0907 茅野 3410円+2240円
0920 茅野駅
1017 渋の湯 1200円
渋の湯から帰りのバス
1030.1135.1455
0925 茅野駅
1003 美濃戸口 1000円
美濃戸口からのバス
1020.1120.1320.1445.1620
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三月の三連休。
今年は昨年にも増して暖かい。
通年営業している山小屋でも「例年のGWなみだ」という声が出てくるほどに。
実際雲取山ももう全く雪がなくなってしまっている。
GW並みなら、と少し欲が出てきた。
交通の無いアルプスはともかく、八ヶ岳の比較的簡易なルートならば行けないだろうか?
天気もよさそうだし、テントで二泊三日できないだろうか。
昨年のGWに赤岳鉱泉にテントを置いて、地蔵尾根をあがろうとした。
※下記参照
2019/4/28日~30火 はじめての雪山の厳しさ@赤岳(途中撤退)
https://yamatabinokiroku.blogspot.com/2019/05/201942830.html
この時は。ピッケルも本格アイゼンもなく、ストックと小型10本爪で地蔵の頭へ登ろうとして、直前で撤退したのだった。
ならばそれよりも一段簡単なルートならば行けないだろうか?
そう考えて、渋の湯から入って黒百合ヒュッテにテントを置いて、中日で天狗岳までのピストンを計画した。
もう先に特急あずさの指定席もいい場所の席を確保した。
前日の準備。三日分の食料。
いつものようにインスタントラーメンを手に取って、しばし考えたのだが。
災害時の非常食もかねて買い溜めしてある山飯の類も随分増えた。
今回はそれらを使って調理することなく「お湯をそそぐだけ」の飯で簡易化してみたい。
前日の準備。装備。
かなり絞った。
上段左から、
テントとペグ
フォームマットとエアマット
寝袋(例の-25℃の)とエスケープビビィ
ハクキンカイロ2つ(白い麻のポーチ)
小型10本爪アイゼン(モンベルのスノースパイク10のパチモン)とチェーン(例のアイスマスターのパチモン)
レインパンツとスパッツと薄い合成皮の手袋と、オーバーグローブ代わりの防寒テムレス
下段左から
食料
1L魔法瓶、1Lナルゲンボトル、2.5Lプラティバス
コッヘル(ガス缶等は中に)、ジョニ黒
いつもの黄色袋(ヘッデン他細引きナイフなどの非常装備)と
青袋(テッシュやテーピング、大きなごみ袋などの衛生用品)
下山後の着替え(オレンジ袋)
予備の防寒着(紫袋)
これを60Lザックに詰めていくと……入らない。
おかしい。決して過剰な装備ではないはずなのに。フォームマットは外付けにしてるのに。
明らかにもう15L分くらい容量が足らない。
こういう時は見なかったことにして寝てしまおう。
翌朝。
ナルゲンボトルを1Lプラティバスに変更して何とかギリギリおさまった。
魔法瓶には熱湯1Lを詰めてある。
これで17.0kg
重いな。そしてでかい。
朝の新宿駅。
埼京線を降りると正面に見慣れない車両が居る。
相鉄線直通の海老名行きだって。
そういやそんなニュースを聞いたかな。
7時ちょうどの~♬あずさ1号でぇ~♬
そういえば今度のダイヤ改正であずさかいじ共通の号車番号が振りなおされることになり、
「あずさ2号」という名の特急そのものがなくなってしまったそうな。
朝飯は食べてこなかったが、昨夜にたくさん食べたからか食欲はない。
お茶を一本買ってのりこむ。
富士見のあたりからみた八ヶ岳最南部。
特急の中で現地の情報収集をしていたが、少し悩みだした。
まず黒百合ヒュッテの昨日の最低気温は-16℃だそうな。
寝袋の-25℃表記を信じてはいないが、-16℃ならばハクキンカイロもあるし何とかなるだろう。
いざとなったら予備のダウンベストやエスケープビビィもある。
次に中山峠から天狗岳のルートだが。
雪が少なくなって雪と岩とのミックス状態。通過にピッケルがいると。
むむむ。こうなるとそこを「一度も通過したことが無い」というのは不測の事態になりかねん。
人気のルート故、トレースが無いなんてことはありえないが、ミックス状態の急斜面の嫌さは昨年の地蔵の頭で経験している。
最後に
本日からの3連休は快晴で雨雪の心配はないが……
低気圧が接近してきて強風が吹き荒れると。
こうなると稜線上にあがるのは……私の技量と装備だと怪しいか?
いいや。それなら赤岳鉱泉に一泊で温泉に入りに行こう。
茅野駅。
渋の湯行きではなく美濃戸口行のバス停に並ぶ。
結構な人数だ。昨年のGWよりずっと多い。
原町のあたりは走るバスからみた蓼科と北八ヶ岳。
麓から見上げる南面西面はほとんど雪がないように見えるが。
美濃戸口、八ヶ岳山荘前。
意外にも薄雪をまとっている。地面もうすーくだが凍結していて、油断すると滑る。
まあそんな間抜けはこの場には居ないけれど。
ここで身支度して出発。
たぶんすぐに必要になるとふんで、チェーンは出してポケットにいれておく。
10:11出発
わだちのある林道。
橋へ下る坂道でいきなり凍結気味の圧雪。
転んでもつまらないのでチェーンをはく。
橋を渡るとしばらくは雪の無い道が続くが。
美濃戸が近づくと再び圧雪状態になり再びチェーンをはく。
美濃戸
やまのこ村と美濃戸山荘は閉まっていて、赤岳山荘だけが営業?していた。
美濃戸山荘前のベンチに腰掛けて小休止。お湯を少し飲む。
今日は赤岳鉱泉にテントを張るので、北沢から行こう。
北沢側のルートに入ってすぐに圧雪となり、これ以降雪の無い場所はなくなる。
去年のGWに来たときは。
この辺の林道は日の当たる所は雪が無くて、一部の日影がツルツルのスケートリンクになっていたのだっけ。
緩やかな林道とはいえ徐々に高度は上がっていく。
堰堤の手前まで来ると、寒い。とても寒い。
いつもならここの岩に腰かけて休憩するところだが、とてもそんな気分ではない。
いそいそと防寒テムレスを出して装着する。
同じバスで来たひとたちは、ここでチェーンから本格アイゼンに履き替える人が多いようだ。
平坦な林道はここまでで、ここから山道に入るから、という判断だろうか?
とはいえ私は私の判断で、赤岳鉱泉までならチェーンで十分と判断してこのまま。
とにかく沢沿いの風が冷たくて、テムレスをしていて風に吹かれると指がかじかんでしまう。
空を見上げると西からの風で雲がものすごい速さで流れていく。
太陽も隠れてしまった。
なるほど。今、稜線上は大変だろうな。
これ以降オーバーグローブをしているのと、寒すぎるのとで写真を撮る余裕がなくなる。
横岳が見えてきて足を止める。
ここは風が当たらなくて一息つける。
傾斜のなだらかなコースとはいえ、美濃戸口から赤岳鉱泉まで800mは上がるので。
汗をかかないようゆっくり歩いているつもりでもどうしたって汗はかくし息も多少はあがる。
荷物も重いしな。
名物のアイスキャンディー。
ようやくついた。
この時13:27
山と高原地図の無雪期のタイムが3時間だっけ?
もっとペースを落としてよかったかな。
結構汗をかいてしまった。
トイレを借り、テントの受付をしてお水をもらう。
うっかりしていたが、赤岳鉱泉は冬の間は風呂をやっていないのだった。
昨年のGWの時の記憶で来てしまったが、風呂はGWから営業だった。
とにかく寒いので急ぎテントを建てたいが。
思ったより雪が深い。
そしてもうこの時間で結構な数のテントが張られ、平らで風があたらずトイレから遠くない良い場所はあらかた取られてしまっている。
スコップを持っていない私には、まっさらな雪の上を整地することもできない故、そこそこの場所で妥協してテントを張る。
風が強いのでしっかりペグを打って……
と思った所で青くなる。
圧雪なのは表面だけで、すぐ下はカチカチの凍結だ。
手ではペグがささらん。
石で叩けば、と思っても石はみんな雪のしただ。
今日もってきたペグは軽量なアルミペグで、ハンマーの類はない。
二本ダメにしてしまったが、最低限の風上側だけでもペグを差し込めた。
かなり不安があるが……強風が吹いたら飛ばされるかもしれない。
こうなったらもう籠城だ。重い私がずっと中にいるしかない。
突風の吹く稜線上ならこの判断は危険だが、ここは中腹の樹林帯。そこまでの強風はないだろう。
テントに引きこもってしまえばあとは飯を食うのと、買ったきり読んでない電子書籍を消化するのみ。
朝から食ってないのでさすがに腹が減った。
モンベルのアルファ米200g(2合相当)とアマノフーズのおかずになりそうなやつ3つ。
魔法瓶の中の湯を沸かしなおして作る。
畑のカレー
うまい。飯がすすむ。
親子丼
これもうまい。だが飯のおかずとしてカレーに一歩ゆずる。
ビーフシチュー
これは以前食ったことがある。絶品。
ただごはんよりパンが欲しいな。
アルファ米はそのままだとおいしくない。
こういう汁気のあるおかずと一緒に食うのがいい。
ただ200gのアルファ米を食うなら、おかずは4つ欲しかったな。
アマノフーズはフリーズドライ食品界の神だが、味付けが上品で塩気は強くないので。
ついでにこいつも。
奥多摩のつるつる温泉で買っておいた御岳汁。
酒粕の入った豚汁ね。
飯を食って腹を満たせば一息だが。
まだ15時台だというのに、テント内でも震える寒さ。
ペグをしっかり打てていない不安もある。気分はもう早く帰りたい。
とまれ寝袋に入って少し眠る。
18時前に起きる。夜間のトイレはつらいので今のうちにトイレに行っておく。
風はいくらかおさまったみたいだ。
さっきほど寒くはない。
樹木が茜色に
ちょうど太陽がが西の諏訪の方に沈んでいく所だった。
15時台のころ程寒くはない、とは言っても。
汗で濡れてたマットが、トイレに行っているわずかな間に凍っている程度には気温が低いわけですよ。
とはいえ飯を食って休んでいる間に着ている服はあらかた乾いてくれた。
電書を読んでいるうちに暗くなり。
コーヒーにウィスキーを入れたものを飲んでから眠りにおちる。
翌朝。
夜中何度も目が覚めたが、おおむねよく眠れた。
7時前に膀胱があったまってきたのでトイレに這い出す。
夜中は風もおとなしかったようでなにより。
私としてはかなり快眠の部類
中山の向こうにちらりと見えるのは赤岳?阿弥陀?
テントの付近。
固く凍っているようでもやっぱり柔らかい部分もあるようで。昨夜誰かが踏み抜いた跡。
いやー、強風もなく良く持ってくれた……
って、あれ?なんだか妙に傾いてない?
ああ、あれか。
雪の地面が平の様にみえても、実際は雪の固さに違いがあり。
柔らかい所は寝ている私の体重で沈むのでこうなる。
寝ている間、妙に片方にマットが流されるような感じがした。
スコップががあれば、これを見越して斜面の下側を少し高く整地しておけるんだが。
魔法瓶の中はすっかり冷めてしまっているのでお湯を沸かしなおす。
ダブルウォールテントのインナー側までパリパリに凍結している。
まあ、昨日あれだけテントの中で煮炊きしたからね。
青菜ごはんとみそ汁。あったかい食事が何よりのごちそうです。
ごちそう様。
しかしなんだ。調理しないでお湯を注ぐだけの食事でも不満はないが。
そうなってくるとこのコッヘルがなんだが無駄なような気がしてくる。
ただ単にお湯を沸かすだけならもうちょっとコンパクトでシンプルなものはないだろうか?
ジェットボイルはガス効率が良くてすぐに沸くが、サイズは全然小さくない。
エスビットの固形燃料やアルコールストーブ?
うーん、やっぱりODガス缶が一番手軽か。
撤収。
濡れたテントや寝袋は雑に押し込んだが。食料をある程度食ってスペースが開いた分と相殺でなんとか収まった。
私が寝ていた場所だけ雪がとけて、下の凍結が見ている。
それにしても私のこの荷物。でかすぎ。
ピッケルやヘルメットを外付けしているような人でも私ほどでかいザックの人なんていないよ。
ただ一泊の雪上ハイクをしに来ただけの私が、だれよりもでかいザックというのもなあ。
公共交通機関勢ゆえ着替えの袋があるのは仕方ないにしても。
基本装備が安物ゆえ、特にテントと寝袋がかさばるのがな。
今日は快晴で風も穏やかで。いい登山日和だ。
登らないのかって?
昨日一度折れた心は元には戻らぬものです。
今は早く八ヶ岳山荘の風呂に入ってビールを飲みたい。
7:56下山開始
昨日は寒すぎて周りを見る余裕もなかったが。
風も穏やかで陽もあたっていると格好の雪上ハイクコースだ。
沢沿いに桟橋がかけられているあたりまで降りてくると、だいぶ雪も少なくなる。
沢山の登ってくる人たちとすれ違うが、皆一様に笑顔だ。
こんなにいい天気で雪山を楽しめるのだからね。
アイゼンの爪でボロボロ。
仕方ないとはいえ、木道や橋へのダメージを思うとあんまり過剰なアイゼンは控えてほしいな。
このあたりならチェーンや軽アイゼンでも十分だよ。
堰堤広場まで戻ってきた。
赤岳鉱泉のジムニーがイカス
暑くなってきたので中に着ていたダウンベストは脱いで、オーバーグローブもはずした。
美濃戸口近くの橋を渡って、圧雪の斜面を登った所でチェーンはお役御免。
このアイスマスターモドキ、なかなかいいチェーンだ。
チェーンと軽アイゼンのいいとこどりというか、プレート状のとこから垂直に爪が出ているので凍結をしっかりと噛む。
だが見ての通り、雪玉のつきやすさは欠点ね。
美濃戸口へ戻ってきた。
おや、バスが。
時刻は10:02。昨日乗ってきたバスだな。
10:20のバスはパスして、風呂に入ろう。
じっくりと風呂につかってからビール。
ああ~いい。
美濃戸口からの登山の良さの2割くらいはこの八ヶ岳山荘さんのおかげな気がする。
毎日あるぺん号とかのツアーも受け入れているためか、いい意味で商業的というか。
私のようなソロでも気軽に気持ちよく利用させてもらえるというか。
11:20のバスで茅野へ帰る。
そういえば昨日は薄雪だったこのへん、全部融けてなくなっている。
実践農業大学校のべこ
手前の草地で大勢の人たちがピクニックしていたり、テントを張ってデイキャンプしていたり。
そういうのもあるんだ。
さて。茅野駅でまずは帰りの特急券を抑えてから。
以前から気になっていたこちら”さくらさく”へ。
馬肉専門店ですよ。
ランチは1200円ていど。
メンチカツ定食・すき焼き丼・ステーキ丼・馬刺し定食・ユッケ丼などどれもおいしそうだが。
色々食べてみたいのでビールとアラカルトで注文。
まずはたたき
3人くらいでシェアしていいような量だった。
串カツ
一本だけというのも何なので二本頼んだが。たたきの量が多いのと、こっちもわりとでかかった。一本で良かったな。
ステーキ三種盛り(ハーフサイズ)
部位による味わいの違いは正直よくわからなかった。
いやー、腹いっぱい。馬すぎた。
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帰宅してテントを干し、洗濯機を回し、道具類の泥をぬぐう。
今回の反省点。
下調べの不足や行の電車内での予定変更の事とか。
でかすぎる私の荷物の事とか。
考えるべきことはあるけど一番の問題はペグをしっかり打てなかった事ね。
これが一番深刻な事態を招きかねなかった。
昨年のGWの赤岳鉱泉が念頭にあって、今年は暖かくてその時と同じだろうと思っていたが。
やはり1か月以上違えば状況も全然変わる。
昨年のGWでは雪の地面もそこまでカチコチではなかったし、日の当たる場所にはハンマー代わりにできる石も拾えた。
けれど今回はカチコチの雪面で。
本来の雪山装備をしている人ならば、ピッケルやアックスを使って下穴をあけてペグを打てる。
そうした装備の無い私は、昨年3月の奥多摩小屋の時の様に頑丈な鋳鉄のペグとハンマーを持ってこなければならなかったのだ。
ますます装備が重くなる。
こないだの雲取山荘の時も思ったが。
冬山に関してだけは山小屋を積極的に利用すべきなのかもしれない。
寒さに体だけでなく心まで凍えてしまっては元も子もない。
それと。
ピッケルとちゃんとしたアイゼン。そろえるべきか否か。
これはもう来期以降に先送りしておこう。