2017年12月2日土曜日

2017/12/2土 高速バスで行く滝子山寂ショウ尾根

2017/12/2土 高速バスで行く滝子山寂ショウ尾根

0705 バスタ新宿
0828 中央道笹子 1500円

中央道笹子バス停~寂ショウ尾根(南稜)~滝子山 4:00くらい
滝子山~スミ沢~道証地蔵~吉久保~笹子駅 3:00くらい

吉久保バス停時刻表(土休日)
 笹子駅方向:1536.1826
 初狩・大月駅方向:1318.1555

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前回滝子山~大谷ヶ丸を歩いて(2017/10/1の記事参照)、なかなか楽しかった
また行きたい、ないしは付近の別の山をあるきたい
そう思って大菩薩の地図を眺めていると思うのだが、大菩薩の南部の山々はアクセスが悪い、本当に悪いのだ
登山口はどこも街から遠く、路線バスを使ってもバス停からかなり歩く
マイカーならいいかというと、駐車スペースが地図や標識の案内がなく、実際停められそうな場所も充分でない
タクシーも大月からになり、遠方の登山口は結構な料金になる、ないし中途半端な距離で嫌がられる

そんな中で滝子山は比較的アクセスが良いとされる
初狩駅・笹子駅から登山口まで歩けないことも無い
だが前回の例で言えば
 笹子駅~甲州街道~白野下宿バス停 徒歩50分
 白野下宿バス停~林道~登山口 徒歩50分
と言った具合
甲州街道は路線バスがあるとはいえ、乗り換えに数十分待てばメリットは小さくなる

そんな中で色々調べているうちにあることを発見した
これは盲点ともいえるもので、滝子山に何度も登っているような人でもほとんどが気づいていないのではないか



それがこれ
中央道を走る高速路線バス、新宿~甲府線の「中央道笹子」バス停が登山口に最も近い
路線バスのバス停よりもさらに近く、
スミ沢ルートや寂ショウ尾根ルートを行く場合ここが最適ではないか?


 そんなわけでやってきました中央道笹子バス停
休日の中央道といえば渋滞が気になるが、朝の7時台ならば流石に空いている
新宿から1時間20分、1500円、確実に座れる、素晴らしい

高速バスを利用する人なら知っているだろうが、高速道路上の途中のバス停で乗り降りする人というのはまずほとんど居ない
(都心よりの、中央道で言えば府中とか八王子とかならば多少はいる)
下世話な推測をすれば、ほとんど利用者の居ない田舎の新幹線駅と同様で、高速道路が出来る際に地元への利益誘導とかの政治的なアレコレで作られるのではないかな?
確かに鉄道の通っていない地域ならば、東京名古屋大阪などの大都市圏に出られる手段があるのは悪いことではないだろうが、そういう地域の人はまず間違いなくマイカーを使うし、田舎の駅前なら駐車場にも困ることはないのだ



中央道笹子のバス停がここ


 ともあれ私としても高速道路上のバス停を使うのは初めてで、ちょっと新鮮な気持ち
高速道路から降りる所には頑丈な動物避けの扉がある
無論、田畑を守るための柵ではなく、高速道路上に野生生物が入らないようにするためのもの


 降りると原地区の田畑
周囲に店はおろか自販機の一つもない


 手前の低い山にはまだ茶色い色が残っているが、奥の滝子山は完全に落葉してしまって冬の装いだ


 原地区から北へ林道を進めば5分程で寂ショウ尾根への入口がある


 案内標識ではないが、達筆な字で「寂」の字が読み取れるので、ここであっているだろう


 程なくして小屋が見える


 左手の小屋と


 右手の小屋
どこかの山岳会が所有している私有の山小屋かな
外壁は古いが、コンクリの基礎のあるしっかりした造りだ

そして林道にあった看板はここのものだったか
図らずも寂ショウ尾根の漢字がわかった
寂ショウ尾根のショウは”りっしんべん”に”尚”と書くのか
(あるいは”悄”?)
常用漢字ではないからカタカナ表記なのか
私は逍か梢だと思っていた


 二軒の小屋の間を抜けて奥に行くと、なにやらキャンプ場のような
でも小屋同様しばらく使われていないような?


 だが困ったな
いきなり踏み跡が消えたのだ
ご覧の通りなだらかな雑木林なので、ひとまず地図とコンパスを見て、登山道があるはずの方角へ向かって進む


 歩けど登山道に出ない
妙だな?と思いGPSを入れる
すると



おや?
登山道はここよりももう少し南側だ
するとあの小屋の手前あたりに右へ折れる道があって、それを見落としたのだろうか
南へ向かって水平移動する

 んー、おかしい
GPSでルート上の場所へ移動してきたが、登山道らしき踏み跡が全く無い
そう、全くないのだ
前回滝子山に登った時、山頂でお昼を食べていると寂ショウ尾根側から団体さんがぞろぞろと登ってきたのを思い出す
あれだけの人が歩く道に踏み跡が見えないほど薄いなどということはありえない
どこかに登山道があって、そこから外れているのは間違いない
これは絶対



とすれば
山と高原地図は細かい所が結構アバウトなのは経験的にしっているし、そのことはこのブログでも何度か触れてきた
セカンドオピニオンが欲しくて地形図を出してみたが……そもそも地形図にはルートがなかった

泥縄極まりないが、ここは電波が届くためネットで調べる
今年4月に登った人のブログが見つかり、2軒の小屋の所で「←滝子山」の看板があり、そこを左へ曲がるらしい
左!?
右ではなくて??
それにそんな看板あったかなあ?

地形図を見てしばし考える
目の前の急斜面を直登していっても、どこかで登山道に合流はするだろうし、最悪でも大鹿林道には出る
だが踏み跡の全くない、地面のふかふかな急斜面を登るのはとても体力を消耗するものなのだ
滝子山まで標高差1000mあり、塔ノ岳より200m少ないとはいえ楽という程でもない
また寂ショウ尾根は破線ルートであり、上の方は岩場になっているらしいので体力は温存したい
ここは無理せずに小屋の所まで引き返すべし、と状況判断



 小屋の見えるあたりまで戻ってきた時、登山道を発見した
約20分のタイムロス



上の写真の場所がここ、おそ沢沿いに踏み跡があった
そして








道はこのように進む
ぜんぜん違うじゃないか!
山と高原地図が細かい所はアバウト、とりわけ破線ルートはいい加減なのは知っている
(最近だと四寸道でやられた)
破線ルートはある程度自分でルートファインドするものだというのも分かる
でもこれはあんまりだろう
帰ったら昭文社に訂正要求のメールでも送ってやろう


 斜面が一段と急になって、道がジグザグになりはじめたココ


 よく見れば右手の急斜面からあがってきたかのような跡がある
ははあ、私は引き返したが、頑張って登ってきた人が居るな?


 新しい鉄塔の建設現場?


 上の大鹿林道から鉄塔まで、資材を運ぶトロッコ用のモノレールが敷設されている
その脇を登っていく


 レールの下をくぐり


 大鹿林道が見えた


 大鹿林道に出る


 右手(東側)へ10m程進むと登り口がある
意外なことに大月市の設置した案内標識がある

道迷いのせいですっかり忘れていたが、まだ身支度していなかった
ポケットにゴテゴテ突っ込んだベストを着たままで汗をかいてしまったし、ザックのウエストベルトも締めずに肩で背負っただけ
コーラを少し飲み、靴紐・手袋・ストックなどの準備をする


 とりつきは結構急斜面


 尾根に出ればなだらか


 右手を見れば、前回登った檜平南尾根が見える



 明るく開放感のある、いい尾根道だ


 正面やや左手にとんがった峰がみえる
あれが浜立山だろうか
ちょうどいい具合に座れる倒木があるので、ここで小休止

ザックをあさっていて思い出す、そうだ、紙の地図も持ってきているのだった
スマホに入れてある地図は2014年版だが、紙のは最新の2017年版だ
どれどれ?


 正しいルートに直ってやがる

地図に執筆者の名はあるが、広い山域を一人で調査しきれるわけもなく、地元の山岳会などの協力を仰ぐのが一般的だ
そしてこの寂ショウ尾根の担当をした人は、GPSのトラッキングログを取らず、記憶だけで
「寂ショウ尾根は最初から最後まで尾根通しだったな。よし、エイヤッ!」
と間違った線を引いたのだろう
そしてそれに対する訂正が2014年版と2017年版の間に入ったと

最初は私も憤慨していたのだが、登っているうちに少し冷静になった
専門の山地図が信頼できる所以というのは執筆者の専門家性によるだけでなく、
実際に山を歩く多くの人々のフィードバックの蓄積、集合知による所も大きいのではないか

帰ったら昭文社に訂正要求のメールをしよう、と思った時は”文句を言ってやる”という気持ちがないでもなかった
だが山を登り始めて7年が経ち、こうして破線ルートを一人で歩く程度にはなった
ならばいつまでも「お客さん」でもないだろう
間違っている点については訂正のための情報を出すのもハイカーの務めではないか
(まあ、ここの訂正は既になされていた訳だが)

山道というのは、山登りの文化というは、多くの人のボランティアによって維持されている
私に出来ることなど何もないと思っていたが、その程度の事ならば私にも出来るだろうか


 徐々に尾根上が岩っぽくなってくる


 左手(西側)を見ると大鹿峠の向こうに南アルプスの白い山脈が見える
後ろ(南側)の富士山は雲に覆われて全く見えないが


 この赤い看板の裏あたりから


 結構岩っぽくなる
手も使って登るのだが、手を使わないと登れないからではなく、手を置きたいちょうどいい高さに岩角があるからだ


 地図上には危険マークがあるが、大したことは無いじゃないか
(と、この時は思った)











 そこそこな岩場がずっと続く
合わせて一本、で危険マークなのだろう
だがハテナマークについては納得行かない
道が不明瞭どころか、ずっと細い尾根上の登りで、道を外れようとしても外れることが不可能だぞ?


 滝子山から浜立山へ続く尾根に合流する
破線すら引かれていない浜立山への標識があるとは思わなかった
ただこれとは別に「この先危険」との標識もある


 細い尾根の登りで、後ろからチリンチリンと熊鈴の音が追い上げてきたのでどうにも急かされてしまい、脚がくたびれてきた
そう言えば腰をおろしての休憩は1回しか取ってなかったな
写真を撮る余裕がなかったが、浜立山への標識以降もそこそこ面倒な箇所はあった


 滝子山山頂に到着
お昼時なので15人くらいが休んでいる


 北側、大菩薩の山々


 南側、三ツ峠は見えるがその先はもう雲の中だ


 空いてる岩に腰をおろしてお昼にする
気温は低いのだが風は強くはなく、陽射しもある
前回来た時も思ったが、山頂と麓と標高差が1000mもあるのに、麓がとても近く感じる
中央道を走る車も一台一台が目視できるのだ


 鎮西ケ池を過ぎて、大谷ヶ丸との分岐
今日はここを左に、スミ沢ルートで降りる



 尾根上が防火帯として開かれている
開放感があってよい


 大谷ヶ丸への巻道の分岐


 筆文字か


 沢沿いになる


 橋が崩れいている
まあ、ここは浅いのでどうとでも


 ぺしゃんこになった廃屋
木の皮すら剥がしていない丸太の小屋とは


 沢沿いの悪路は避けて、曲沢峠側の道を行く
曲沢峠へあがる三叉路の所で若いカップルに山頂までの時間を聞かれる
あと1時間ほどだよ、と教えると驚いたような反応
地図を見せてあげる
うーん、山に慣れた感じではない
だが今からでもまだ日没までには降りられる時間なので詮索はやめておく


 ジグザグの急斜面を降りると再びスミ沢沿いに出る





 正面にガードレールが見える


 ここが道証地蔵
今はもちろん標識があるが、昔はお地蔵様が目印だったのだろう


 道証地蔵から5分ほど林道をくだると、道端になぜかこんな水場があった
ストックは畳んでしまってしまったが、知っていればここで洗うのもいいだろう
靴の先の泥を軽く流す

滝子山に登る道ではスミ沢ルートが一番人気があるらしい
なだらかな林道、沢沿いの登り、広々とした尾根道と、変化に富んでいて確かに楽しい
だが、道の状態は決して良くはない
沢にかかる橋が傷んでいたり、斜面の巻き道が崩落気味だったり、滑りやすいぬかるみがあったりと、結構気を抜けない
危険かと言われれば、危険って程でもないのだけど
初心者にはちょっと勧めにくいというか
安全性でいえば、前回登った檜平南尾根の方が(地図では破線だけど)安全だと思う


 中央道を渡る橋
目の前に新宿行きのバス停があるが、帰りは高速バスは使わない
高速バスは予約必須だが、初めてかつ長めの山で、下山時間の予測がつかないし、周辺に時間を潰せる場所も無い
それに休日の夕方ともなれば中央道の登りは渋滞するのがお決まりなので


 原地区を通り、吉久保地区へ向かう


 最後に滝子山を振り返る
寂ショウ尾根、程よい歯ごたえで楽しかった


 吉久保のバス停
この時14:55
笹子駅経由の新田行きバスは40分後
初狩駅・大月駅行きのバスは60分後
笹子駅まで歩いても25分程度なので歩いてしまおう



 国道20号沿いに立つ笹一酒造
日本酒の蔵元であり、見学者を受け入れつつ直売もやっている
この時も西武のバスと団体さんが来ていた
私は、日本酒はあまり飲まないのでパス


 笹子駅前


 駅前にあずま屋があると思いきや
直売所だった
まあ、今はご覧のとおりなのでここで荷物整理して片付ける


 笹子駅15:35発の電車で帰る
中央道笹子バス停は登山口へ近いのみならず、鉄道よりも安くて早い
もちろん高速バスは道路事情で遅れることがあり、鉄道よりも信頼性で劣る

だが滝子山へ寂ショウ尾根やスミ沢で登るのならば、高速バスの中央道笹子バス停は便のいい選択肢だ



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