心配いらなかったな。
バス停隣のお店でよもぎ餅や五目ご飯を売っていたので、2つ買って食べる。(160円×2)

……これがいけなかった。
バスに乗ってから、「そういや山梨市民バスはICカードが使えなかったな」と花かげの湯までの500円を用意しようとしたが、財布に小銭が480円しかなく、あとは万札しかない。
運転手も万札は両替できないという。
仕方ないので200円区間の笛吹の湯に変更する。


山梨市の市営、笛吹の湯でバスを降りる。
正面がデイサービス施設でこじんまりとした、商売っ気のないところだ。


デイサービスの奥側が笛吹の湯
小さい建物だな。


ぬるめの露天風呂にゆっくり浸かり、いつの間にか晴れた空を眺めていた。
お湯は悪くない。
風呂とこのロビーの他には、奥に12畳ほどのお座敷の休憩室と、セルフの給湯室。
それと明治の紙パック飲料の自販機があるきりのこじんまりとした施設だ。
銭湯に毛が生えた、という感じ。
ただ朝風呂を楽しむ地元のご老人たちはでかいザックをせおった余所者の登山者に暖かかった。
そこで聞いた話だが、この辺の地元の子は中学の遠足で乾徳山に登ったのだとか。
マジか。あの岩場をねえ。


ちなみに花かげの湯の方に入りたかった理由は、食堂が充実しているらしいのと、
近くの名刹・恵林寺に寄ってみたかった為。
もう一度バスを降りるのも面倒なのでもう駅まで行ってしまうことにした。
1:10後の次のバスはギリギリどうにか座れるほどに混んでいた。


山梨市駅
次の特急まで時間がなく、あわてて指定席券を買う。
昼飯を食いそびれてしまった格好だ。
まあそれほどお腹が空いているわけでもないし、車内販売でなにか買うか。


最後尾12号車の座席だった。
新型車両だったようで、各車両の後ろの方にでかい荷物、スキー板とかゴルフバッグとか登山ザックとかを置くスペースがあった。遠慮なく利用させてもらう。
乗車してすぐに車内販売がきたが、バタバタしていたので落ち着いてから買おうと思っていたのだが。
次に車内販売が着たのはもう立川まで着くかという頃だった。
信玄餅アイスだけ食べて、遅めのお昼は都内で食べるとしよう。



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標高1100mの西沢渓谷入口からだと奥秩父の主脈もぐっと近くなる。
都内からだとちと遠いものの、悪くない選択だな。
甲武信ヶ岳はちときついが、次来る時は雁峠・笠ヶ岳などもいいな。
ああ、でも乾徳山も行っておきたい。
ついでに「乾徳山」を山号とする恵林寺にも。

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