2019年5月4日土曜日

2019/4/28日~30火 はじめての雪山の厳しさ@赤岳(途中撤退)

2019/4/28日~30火 赤岳(途中撤退)

1.はじめに
2.計画立案から前日まで
3.一日目
4.二日目
5.三日目
6.精算
7.反省点



1.はじめに
平成が終わり、令和になる。
それに伴ってカレンダー上では10連休となる。
今の私の仕事はカレンダー通りの休みであり、おそらく失業しない限りもう10連休できる機会など二度とないだろう。
身の程をわきまえずに言えば、アルプスの大縦走などやってみたいなと思うこともある。
とはいえGWの3000m級はまだ冬山、私には無理な世界。
でもせっかくの機会だしどこかでテントでも置いてのんびりしたいな。
八ヶ岳の麦草峠まで行って、近くの白駒池をベースにできないだろうか。
と、ぼんやり思うまま仕事に追われ、気がつけばGW初日を迎える。



2.計画立案から前日まで
初日は仕方ない、安静日と準備に充てるとして。
朝一番でやるべきは特急の指定席を押さえられるかどうか。
これは問題なく、あずさ1号の茅野駅までの指定席券を確保できた。
では次にバス等の乗り換えだけど……
ここでうっかり。
アルピコ交通の諏訪バスはGWの初日に冬ダイヤから夏ダイヤに切り替わる。
だから麦草峠までのバスもあるものと思い込んでいたが、そこは6月にならないと麦草峠まではバスは上がらないようなのだ。
では次善の策は何かといえば。

・北八ヶ岳ロープウェー
 ~バスが長くロープウェーと合わせて交通費もかさむ。おまけに双子池ヒュッテにしても麦草峠にしても少々歩く。

・渋の湯
 ~コースは危険箇所ないらしいが、稜線上の高見石小屋まで重いテント泊装備を背負って上がるのが嫌かな?

・美濃戸口
 ~消去法でこれになるだろうか?
  バス停から赤岳鉱泉までは遠いものの、
  道はなだらかなのでゆっくり歩けば体力も消耗しないだろう。
  まだ未経験の阿弥陀岳の方に登ってみたい。

次に天気予報
4/28と29は問題ないが、4/30が崩れるっぽい。
最終日は下山だけなので雨でも大丈夫だろう。

そして積雪の状況
……なんだけど。
どうもまだかなり雪が残っているらしい。
阿弥陀・赤岳・横岳の通過にはピッケルが必要とある。
文三郎道は厳しいか?
一度夏道で歩いている地蔵尾根ならば、ひとまず行けるとこまで行ってみる事はできるだろうか。
現地判断でそれすら厳しいようなら、比較的簡単そうな硫黄岳へのピストンに切り替えてもいい。

でとりあえず計画したのが以下の通り。
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0613 王子
0618 赤羽
0622 赤羽
0636 新宿
0700 新宿 あずさ1号
0907 茅野 3350円+指定席2200円

0925 茅野駅 西口4番乗り場 アルピコ諏訪バス 美濃戸口行
1003 美濃戸口 1000円

■1日目
美濃戸口 1490m
↓3:40
赤岳鉱泉 2220m

テント泊 1000円☓2日

■2日目
赤岳鉱泉
↑1:55
↓2:35
硫黄岳 2760m

赤岳鉱泉
↑2:35
↓3:05
赤岳 2899m(地蔵尾根)

■3日目
赤岳鉱泉
↓3:00
美濃戸口

■帰り
八ヶ岳山荘 入浴500円

美濃戸口からのバス
1020.1120.1320.1445.1620
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明日の荷物を準備する。
装備、これにあとマットとストック。
マットはザックの中に入れたかったが、それをすると荷物が入り切らない。

食料。あとお煎餅があったのでそれも持っていく。

マットはどうしようかと悩んだが、ひとまず歩くのに一番邪魔にならなさそうな背中側につけた。



3.一日目

朝の新宿駅。
さすがGW、特急列車の臨時便がものすごい勢いで組まれている。


茅野駅
ここから美濃戸口行きのバスを待つ。


バス停前のそば屋。
時間があえば帰りによってみるか?


美濃戸口へ向かうバスの車窓から。
乗客は意外と少なく、15人位。
バスも余裕を持って座れる。


美濃戸口へ向かう途中の実践農業大学校


美濃戸口着。
トイレを借りて、登山届を提出する。
長野県は登山届けが条例化されている。


10:21出発


まずは林道を美濃戸へ



小一時間で美濃戸
準備をしている山荘の人が、歩きの人が多いのを不思議がっていた。
昨日から夏ダイヤになったのを把握していないのだろうか。
ここ美濃戸はマイカーで来る人のベースで、バスの人は美濃戸口からになるからかな。


美濃戸を進むと正面に赤岳が見えてくる。
ふむ、雪はそこまで多そうには見えないが。



美濃戸山荘の正面が、北沢と南沢の分岐。
以前来たときは南沢から行者小屋にむかったのだっけか。


赤岳へ登るなら、テント泊のベースは行者小屋にしたい。
だが行者小屋はまだ開いていないのだ。
赤岳鉱泉へ向かうので、今回は北沢コース。


どうにもならないツルツルの凍結が出てきたので、軽アイゼンをつける。
先月雲取で使用して気に入った、モンベルのスノースパイクシングルフィット。


脇に凍結がなければそっちを歩けばいいのだけど。


避けようのない場所では軽アイゼンかチェーンが無いとつらい箇所がいくつかあった。


物置のような小屋と、車が停まっている。
ここが堰堤広場?


そこから100mほどで実際に堰堤。
ここが林道終点になる。
ちと疲れたので平らな岩に腰を降ろしてせんべいをかじる。
のんびり休んでいると、同じバスで来た人はあらかた追い越していったようだ。
後ろからプレッシャーの無いほうが私はありがたい。


さて、ここかやようやく山道にはいる。


まだ緩めだが傾斜のある圧雪も出てくる。
再び軽アイゼンを装着。



沢の渡渉点にはすべて橋がかけてある。
しかし滑らないようにつけてくれている横木がボロボロだ。


陽の当たる場所が続くと見るや、さっと軽アイゼンをはずす。
これ、慣れてくると重いザックを背負ったままでも前にちょっとかがんで片手ではずせる。
チェーンと違ってはずした後もコンパクトで汚れも少ない。


アイゼンをつけたまま歩くから、木道がこんなにボロボロになってしまう。
木道にも雪があって滑るときは仕方ないけど、なるべく木道を傷めないやつを使ってほしいね。


再び圧雪が出てきたので装着する。
一度はずした後はケースにしまって、腰なり肩なりのベルトにぶら下げておけばすぐに再装着できる。
一連の装着&脱着の繰り返しで、私のなかでの最高の4本爪はこれになった。
これだ、これこそが4本爪軽アイゼンの究極あり方だ。
どうしてもっと早くこれを買わなかったのだろう。


稜線がみえてきた。


赤岳鉱泉が近づくと、積雪も厚くなってくる。


遠目にも異様な物体と、小屋がみえてきた。


これか、通称アイスキャンディーと呼ぼれる、アイスクライミングの練習場というのは。
でもこれはもう今シーズンの営業は終了して、自然融解にまかせているような塩梅だ。


アイスキャンディーと赤岳鉱泉と、背後に横岳~赤岳


小屋の玄関がわかりにくく、通り過ぎてから引き返す。
テント泊受付1000円
温泉の日帰り入浴ももうやっているらしいが、まあいいや。
水場はまだないらしく、小屋の中のタンクから水を分けてもらう。


さて、テントはどこにしようか?
まだまだいくらでも場所はあるのだけど。
結構陽当りが良くて気温も高いからか、平らな場所はぐちゃぐちゃになってる。
こういう場所にテントを置けば、下から水が滲みてくるので避けたい。


比較的雪の締まってそうな、あえて少し傾斜のある場所に設置する。
周囲を見回してみて、強風の心配はなさそうな地形と判断。
張り綱は要らないだろう。
ただ今ひとつペグの刺さりが心もとない。
圧雪の下が氷なんだか石なんだか。

テントの中で横になって休んでいたが、やはり傾斜が気になる。
マットの上で体が滑る。
一旦ペグを抜いて、テントを平らな場所へ引きずって移動させる。


移動させた横にこれ。
空き缶が捨ててあるのかと思いきや、中身が入っている。
誰かが冷やそうと雪の中に置いて、忘れていったのだろうか。


「ゴミ」は拾わないとね。


ヤッホーブルーイングのビールは香りが良くて好み。


賞味期限が1909年?


一眠りした後、明日のプランを考えつつ晩飯にする。
明日は……ひとまず行者小屋まで行って、現地で判断して文三郎尾根か地蔵尾根か判断しよう。


雲取同様、貼るタイプの使い捨てカイロを足に張る。
そしてこれ、この冬はほぼ使う機会のなかったハクキンカイロ。
使い捨てとは熱量が違うのだよ、熱量が。
けど片方の火口が傷んでいるのか、反応が悪い。
反応が始まっても、もう片方ほど熱くならない。
火口は2年持つとされているが、来シーズンには買い替えだな。



4.二日目

先月の雲取とは雲泥の差で暖かく眠れた。
雨具の上下・スパッツ・10本爪アイゼンと私の手持ちではフル装備といっていい準備。
ストックのキャップははずしていく。
小さいバスケットも外そうかどうか悩んだが、もし雪が柔らかいとストックが刺さりすぎてしまうかもしれないのでつけたままで。


予報通り、良さそうな天気だ。


6:29出発
まずは中山乗越を越えて行者小屋まで


昨日避けた平らな場所
ぬかるみが凍結してスケートリンク


トレースは明瞭だが、踏み固められた場所の脇には踏み抜いた後がいくつもある。


橋の上の一本橋


やや急になってくる。


そこそこの傾斜地をジグザグに登る。
踏まれている場所は圧雪になっているが、少しはずれると踏み抜いてしまう。
谷側を踏み抜くと危ないのでなるべく山側を歩く。

赤岳鉱泉は通年営業していることもあって、初心者向けのスノーハイクコースとして、
1日め、美濃戸口~赤岳鉱泉
2日め、赤岳鉱泉~中山乗越展望台、その後は北沢か南沢で美濃戸口へ戻る
というコースが「軽アイゼンでも歩ける」コースとして紹介されている。
ただこの場所を歩いた感じだと、4本爪やチェーンではちょっと心もとないかも。


中山乗越


5分ほど西へ行けば展望台があるらしいが、それは帰りに余力があれば


赤岳展望荘OPENのおしらせ。
だけどここまで来た人間はすでに宿泊地決めてると思うよ。


行者へは少しくだる。


あれ?テントが
行者小屋は閉まっているのに?
ひょっとして赤岳鉱泉(同じ経営)で受付すれば、こっちでテント張っても良かったのかな?

小屋前のベンチに座って小休止&他の人を観察。
他の登っていく人たちは……ヘルメットにピッケル、爪の長い本格的なアイゼンを装備している。
一人の例外もなく、ね。
いや、私がその例外か。
やはり阿弥陀や文三郎は厳しいか。
よし、一度経験のある地蔵尾根で登ろう。
それで無理そうならそこで引き返そう。


地蔵尾根の英語表記、これ「ジズーンリッジ」って読まれてしまわない?


まずは樹林帯
上から降りてくる人たちに状況を聞く
「ピッケルは……無くてもなんとかなるかも」
「稜線上は風が強い」
「今朝はむしろ雪が硬く締まって歩きやすい」
などなど


尾根筋にのり、傾斜がきつくなってくる。


今の所ストックでなんの問題もなし、むしろストックの方が歩きやすいだろう。
ただ……
傾斜のきつい圧雪箇所で、アイゼンの爪の利きが悪く感じる。
私の10本爪は本格的な冬季縦走用のアイゼンではなくて。
モンベルのスノースパイク10をパクったようなYUAGEの10本爪で。
本格的なやつと比べると爪が短い。
表面の柔らかい雪に阻まれて、下の硬い雪にまで爪が届かないようなのだ。
そのため急斜面に置いた足がズズッ……と動いたりしてどうにも不安だ。


階段は出ているが、ステップの上に斜めに圧雪がついていたりして。
手すりにつかまりながらのぼる。


写真だと伝わりにくいが結構な急斜面になってくる。
皆地面に対して並行に足を置いている為、ステップが無く平らだが。
私の10本爪はいまひとつ地面をとらえてくれない。
これは……
ぼちぼちここらが限界かな?
「ピッケルが無くともなんとかなる」というのは、少なくともアイゼンはちゃんとしたものを履いている事が前提の意見だろうな。

一息ついたら引き返そう、と思ったのだが。
このさきで急斜面にもかかわらず、踏み跡の脇にお尻をついて休憩?しているおじさんがいて。
その人の視線もあって引き返すのがなんとなく決まりが悪い。
もうちょっとだけ登ってみようとすすむ。

そのおじさんの横を通過するときにいくらか話をしてみた。
「この上を登れば急傾斜はひと段落、あとはナイフリッジですよ」と言う。


見上げるとなるほど、ため息が出るような急傾斜
(写真だと伝わりにくいな、もう)
だがその上で岩場に変わる。
そこまでは行ってみようか。
あまりに傾斜がきつくなってきたためか、ステップが切られているのでむしろさっきまでより歩きやすい。


急傾斜の箇所を通過して一息


上を見上げると、おお、稜線まであと一息ではないか。
だが岩と圧雪と氷のミックス状態。
夏ならば頼れる鎖も雪のしたに。
そして話の通り風が強くなってきた。
しばし眺めて、「ここまでだな」と判断。
地蔵の頭までは多分行ける。
行けるだろうけど……

例えばここで左手側に滑り落ちると、自力でコースへの復帰できるかちょっと怪しい。
それなりの傾斜をそれなりの距離滑落するので、多分どこかにぶつかって無事ではすまないだろうし。
ここで小さな危険を冒すよりも、ちゃんとした装備と練習を整えてから来るべきだろう。
ここまでずっと「雪山はやらない」方針で来たが、なるほど、確かに雲取あたりとはまるで勝手の違う世界だ。


岩に腰かけて西を眺める。
下に行者小屋が見える。
向こうには茅野。



せめて諏訪湖を拝んでから下山したかったが、なかなか雲がどいてくれない。
風も強くて体が冷えてきたので諦めて降りる。


夏道用の階段はあるが、踏み跡はそちらを通らない。
上りもそうだったが、あまりに急な斜面はキックステップが踏まれているので慎重に歩けば怖くはない。


むしろステップのない平らな急傾斜の方が爪が利いてくれるかどうか不安で怖い。
アイゼンというのは本人の好みや技術がどうであれ、
皆が使っているのと同種以上のものを装備せねばならない、という面はある。
「自分は4本爪で大丈夫」と思っても、傾斜地で皆が6本爪で平らに踏み固めてしまえばやや難儀するだろう。
6本爪と10本爪とでも同様だし、爪の短い10本爪と本格アイゼンとでも同じことは言えるだろう。


この階段を慎重に降りれば、


もう危ない箇所はなくなる。


行者小屋で小休止したのち、赤岳鉱泉に戻る前に中山展望台に寄っていこう。


横岳~赤岳~阿弥陀岳の眺めが素晴らしい場所、らしいが。
あいにくと雲の中だ。


赤岳鉱泉に戻る。
まだ10時ごろで体力的にも消化不良。
さりとてここから硫黄岳までピストンしてくるほどかといえば、そこまで元気でもなく。
おとなしくテントに籠もって本でも読んでいよう。

午後になってもう一泊のテントの受付をしてから周囲を見回すと、昨日と比べてやけにテントが少ないのが気になる。
そういや、明日は天気が崩れるのだっけか。
本日撤収するという手もあったかな。


夕方、暗くなる前にトイレに行っておこうと外へでると、雲がこの高さにまで降りてきている。



5.三日目
4時半頃に目が覚める。
昨夜はずっと降っていたようだ。
新雪が10cmくらい積もっている。
今も降り続いているが、ややみぞれ混じり。寒くはない。

テントを撤収して6:10頃に下山開始。
美濃戸口からのバスが10:20なので、風呂と食事で1:30は余裕がほしい。
雨合羽を着込んで歩くため、いつもにもまして汗をかかないようにする。
高度を下げるほどにみぞれが雨に変わっていく。
温かい雨で圧雪の表面が洗い流されるせいだろうか、おととい登ってきたときよりもツルツルの箇所が多い。


堰堤広場の小屋の軒下で小休止


小屋の中をのぞく


予定より早く、8:20頃にもどってこれた。
ゆっくりと荷物を片付ける。


風呂は貸し切り
30分くらいのんびりつかる。


風呂上がりにビール
ついているテレビをみやると平成を振り返る番組をやっている。
数日ぶりに山から降りてこういうのをみると、タイムスリップしたような気がする。


そばの旨さはさすがの信州。
でもつゆが甘い。
いや、東京のそばつゆが辛いのだろうな。
こんな小雨模様でも登山者はそこそこやってくる

この八ヶ岳山荘は赤岳展望荘と同じ経営らしく、団体客も受け入れている模様。
毎日アルペン号とかの夜行バスで未明に来ると、ここで数時間仮眠してから出発するらしい。
ちょっと俗っぽい山小屋かと思っていたけど、使わせてもらうと思いの外いい小屋だった。


八ヶ岳山荘の向かいの小洒落たカフェ?
登山者ではなくて、周囲の別荘族むけだろうか。
でも表の黒板をみると、登山者向けの入浴プランとかもあるようだ。


茅野に向かうバスの車窓から、八ヶ岳を見れないものかと思ったが。原村は深い霧の中だった。


茅野駅でお土産を買い、改札脇の立ち食いそばで鹿肉そばを食べる。
この立ち食い、そばが「特上」(3分)と「立ち食い」(1分)と2種類ある。
多分生麺とゆで麺の違いだろう。

特急の指定席券だけ買って、改札を通ろうとしたが、改札が反応しない。
あれ?と財布の中を確認するもSUICAが入っていない。
おとといの朝コンビニと新宿駅ホームで使用したので、家に置いてきたということはない。
帰宅後に確認したがやはりなく、どこかで亡くしたのか。
定期券が入っていないのは幸か不幸か。
チャージが1万円位入っていたのだけどな。



6.精算

・会計
交通費 13100円
テント場代 2000円
自販機・トイレチップ 300円
入浴・食事 1900円
合計 17300円
(登山に直接関係しない買い物・食事は除く)

・持参食料
インスタントラーメン4食 ~完食
スープ5食 ~完食
インスタントコーヒー4杯 ~未使用
紅茶6杯 ~2杯残し
ブロック食3箱 ~完食
せんべい一袋 ~完食
フルグラ500mlボトル ~7割残し

多すぎず少なすぎず、ちょうどよい量だった。



7.反省点
計画が直前の立案で、現地状況などの分析が足らなかった。
結果として「冬山はやらない」というポリシーに反して、まだ冬山の八ツに突っ込むことになった。
それでも、ピッケルや本格的なアイゼンが必要なのはどういう状況なのかということが肌身で理解できたのは悪くなかったと思う。
そしてそういう箇所で「怖い」と感じるのと同じくらいに「楽しい」と感じたのもある。
今後ポリシーをかえて冬山もやるようになるのかはまだ分からないが、やるならば今まで以上に慎重に、簡単な所から訓練を重ねないと行けないだろうな。
装備も色々と揃える必要があるので気が重い。


2019年3月31日日曜日

アイゼン考(2019版)


新しく書き直したのでこちらを見てください

軽アイゼンの選び方(2020年版)
https://yamatabinokiroku.blogspot.com/2020/05/2020.html

(2020/5/8)













あまり人に見せることは考えていない私のこの山ブログだが、それでも見てくれる人がいるのは単純にうれしい。
過去に2回アイゼンについて思うところを書いたが、実はこれの閲覧数が意外と多い。
私自身いろいろな種類のあるアイゼンにどれを買ったら良いのか迷い、また実際いろいろ買って試してきた。
そしてそのへんを説明してくれる所が少ないなとは感じていたのだ。
だから同じように思って調べている人がここにたどり着くのかもしれない。

ただその割に、過去の記事では十分に・わかりやすく説明できた気がせず、ずっと気にかかっていた。
今年の冬は暖冬でアイゼン類を使う機会がなかったが、先週の雲取では少し使う機会もあった。
そのへんも含めて書き直しをしてみる。

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1.分類

大分類中分類小分類
アイゼン本格アイゼン12本爪
アイゼン本格アイゼン10本爪
アイゼン準アイゼン10本爪(小型)
アイゼン準アイゼン8本爪
軽アイゼン6本爪6本爪
軽アイゼン6本爪6本爪(巾調整型)
軽アイゼン4本爪4本爪(2本締め)
軽アイゼン4本爪4本爪(1本締め)
チェーンチェーン古典チェーン
チェーンチェーン爪付チェーン
チェーンチェーンプレート型チェーン
その他その他スパイク長靴
その他その他滑り止め
この表には私独自の呼び方も含まれるが、特に呼び方が存在しないだけで存在自体は「ああ、アレのことね」と同意してもらえるような内容のつもりだ。
特段私独自の解釈というわけではない。
大分類として、
 アイゼン:靴底全体を乗せるもの
 軽アイゼン:靴底の一部を乗せるもの
 チェーン:自動車のタイヤにチェーンを巻くように、靴底にチェーンを巻くもの
がある。
だが実際にどういったものを買うべきか、と考えるならば次に説明する中分類から選択することになるだろう。


1-1.本格アイゼン
アイゼンの中でも本格的な冬山登山に用いるもの。
森林限界上の急斜面を登降し、ピッケルなどを併用する事を想定している。
特にアイスクライミングに用いるもの(12本爪)は前爪が大きく頑丈に飛び出ている。
これについては私から説明する事はできない。
知識も経験も無いので。

1-2.準アイゼン
準アイゼンという呼び名は存在せず、私が便宜的につけたもの。
靴底全体を乗せるアイゼンではあるのだが。
プレートが小さかったり、爪が短めだったりで、本格的な冬山登山に用いるものとはちょっと毛色が違うものを指している。
本格的な冬山登山はしないが、靴底の一部しかカバーしない軽アイゼンは嫌だ・歩きにくくても靴底全部が乗るアイゼンが良い。
そんな人のための製品だと思う。

1-3.6本爪
おおよそ靴底の半分程度の長さ。
足の裏の親指の付け根あたりから踵の中程あたりまでが乗ることになる。
必要十分な滑り止めの機能性は確保しつつも、歩きやすさも考慮したバランス型。
小ささや軽さの点でもアイゼンより分がある。
軽アイゼンの王道とも呼ぶべき製品。
但し後述するが結構クセもある。

1-4.4本爪
靴底の土踏まずを乗せる小さな軽アイゼン。
靴のしなりを妨げないので、軽登山靴との相性がよい。
歩きやすさを重視しつつも、最小限の滑り止め機能は欲しい時に最適。
基本的には「アイゼン類などをつけずとも滑らないあるき方ができる」ことが前提となる。
その上で、滑らないあるき方ではどうにもならない圧雪・凍結にたいして威力を発揮する。
小ささや軽さの点でも優秀なので、使うかどうか分からないがザックに入れておくべき残雪期・春山に持っていくにも向いている。
価格も非常に安い。
但し。まったくの初心者が最初に買うには不向きかもしれない。
歩きかたにコツが必要で、かつ慣れないうちは土踏まずが痛くなる。
軽アイゼンとしてはオールドスクールではあるものの、チェーンが初心者向きとなった今では玄人好みといえる。
実際山でもあまり使用者を見かけなくなってきている。

1-5.チェーン
車のタイヤにチェーンを巻くがごとく、靴底にチェーンを巻いてしまえという発想。
昔は「あんなもの山で使用するものではない!」という考えもあったが、モンベルがチェーンアイゼンを出した頃から風向きが変わったように記憶している。
軽アイゼンと違って靴底のほぼ全体をカバーし、かつ靴のしなりを妨げない。
靴と地面との間の異物感も小さく、とにかくコツや慣れが必要なく初心者でも歩きやすい。
特に雪のない地面の上でも違和感が小さいので、まったく雪のない日向と、薄く凍結した日陰とがミックスした低山でつけっぱなしにできる。
現在ではもっとも初心者向きとして勧められる。

1-6.その他
一応そういうものもある、程度。

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ここからは小分類、具体的な製品で見ていく
モンベルが多いが、他のメーカーでも同等品があればそちらでも同じだろう。

1-2-1.10本爪(小型)

モンベル・スノースパイク10 8400円
つま先から踵まで、靴底全体に滑り止めが利きつつも爪が長すぎず低山でも過剰にならない。
特に前爪が短く、靴先から飛び出ないので邪魔にならない。
左右の幅は靴底よりも細くなっている。

YUEDGE・名称不明 4000円位
モンベルのスノースパイク10と同じコンセプトの安価品。
所持していて、数回使用した。製品自体は別に粗悪品ってほどでもない。
但し付属のケースはいきなりファスナーが壊れた。
「軽アイゼンではなくアイゼンが欲しいが、いきなり高価なものはちょっと。
 まずは安価なものでどんな使い勝手なのかを試してみたい。」
という向きにはよろしいかと。
(2019/5/4追記)
GWの八ヶ岳で、皆が爪の長い本格アイゼンを使用している中で、私はこれを使用してみた。
ピッケル刺しながら支点を取るような傾斜地では、この爪の短さは心もとない。
キックステップが切ってあるような場所なら良いのだが、皆が足を地面(傾斜)と並行に置いているような場所だと、この短い爪では雪の下の硬い圧雪・凍結まで届かず、置いた足が滑ってしまう。
確かに軽アイゼンとは違ってつま先側だけ・踵側だけで傾斜地に立つ事はできるのだが、さりとて本格的な冬山には力不足。
ではどういう状態の山に向いているのかと考えると……
ずいぶん中途半端な製品に思えてくる。



1-2-2.8本爪

モンベル・カジタックス8本爪アイゼン ※終売
分類というか、この1製品しか存在しない孤高の存在。
前爪が存在せず、つま先の爪が下向きに生えている。
小ささなステップにつま先で立つ事を想定しているのだろうか?
昨年まで売っていたが、今確認したらもう扱っていないようだ。



1-3-1.6本爪

モンベル・スノースパイク6 5200円
中分類のところでも述べたが、6本爪は軽アイゼンの王道ではあるが、一方でクセもある。
メリットはアイゼンよりもかなり歩きやすいこと。
特につま先が曲げられる点は大きい。
踵の真後ろに爪がないので、下りで踵の爪を引っ掛けることもない。
それでいて十分な滑り止めとしての機能は残している。
強いて言えば、急斜面の登りで不注意な歩き方をしているとつま先だけで地面を蹴ろうとしてしまい滑ることがある。
デメリットというかこの6本爪のクセなのだが、急斜面を歩いていると靴底でずれやすい。
ずれることによってテープバンドが変な締め付けになって食い込み、足が痛くなる。
柔らかい軽登山靴ではなく、固い登山靴ならばそのへんのデメリットも気にならないのかもしれない。
実際に所持していて、結構たくさん使った。
そのうえで言うならばこれは全く私の好みではない。
おそらくモンベル以外の同等製品も同じクセはあるだろう。
6本爪を買うならば、少し高くても次の幅調整タイプの製品を買ったほうが良いと思う。



1-3-2.6本爪(幅調整タイプ)

モンベル・スノースパイク6 クイックフィット 5800円
エバニュー・6本爪アイゼン 6000円位
所持していないので正確なところは断言できないが、どちらのメーカーでもほぼ同じだろう。
6本爪軽アイゼンの高級品版。
・プレートの幅を靴に合わせて調整できる。
・またテープバンドではなく硬めのシリコンでハーネス形状が作られている事。
・そしてそのハーネスがラチェット式で装着・脱着が楽なこと。
 が違う。
特にハーネス形状が作られているというのが大きく、テープバンドと違ってずれにくく、ずれることによるへんな食い込みをしないのではないかと期待できる。

冬の低山歩きをする上で、仮にアイゼン類はどれか一つしか所持できないのだとするならば。
おそらくこいつを選択するのがベストではなかろうか。
私自身も正直購入したいという気持ちはあるが、
個人的なことを言えば4本爪が好きすぎて、本来なら4本爪では力不足な場面でも4本爪でなんとかしてしまうクセがついてしまっている。
少し厳し目の山(真冬の丹沢の主脈上とか)に行くことがあれば、流石に4本は無謀なのでこいつを購入したい。



1-4-1.4本爪(2本締め)

イワタニプリムス・アイ・トレック 4本爪軽アイゼン 3000円位
以前はマウンテンダックスで扱っていた製品だが、倒産によりイワタニプリムスが扱うようになっている。
私が初めて買ったアイゼンでもある。
4本爪は土踏まずを乗せるのと、踵と靴の甲側とで締めることから6本爪ほどずれやすさは無い。
中分類のところで述べたが、基本的にアイゼン無しでも滑らない歩き方をする事が前提であり、
そうした歩き方が身についていたとしても滑ってしまうようなゆるい傾斜の凍結や、そこそこの傾斜の圧雪でも滑らないようにしてくれる製品である。
フラットフィッティングといって、地面に対して平らに足を置く歩き方。
4本爪をつけているならば、土踏まずから生えている爪をしっかり地面に打ち込むようにする。
踵から着地したり、つま先側で地面を蹴ったりすると、爪が利かずいとも簡単に滑る。
また慣れないと雪のない硬い地面を歩くときに土踏まずが下からの突き上げを食らって痛くなる。
これに関してはそのうち慣れるにしても、やはり初心者にはおすすめしにくい。


モンベル・コンパクトスノースパイク 2100円
現在私が最も愛用している軽アイゼン。
カテゴリ的には4本爪だが、左右に3本づつ・中央に2本、H型に並んでいる。
これは多少傾斜のある凍結箇所でも比較的制動力を高められるような刃並びでもある。
4本爪の形状でも性能の限界を少しでも高めようという工夫を感じる。
とはいえやはり凍結した傾斜のある場所で4本爪は怖いことに変わりはない。
6本爪以上を使うべきだろう。
そういう意味では人には強くおすすめできない。


エバニュー・4本爪アイゼンバックル式 3000~5000円?

4本爪の最高級品。
6本爪の幅調整型のようにシリコンハーネスかつラチェット式である。
4本爪マニアとしてはそそられる製品ではあるが、6本と違ってそもそもそんなにずれやすくは無いし、外した後で嵩張りそうな気もする。



1-4-2.4本爪(1本締め)

モンベル・スノースパイク シングルフィット 1800円
一般的な4本爪軽アイゼンと違って、踵側では締めない。足の甲側だけで締める。
初めて見た時から、
「簡単に外れてしまいそうだ。安いだけの欠陥品ではないか?」
と思っていた。
しかし何年も低山歩きで軽アイゼンを使っているうちに気付いてきた。
軽アイゼンの性能とは圧雪凍結のある箇所で滑らない事だけではなく、
圧雪凍結の無い箇所での邪魔にならなさでもあるのだと。
コンパクトスノースパイクは前者の性能を突き詰めた製品で、
このスノースパイク シングルフィットは後者の性能を突き詰めた製品なのだと。
すなわち、圧雪凍結の無い場所では外してしまう。
つけたり外したりが最も簡単で、かつはずして付属のケースに入れた状態がじゃまにならない。
ポケットにいれておけて、必要な箇所がまた出てきたら簡単につけ直す事ができる。
そういう製品なのだ、これは。
傾斜地での信頼性は低いだろうが、そもそも4本爪とはそういう場所で使うものではない。
(2019/5/4追記)
GWの八ヶ岳でこいつを使用してみて、すっかり気に入ってしまった。
つけたりはずしたりが楽な事はすでに分かっていたが、テント泊装備の重いザックをせおったままでも、ちょっと前にかがめば片手で外す事ができる。
(装着は流石に両手をつかう)
この軽アイゼンには前後の向きはあるが、左右の指定は無い。
無いのだが、留め金がフックになっている方を内側・リングになっている方を外側にすると良い。
例えば右足につけたこいつをちょっと屈んで右手で外す場合、親指でフック側を抑えて、人差し指・中指・薬指でリング側を引き寄せつつ少し浮かせれば、片手ではずすことができる。



1-5-1.古典チェーン

ルッド・チェーンアイゼン 5000円位
私が2番めに買ったもの。ド素人には4本爪を扱いかねて、もっと楽なのは無いかと探して行き着いたのがこれだった。
今のように山用のチェーンが各社から出る前で、山でこれを使っている人なんて私くらいのものだった(ちょっと自慢)。
とても歩きやすいが、カチカチの凍結には食いつきが悪い。
土踏まずの部分が開いているので、4本爪を装着した上からこれも装着することができた。
チェーンが氷玉をまといやすいのが難点。
一度氷玉になってしまうと、一度外して地面に叩きつけたりして氷を落とさないと重い。
また歩きやすいからと岩角に立ったりしていたものだから、2年目にしてチェーンが切れてしまった。



1-5-2.爪付チェーン
いつの間にかチェーンの使い勝手の良さが認識されるようになっていた。
またガチな冬山登山では使えないと言っても、低山あるきには充分であること、
何より初心者でも扱いやすいことが知れ渡って登山道具メーカーがこぞってチェーンを扱うようになった。
今ではもう「あんなものは山で使うものじゃない」などと言われない。
そして現在チェーンといえばこの、爪付きタイプが主流となっている。
チェーンの欠点である、凍結箇所での食いつきの悪さを改善したのだろう。

モンベル・チェーンスパイク 4600円

スノーライン・チェーンセンプロ 4500円位
どちらもチェーンの一部が小さな爪を持ったパーツに置き換えられている。



1-5-3.プレート型チェーン
チェーンの最新の傾向。
チェーンの一部を爪付きパーツに置き換えるのではなく、爪付きのプレートをチェーンでつないだような形状をしている。

カンプ・アイスマスター 5000円位
もはやチェーンと呼んで良いのか怪しくなってくる。
ただ評判は良いらしい。

YUEDGE・スノースパイク 2000円弱

アイスマスターのパチモノ。ただ安い。
おそらくだがプレートの金型は同じではないかと推測する。
使い勝手を試して見る分にはいいだろう。
そして使ってみた結果はなるほど楽だ。
10本爪アイゼンの安心感を、低山でオーバースペックにならないようチェーンの形式に落とし込んだかのような塩梅。
前側のプレートが蝶番になっていて、靴のしなりを妨げない。
土踏まずの部分にもチェーンが利いているので丸太の上に立つのもいくらか安心できる。
だがプレート部分にすぐに雪が固まってついてしまうのには参る。
最近のアイゼン・軽アイゼンにはその点雪がつきにくくする工夫があるのだけど。
チェーンには無理だ。
私にとってはルッド以来のチェーン。シリコンバンドで靴に引っ掛けるだけなので、装着も脱着も楽ちんではあるのだけど。
脱着した後が、泥で汚れたチェーンがじゃらついて意外とかさばる。
一度外したのを再装着する用途で考えると手軽な4本爪に軍配があがるかな、と。



1-6-1.スパイク長靴
ミツウマ・山林、林業向けスパイク底 岩礁100 15000円程度
スパイク長靴というのはもともとは海、濡れて藻がついたような岩礁でも滑らない為の長靴。
それの山林用が存在する。
基本的に踏み固められた登山道を歩くハイカーと違って、山林作業者は踏み固められていない、地面の柔らかい急斜面を歩く。
そういう用途の長靴。
ただ全国すべての山が奥多摩のようにきれいに登山道が整備されている訳でもなく。
踏み跡がなかったり、道が崩れて荒れてしまったような山を歩く為にスパイク長靴で登山する人も地域によっては居るそうな。
逆に言うと、きちんと整備された登山道では道を傷めてしまう。アイゼン程ではないだろうが。
とはいえ、新雪の降った直後の高尾山などに行くとこの特徴的な足跡を意外と見かけることがあるのだ。



1-6-2.滑り止め

モンベル・リバーシブルグリッパー 2400円


キャプテンスタッグ・滑らんぞーシリーズ 1000円前後
いわゆる街中用の滑り止め。
ホームセンターとかで売ってる。
ただモンベルのアイゼンラインナップにも入っているように、山での使用価値が全く無いわけでもない。
冬の高尾山などのように傾斜はほぼ無いが、たくさんの人に踏み固められ、薄く凍ったような道ではこのくらいの小さなトゲで充分である。
まあ、そういう道ならばなくても歩けるが。
あるいは尾瀬のような木道が長雨で濡れているときの滑り止めとしても使えるだろうか。
木道にアイゼンやチェーンではダメージが大きすぎるからね。



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2.いろいろ考察

ここからはコラム的な、断片的な書き方になるが、アイゼンを理解する上で知っておいたほうが良い事を書き連ねる。
基本的に私の考えは関東とその周辺で、森林限界よりも下での使用を想定している。



2-1.グレード別に見た向いている製品

最高:ピッケルが要るようなガチの冬山
 ⇛本格アイゼン

高:ピッケルを使うほどでもないが、積雪状態が途切れず場所によっては急傾斜・岩場もあり、滑落の危険が伴うコース。夏でも道の細いバリエーションルート
 ⇛6本爪・10本爪(小型)

中:夏ならば比較的安全で危険の少ない低山のハイキングコース
 ⇛6本爪・4本爪・チェーン

低:積雪自体が少なく、日向には全く雪がないが、日陰は薄く凍結してたり圧雪の斜面が残っているような低山。もう使うことは無いだろうけど、一応お守りとしてザックに入れておく用
 ⇛4本爪・チェーン



2-2.アイゼンに頼る?頼らない?
アイゼンは滑らないように安全の為に装着するものではあるが、
アイゼンさえつけていれば安全、というものでもない。
前提として、滑らない歩き方というのを身につけねばならない。
車だってスタッドレスタイヤやチェーンを装着していればどんな運転をしてもスリップしないわけではないでしょう。山道の歩きも同じ。
雪国で生活している人なら自然と身につくであろう歩き方、すなわち、
・小幅にゆっくりと歩く
・腰を落としてやや前傾姿勢
・地面に対して平らに足を置き、足の裏全体で均一に地面を踏みしめる
これを身につける必要はある。
これができていれば固く踏みしめられた圧雪であってもなだらかな場所・あるいは凍結していてもほぼ平らで多少の凸凹がある場所ならばアイゼン類は必要ない。
4本爪やチェーンはこの歩き方の延長上にある。
無論、やせ我慢で装着しないのは愚かであり、装着することで安全や安心が得られるなら付けたほうがいいだろう。
また10本爪となると、靴のしなりが全く利かなくなりこれらとはまた別の歩き方が必要になる。
6本爪はその中間。





2-3.なし・4本・6本・10本の特長
今は色々な選択肢があるとかえって混乱してしまうが。
本質的には4つの特長をまず覚えるとよいと思う。

なし(アイゼンをつけないで歩く)
 →歩きやすさA 滑り止め性能D
  滑らない歩き方を身につける必要がある

4本爪
 →歩きやすさB 滑り止め性能C
  アイゼン無しの歩き方の延長上にある。爪をしっかりと地面に刺すこと。
  なれるまでが面倒だが、なれると足の自由さと必要最小限の滑り止め性能が快適に思えてくる(※個人的な意見です)
  慣れたとしても急斜面の通行はやっぱり怖い。

6本爪
 →歩きやすさC 滑り止め性能B
  6本爪になると、歩き方はアイゼンとほぼ同じになる。
  それでもつま先を曲げられることの歩きやすさはとてもとても大きい。
  急斜面に立った時の安心感も4本とは比べ物にならないくらい大きい。

10本爪
 →歩きやすさD 滑り止め性能A
  非常にあるきにくい。
  踵だけで歩いていて、土踏まずより先は無いものと思うような感覚が必要。
  雪のない所をこれで歩こうものならあっという間に体力を吸い取られる。
  爪をズボンの裾に引っ掛けないよう気をつける必要もあり、足が一回り大きくなったような気もしてくる。
  その分滑り止めの性能は申し分なく、傾斜地でありながらツルツルに凍ったアイスバーンでもとても心強い。



2-4.ガチの冬山と低山とは世界が違う
チェーンの分類で「以前はあんなものは山で使うものではない」みたいな風潮があったことを書いた。
そういう事を言うのはガチの冬山をやるヤマ屋の意見だ。
そういう人から見たら、低山でも滑落の危険があるような場所でもアイゼンを使うべきだし、アイゼンが大げさに感じるならばしっかりと爪のささる軽アイゼンを使うべきだという考えなのだろう。
それほどでもない場所ならば、滑らないような歩き方を身につけるべきであって、滑ったところで尻もちをついてイテテで済むくらいの場所で登山道を傷めるアイゼンなど使うべきではない、という古い考え。
一理ある、とは思う。
そもそもきちんとした登山靴の靴底は街用の靴よりもずっと滑りにくくなっているのだし。
ただ今はハイキングブームであり、山岳会に入るよう人ばかりでもない。
冬は低山しか歩かないような人も多いだろう。
そんな人に、低山での安全・安心の為の工夫がもっとあってもいい。
歩き方ばかりに神経を集中して、体力を消耗したり、注意力が周辺に配れなくなるくらいならば道具で補ったほうが良いだろうと思う。
そういう考えが広まったからこそ、チェーンが普及してきたのではないか、と思うのだ。



2-5.大は小を兼ねない
アイゼンや滑り止めの為に色々な製品があることは既に見てきたが、基本的にでかくてごついやつほど滑り止めとしての機能は高い。
では「大は小を兼ねる」「安全が最優先」とばかりに皆が本格アイゼンをつかえばよいのかといえば、まったくもってそんな事は無い。
まず滑り止めの性能と、歩きやすさはトレードオフの関係になる。
滑らないことが何よりの歩きやすさでは?と思うかもしれないが、
こればっかりは10本爪のアイゼンや、軽アイゼンを一度装着して歩いてみてもらわないことには身に沁みての理解はできないと思う。
足首より先の、足の自由がきかない状態で歩く事の困難さ・疲労の増大は想像するよりもずっと大きい。
だからこそ、滑り止めとしての性能をへらしつつも足の自由をきくようにした軽アイゼンというカテゴリが存在するのだと思う。
また単純な話、小型軽量を追求する山道具の世界で、不必要に重いものは嫌われる。
次に述べる登山道へのダメージの事も考える必要がある。



2-6.登山道へのダメージ
ダブルストックが普及しだした頃、
「キャップを外して石突を露出したままだと、土を掘り返してしまって土砂の流失につながる。また木の根や木道を突くと傷める」
「岩場や積雪のある場所以外ではキャップは付けたまま使いましょう」
という啓蒙がさかんに言われた。
その事自体は間違いではない。
ただ、道が急峻な割に登山者の多いハイキングコース……例えば丹沢の表尾根・大倉尾根などを歩けば気付くだろうが、ああいう場所の木道や階段が数年でボロボロになってしまうのはアイゼンの爪のせいなのだ。
アイゼンの爪が登山道に与えるダメージに比べたら、ストックの石突など可愛らしいものでしか無い。
だが不必要なアイゼンの使用を控える呼びかけの声はない。
ストックと違って安全に関わることだけに、それで怪我遭難につながったら責任問題になってしまう。
だからアイゼンの爪が登山道を傷める事は誰もが分かっていながら、誰もが口を閉ざす問題なのだ。
それでいてストックの石突の事をあげつらうのは、なんともすわりの悪い感じがするなあと、以前から感じている。
だからこれは”自己責任の範疇で”となるが、必要以上にゴツいアイゼンは使わないに越したことは無いのだ。
4本爪ならば、爪を立てる場所をある程度選べる。
丸太の階段や木の根に爪を立てないよう避ける事ができるが、6本爪以上だと難しい。
またチェーンならばつけたままでもダメージは比較的小さい。
最初のうちは自身の安全確保が最優先になるのは当然だが、ある程度あるき慣れた道で使うならば、登山道の保全の事も考慮していただきたい。



2-7.つけたりはずしたり、またつけたり
ガチの冬山の怖さ・恐ろしさとは別に、低山特有のいやらしさというのもある。
・日向には全く雪がないが、日陰は圧雪や凍結している。
・積雪量はたいしたことないが、日中の気温で緩んだ雪が夜間の気温で再凍結する。そのため薄い凍結のくせにやけにツルツル滑る。
・実際現地に行ってみないと、どこにどの程度の圧雪・凍結があるのか分からない。
などなど。
アイゼンや軽アイゼンの爪は、圧雪や凍結などの硬く締まった箇所に食い込ませるためのものであり、そういう場所ではガリガリと爪の刺さる感触が心地よかったりすらある。
だが雪のない地面を歩くと途端に歩きにくくなってしまう。
故に本来的には雪のない箇所では外すべき、登山道へのダメージの観点からも外すべきなのだが、これがなかなかめんどくさい。
まず6本爪以上はつけたり外したりするのも一苦労だし、外した後はケースにしまってザックに入れるか、ザックに外付けするかになる。
再度必要になったらその都度ザックを降ろして一苦労。
やってらんないというのが本音。
そういう場所で使っていると、外したアイゼンは泥まみれになっているものだし、それをまた出して触るのも気が重い。
その点4本爪はつけ外しが簡単で汚れる面積自体も小さい。
ケースにしまえばポケットに入れておける大きさなので、また装着する手間も比較的小さいのがいい。
対してチェーンは雪のない場所でつけたまま歩いても、あるきにくさが小さい。
つけたりはずしたりが楽なのも確かだが、但し一度はずしたら泥まみれのチェーンがじゃらついてかさばって、なんというか扱いに困る。
それをケースにしまったならば、再度取り出して装着するのは手が汚れて嫌だなあって気持ちもある。



2-8.靴との相性
ガチの冬山には冬用の靴が必要になる。
だが低山ならば普段使いの靴でそのまま歩ける。
足首よりも下が柔らかい雪の中に埋まるような状況で長時間あるくと、つま先などが凍えてしまうが、その点だけ注意すれば軽登山靴でも問題はそんなに無い。
ただアイゼン・軽アイゼンは靴に固定するものであるから、ある程度の靴の硬さも要る。
私が6本爪アイゼンを酷評したのも軽登山靴に使用したからであって、硬い登山靴ならばそこまで気にするようなことではないのかもしれない。

10本爪アイゼン(ハーネスとテープで固定する方式に限る)
 →軽登山靴でも登山靴でも安定する

6本爪軽アイゼン(テープだけで固定する方式)
 →柔らかい軽登山靴は不向き

6本爪軽アイゼン(ハーネスとテープで固定する方式)
 →使用した事はないが、おそらく軽登山靴でも登山靴でも安定すると思う

4本爪軽アイゼン
 →軽登山靴でも登山靴でも安定する。
  但し雪のない地面を歩くと土踏まずが下からの突き上げを食らって痛くなる。
  硬い登山靴ならその弊害は小さだろうが、そもそも靴のしなりを妨げないのが4本爪の魅力なので、これは好みの問題ということにしておこう。

チェーン
 →柔らかい軽登山靴でなんの問題もない。むしろ柔らかい靴の為の選択。
  なんとなればミドルカットのブーツである必要すらないだろう。



2-9.周囲の皆が使うのと同等のアイゼンを使う必要性
私は4本爪の軽アイゼンを偏愛しているが、さりとてどんな場所でも4本爪で通せるかといえばそんな事はない。
4本爪の場合、傾斜地、つまり踵やつま先も使わざるを得ない場所では非常につらいことになる。
雪がまだ柔らかければ、水平に足を置けるようにステップを切ればよいのだが……
6本爪ならばそんな事せずとも、地面に並行に足を置いても制動力が利く。
そのため多くの人が6本爪で雑に歩く傾斜地は、ステップが潰されて地面が平らに圧雪されてしまうのだ。
そのためそういう場所の通行には6本爪アイゼンが必要になる。
各所のビジターセンターなどが降雪後に「最低でも6本爪以上のアイゼンを用意して」と呼びかけるのは、そうした事情もあるかと思う。
先日(GWの八ヶ岳)、皆がピッケルと本格アイゼンで通行する急傾斜地を、ストックと10本爪の準アイゼンで登り降りした際も同じような力不足感を味わった。
自分の好みや使い慣れた道具はあろうかと思うが、ある程度は皆が使っているのと同等以上のアイゼンを使う必要はあろうかと思う。




※まだ書き直したり書き足すかもしれないが、ひとますここで公開