2025年9月28日日曜日

2025/9/25(木)~27(土) 試練の雨登山@谷川岳~平標山

1.計画
2.行き
3.登山1日目
4.登山2日目
5.登山3日目
6.帰り
7.データ

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1.計画

昨年からこっち、しみじみ思っているが。
私は本当にもう体力の峠を越えてしまった。

いや、年齢を考えれば今更な話ではあるのだが。
私は典型的な「運動音痴の体育嫌い」の子供だったので。
大人になっても身体を動かしてこなかった。
それが30を過ぎてから山の楽しさを知り、身体を動かす事自体は楽しいと思えるようになったもので。
なのでトレーニングを重ねることで中年以降も身体能力はむしろ向上してきた。
と、思ってきたのだが。
それももう限界かなと。
山に関してももうアルプスの高峰名峰へ遠征しようという意欲もあまりないのだ。
だから「いつか行きたい」と思っていた山には行けるうちに言っておかねばなあと感じるこのごろ。
平標山もその一つ。

■プランニング
平標への日帰りは可能か?
越後湯沢駅からバスにのり、平標登山口バス停からの周回かピストンならば可能
ただし以下の制約あり

・始発で行き、遅めのバスで帰ってくる
 →越後湯沢駅を楽しむ余裕はない(駅前の共同浴場や飲食店はあるが)
  また帰りは新幹線必須になる
・越後湯沢駅前で前夜拍
 →これなら早い時間に戻ってこれる
  ただ越後湯沢駅前の宿は高い

ならばやはり山で泊まるか
2日あれば土樽駅からいける、群馬側から三国街道歩きもある。
3日あれば谷川岳からいける
2日かけるくらいなら、せっかくだから谷川から行きたい。
谷川岳も、天神平までなら行ったことはあるが、山頂へはいっていないのだ。

コースタイム的には2日でも歩けるが、そうすると越後湯沢での楽しみが少なく、夜遅くに帰ってくることになる。
9月の下旬に3連休があるので、そこでの計画をたててみよう。


■行き
0505 王子
0510 赤羽
0523 赤羽 4番ホーム高崎行
0655 高崎
0711 高崎 5番ホーム水上行
0818 水上 2640円

0825 水上駅3番バス乗り場 関越交通 谷川ヨッホ行
0845 谷川ヨッホ 850円 交通系ICカード可

谷川岳ロープウェイ
0800~1630 3分間隔 所要7分 片道1800円 交通系ICカード可


■コースタイム(山と高原地図)
天神平(1315)
↓0:45
熊穴沢避難小屋
↓1:30
トマノ耳(1963)
↓0:10
オキノ耳(1977)
↓1:10
オジカ沢ノ頭避難小屋
↓0:50
大障子避難小屋
↓1:25
万太郎山(1954)
↓0:40
越路避難小屋
↓1:35
エビス大黒避難小屋
↓0:40
仙ノ倉山(2026)
↓0:50
平標山(1983)
↓0:40
平標山の家(1658)
↓1:50
平標登山口バス停(970)

平標山の家
テント1000円 避難小屋2000円
予約不要


■帰り
越後湯沢駅行のバス
0625、0930、1050、1145、1300、1420
南越後観光バス 所要38分 660円
交通系ICカード使えるか不明、小銭用意のこと

越後湯沢駅から水上行の在来線
1206、1507、1753
上記でなければ新幹線利用の事
在来線3410円、大宮までの自由席2640円指定席3170円

湯沢ICから新宿への高速バスもあるが、駅からは遠く今回は検討外とした。



前夜のうちに荷物の準備。
今回はさすがに寝袋ありだが、避難小屋泊なのでテントではなくツェルトを選択。


当日朝に水を詰め、トータル17.8kg。
むっ、しっかりと重さを感じるなあ。


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2.行き

水上駅からバスを利用。
鉄道でもわずかな乗り換え時間で土合まで行けるが。
土合からロープウェーのりばまで地味に歩くのだよね。
なのでロープウェーのりばまで行ってくるバスがありがたい。


星野に買われて「谷川岳ヨッホ」と名を変えたロープウェー。
片道1800円。


と思ったら10kg以上は手荷物運賃あり。
460円。



名前は変わっても設備は以前のままですな。


山頂駅でトイレをすませ、コーヒーを飲んで準備完了



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3.登山1日目


天神平から出発。


道は整備されています。


こないだの至仏山でもみた蛇紋岩。
ただこちらのはあまり滑らない。


正面に谷川岳を見る。
さっきからバラバラとヘリの音が近い。


西黒沢の中をずっと低空飛行している。
遭難者でも出たのかな。



熊穴沢避難小屋
天神尾根のルート上ということもあり、休憩所の性格が強い。
急な雷雨とかをやり過ごす用。


左手にオジカ沢のカシラが見える。
西側の切れ落ち方がすごいな、あそこを降るのか……今日の核心はあそこだな
(後で勘違いと判明)



天狗のたまり場の手前は岩場が続くが、初心者でも楽しめる程度の岩場。


ヘリが捜索範囲を広げたようだ。



天狗のたまり場より先はなだらかな道。



肩の小屋に到着。
雲がかかってきたな。
パンをかじり小休止。
重い荷物はここにデポして、



軽身でトマの耳、



続いてオキの耳。
白猫でした。
霧雨になってきたな。



雨は気になるが、行こう。




稜線上の一本道なのだが、所々土が柔らかい。
路肩を踏み抜いてしまいそうなとこがある。
実際踏み抜いて崩れてるとこもいくつか。




オジカ沢の頭へ向かって岩場の登りになる。
霧雨が小雨になってきた。
濡れた岩が滑って厄介。


ここの鎖&ロープは思いっきり鎖を頼らせてもらった。
いや、私の技術では濡れてなくても鎖は頼らないとだが。
どの程度頼るかの程度問題ね。


突き出た岩峰。
まさかあれ登らないよね、という所は全部登らされる。
谷川~平標に巻き道は無い。


が、登ってみると頂上は穏やか。


いっときだけ雨が止んだ。
西を向くと尾根が二筋あり、右手の方が進む尾根のようだ。
谷川手前で見えていた、西側の切れ落ちた奴は左側の尾根だったようだ。



山頂直下にオジカ沢の頭避難小屋がある。
一昨年に上州武尊山で見た、手小屋沢避難小屋と同型にみえる。
ただ中の快適性は雲泥の差で。
・採光窓があるため扉を閉めても真っ暗にはならない
・換気口は見当たらないが、籠った匂いはしない
・土間と床の高さの差がしっかりある
・床に新しめの銀マットが敷かれて埃っぽくない

欠点は狭い事だけかな。
自分一人なら快適に眠れそうだ。
ただ同宿者の有無は確約できるようなものでもないからな。




その後小障子の頭を越えるが、特に急坂岩場などもなく。
大障子避難小屋に到着。
男女ペアが先客でいた。


ここの水場をあてにせず、5.5Lを担いできたが。
先客によると水場までの道は悪いものの、ジャバジャバ出ていたとのこと。
すっかり濡れネズミになってしまったが、ウィスキーとラーメンで腹から温める。



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4.登山2日目


先に出発したカップルを見送り、私は朝飯後にもうひと眠り。
今日は下山せず平標山の家までなので。
急ぐ旅ではない。
ただまあこの雨なので若干道行きに不安もあり。



06:20頃に片づけて出発。


合羽の上下を着こんでの出発。
着ていた服は一晩経っても乾かず、靴の中も濡れたままだ。
ただ合羽を着こんでいる以上、どうぜいずれ濡れるので着替えには手を付けなかった。


今日も北側・新潟側から吹き付ける小雨の中、ペースを乱さないようゆっくり歩く。
まずは大障子の頭。
ここまではなだらかな登り。


大障子の頭の西側の下り。
ちょっとした岩場がある。
ほんとにちょっとした岩場であり、傾斜といい長さといい、乾いていればどうということは無いはずなのだけど。
今のキャラバンの靴のソールがなぜか濡れた岩場でよく滑る。
とても立って歩いて通過できない。
尻をつけて降りたり、後ろ向きになって3点確保しながら慎重に降りたり。


万太郎の頭へ登る。
ナナカマドの赤い実だけが灰色の世界に映える。


標高差があるのだから当たり前だが。
なかなか着かない。
見えているあそこがピークかな?着いたら休憩しようと思っても、
そこはピークではなく更に斜度のキツイ高い場所が姿を現すということを何度も繰り返す。


万太郎の頭に到着。
ふーっ、疲れた。
雨の中だが腰をおろし、小休止。
ここが谷川~平標の中間地点あたりか。


雨が少し強くなり、また集中していたので写真はないが。
万太郎の頭の先は結構な痩せ尾根・馬の背状の切り立った岩場だった。
遠目には「あの上を行くの?」と思うようなとこを行かされる。
もっとも足元は土があり安定していて、道の両脇は腰の高さまでハイマツが茂っているのでそこまで高度感は無い。


越路避難小屋。
土間で男性が腰かけて休憩していたので中の写真はないが。
オジカ沢の頭避難小屋と同型。
中の感じも同じ。
ここは東に万太郎の頭への痩せ尾根、西がエビス大黒の頭の岩場、南が毛渡乗越からの下り、と難所に囲まれているので。
何かあった場合に駆け込む避難場所という本来の用途での必要性がたかいのだろうか。

それとこの避難小屋の周辺、なぜか土が粘土質でぬるぬる滑る。
靴を慎重に置いても、靴の裏のソールが噛んだ泥ごとずりゅっと地滑りする。
横殴りの雨粒が眼鏡に水滴となり、視界が悪い。
足元を一歩ずつ探りながら歩くため、遅々として進まない。



毛渡乗越。
ここまで来ると粘土質の土は無くなって歩きやすくなる。


エビス大黒の頭への登り。
ここも結構な岩場の昇り降りを繰り返す。
地図の等高線からは読み取れないのだが。
滑る岩にすっかり疲弊してしまった。


エビス大黒の頭。
前後が険しくても、ピークの場所はハイマツやクマササに覆われて穏やかそうに見えるのが地味に腹立つ。

全身に疲労が重い。
雨の中展望が無く全身濡れ、精神的に参ってしまった。
精神の疲労が肉体も蝕んでいくような。
いや実際、雨の中腰をおろすような場所もなく、休憩を取るタイミングも逸してしまっている。
ペースは遅いので心拍数はあげていない。
なので心肺を酷使した疲労ではなく足腰の筋肉に乳酸が溜まっていくような疲労感だ。

滑るかどうか慎重に探りながら降りないといけないのに、足がもう言う事を聞かず未確認の場所に勝手に足を降ろしてしまう。
これはいけない。
これでは滑落事故を起こしてしまう。
多少なりと横殴りの雨風をしのげる場所で地面に座ってハァー……ハァーッと重い息を吐き身体を休め、だましだまししながら前へ進む。
ツライ。
こんなにツライ山はいつぶりだろう?
初心者の頃はなんどもこういう事態に陥ることがあったな。
いつの間にか経験値が溜まり、自分の体調を管理するのも、山の難易度を見はからうのも身について。
そして4年前くらいからは膝の不調もあって、無茶な挑戦的な山をやらなくなった。
だが本来的に私はゆるふわ山登りガール(おじさん)なのだ。
雨が降れば山キャンセル界隈なのだ。
雨天登山の経験値は低いのだな。
それが今回挑戦的なコースで天気が悪い方へ振れてしまい、こんな事態になった。
たぶん晴れてさえいれば眺めも最高で、乾いていて足元が滑らなければ、このコースもきっと楽しかったと思うのだが。


エビス大黒避難小屋が見えた。
休もう。


うおっ、狭!
だが今の私には雨風をしのげるだけで御の字。
腰をおろし最後の水1Lをポカリにして飲む。
羊羹とかの、尾瀬の時の残りの行動食もたべて、いくらか元気を取り戻す。


仙の倉山への登り。
標高差があり辛抱の登り。
クマササの生い茂る斜面、横を向けば45℃位はあるだろうか。
ただ道は安定していて滑るような場所はほぼなく、落ち着いて登れた。



今回の山行ルートの最高点、仙の倉山。


200名山がひとつ。
360℃の大展望です。
うれしいなあ。


仙の倉山から先は整備されたハイキングコースになっている。
ありがたい。


ところどころにある赤い箱状のなんか。
なんとかランプと書いてある。
積雪時の目印だろうか?それにしては位置が低いが。


キャラバンのソール、濡れた岩で滑るのならこういう水をたっぷり吸った木道も滑りそうな気もするのだが。
不思議と木道ではフリクションがよく利く。
こないだの尾瀬でも滑らなかったしな。



草紅葉が始まっている。


最期の平標山への登り。
ふいに正面から顔に熱を感じる。
あ、太陽!


平標山。
晴れた……
昨日の昼、谷川岳からこっちずっと雨の中で。
ずっとつらかったのが最後の最後になって晴れて。
なんとも言えない気持ち。


南へ下っていく。
そう、これ、これだよ。
今回私が期待していた風景は。


赤い屋根の平標山の家が見えてきた。
ここの麓のバスは苗場スキー場とかの路線なため、山奥にも関わらず19時台までバスがある。
東京に帰るだけなら今からでも余裕で間に合うのだが。
予定通りもう一泊。


晴れているならテント場にツェルトでもいいが。
とにかく全身ずぶぬれで疲労困憊しているので。
避難小屋を使わせてもらうことにした。
同宿者が1名。


見ての通り奥多摩・秩父・丹沢の避難小屋と同等、いやそれ以上か?
天国のような場所だ。
着替えブースや濡れたものを干すハンガー、食事の為のテーブルまで用意されている。
全身乾いた予備の服に着替えて、ようやく人心地ついた。


小屋の裏のテーブルが気持ちよさそうなので、酒とつまみをもって出る。


平標を眺めながら一杯。
北の新潟側からとめどなく雲が湧いて国境の稜線を乗り越えて群馬側へ落ちてくる。
平標山で晴れたのではない、北からの雨雲がかかる端が仙の倉と平標の間にあり、そこを私が通過したのだ。


小屋の中に戻って夕飯。
あの梯子なんだろうと思ったら。
この奥のトイレ部分の外側に、天井裏の高さに扉があり。
厳冬期の積雪時にはそこから入って天井裏を通ってこの避難小屋内に入れるようになっているようだ。



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5.登山3日目



3日目の今日は降りるだけ。
バス停までCTで1:50。
9:30のバスに乗りたいが……どうもCT設定が厳しめだし余裕をみて出発。


麓の三国街道を挟んだ向かいの苗場側は雲がかかっている。


起き抜けでもないのに左膝に力が入らない。
昨日頑張りすぎたかな。



登山口の道祖神。


土曜日の朝ともあって多くの人たちが登ってくる。
そのなかのすれ違った人がくれた。
新聞社の人とか言ってたかな。



バスの1時間前に着いてしまった。
山高地図は林道車道のCT設定が甘すぎるのよな。
それはここでも例外ではなかったと。



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6.帰り

三国峠の麓だというのに20℃もある。
秋はいずこ。

真っ先に登山靴を脱いで素足にサンダルになる。
照る太陽に濡れた装備を乾かしながらのんびりバスを待とう。
すると向かいのバス停に越後湯沢駅からのバスが停まり、多くの登山者を吐き出す。
あのバスが終点で折り返してきて私の乗るバスになるのか。

銀色の車体に赤いライン、なんだか懐かしい感じがする。
私の子供の頃、実家の前を走っていたバスもあんなような車体だった気がする。


折り返してきた9:30のバスに乗車。
越後のバスに交通系ICカードなどという惰弱な文明は無い。
(そもそも越後湯沢駅からして在来線側は非対応)
バスに乗る時は諸々HPで調べて、料金分ちょうどの小銭を用意しておくのだ。

バスの車窓から眺める南魚沼地方最南端の風景は……群馬側、みなかみや片品とそこまで違いは無い。
ただスキー場の多さと、こういう頑丈な鉄柵の多さは目についた。
日本有数の豪雪地帯だからかな。
雪と一緒に土砂やら倒木やらも落ちてくるのだろうか。


越後湯沢駅の東口に到着。
地元の共同浴場に入りたいが、そっちは15時にならないと開かないのだ。




駅なかの温泉は10:30から。
まだ少し時間がある。
さきに飲むか。


500円でメダル5枚。
試飲する酒によってメダル1枚~10枚。
ただほとんどの酒は1枚か2枚。
2勺猪口に6割くらい注がれる。

どれを飲もうか迷うとこだ。
せっかくだから東京では見かけない酒を、と思ってもそんなのばかりだから。
全体的な印象だけど、辛口が容赦ない辛口な日本海側の酒にあって。
甘口と謳っている酒が甘ったるくなく、とてもおいしかった。
あっという間にメダル10枚を費やしたとこで温泉へ。



何を食べようかな。
へぎそばやタレカツもいいが。
立ち食いそばがローカル感あってよさげなので頼んだ。
「ぜいたくそば」
ようするにトッピング全部のせ。
トッピングじたいはありきたりな立ち食いそばのそれだが。
蕎麦がおいしい。
あとつゆがまろやかだな。
東京の醤油が香りキリっと辛いつゆに慣れきってしまっているが。
全国的にみればあれは異質なのだというのは地方で食べるたび思い知る。



新幹線の中で飲み食いする用の酒と飯も買った。
米どころだから?爆弾おにぎりも名物らしく、いくつも売る店があった。
適当に3つ買ったがデケェ。
1個がコンビニおにぎりの2個分くらいある。

だが新幹線の指定席が完売に近く、3列の真ん中の席しか無かった。
のんびり飲み食いの雰囲気ではないだろう。
駅の待合で食ってしまう。

上越線の在来線、越後中里~水上の国境超え区間は1日5本しかない。
そちらもちょうど12時台の便があったのだが……
水上・新前橋・高崎と乗り換えが多く、トータルで4時間かかる。
いつも高崎線では在来線グリーン車で酒を飲む私でも、さすがに新幹線にした。

今回はつらい山になってしまったが、降りてこれれば楽しい山になるのよ。


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7.データ

1日目、天神平~谷川岳~大障子避難小屋


1泊目の睡眠


2日目、大障子避難小屋~エビス大黒避難小屋
CT4:10のところ1.5倍以上かかっている。
いかに疲弊しいかに難儀していたか。

2日目、エビス大黒避難小屋~平標山の家


2泊目、睡眠
18時前には横になっていたが、同宿者のいびきがうるさかった。
スマートバンドが寝たと判断したのが20:23のようだ。


3日目。
バス停に着いてもログを止め忘れていたが、1:30で到着している。
平元新道の下りがCT通り0:50
林道の歩きがCT1:00のところ0:40だった。