2019年1月12日土曜日

2019/1/5土 こいつは春から幸先良くない@海沢探勝路

新年最初の登山は初詣も兼ねる。
どこにしようかと地図を見るが、高尾山や御岳山という気分でもない。
御岳山の隣の大岳山に大岳神社があったか。
いや、しかし大岳山も結構何度も登っているしなあ……と、そうだ。
だいぶ以前から気にはかかっていたものの、手付かずのルートがあった。
大岳山の北面、滝で有名な海沢園地から登ってくるやや難路の”海沢探勝路”。
奥多摩駅からここまで2時間程車道を歩かなければならないので手をつけてなかったのだった。
これまた昨年気になってた鳩の巣駅の南の城山と繋げて歩いてしまおう。



 始発で自宅を出てくるはずが、二度寝して予定より1時間遅れ。
結果としてホリデー快速1号の一本前という微妙な電車になったが、そのおかげか空いていて座れた。
鳩ノ巣駅のホームからも城山の特徴的な尾根がみえる。


 この通り、山頂を中心点として星のように尾根筋が6方向へ伸びる美しい地形(?)をしている。
正確には東側は三叉になっているので7方向か。


 駅から南の通りに出て、
雲仙橋への降り口が分からずウロウロする。
結果から言えば守屋地図の表記がおかしい。
このGPSの位置、釜飯屋さんの向かいに降り口がある。


 雲仙橋とはこういう歩行者用の吊橋。車道ではない。



 雲仙橋を渡って少し行った先、石垣の切れ目の階段が登山口。
ここでも守屋地図の表記が違う。
うーん?
信頼性と評判の確か守屋地図ではあるが、全部が全部GPSのログではなく……
以前の山と高原地図のように、記憶を頼りに適当に線を引いている部分もあるのだろうか。
(このときの守屋地図に対する小さな違和感が後で尾を引くのだが、それは後述)


 いかにも裏山といった道を登っていく。
城山というくらいだからかつて砦があったのだろう。
道ははっきりとした踏み跡。


 急傾斜に落ち葉が積もってやや滑りやすい。


 途中の鉄塔


 城山山頂
特に見晴らしが良いでもなく、地味な山頂。
それなりに平らで広い山頂なので、周囲を伐採して展望を良くしてベンチでも作れば人気のハイキングコースになりそうな気はするんだけどな。
駅から歩けるし。


 山頂から南へ下っていく。
ここまでも林道工事を告げる案内はたくさんあったが、2017年のものだったのでとうの昔の話かと思っていたが。
ここに来て2018年の新しい案内も出てきた。


 大楢峠にでる


 鳩ノ巣へ向かう登山道はこの通り、林道化(?)工事のため封鎖されている。


 東から登ってくるモノレール


 西へ、林道を緩やかに下っていく。


 林道の工事中
この先に作業員が二人いて、仕事をしていた。
正月の5日だというのにご苦労さまです。


 路肩を固めて、ガードレールのある舗装林道化しようとしているようだ。


 鋸山から天地山をへて海沢へ下ってくる尾根。
結構見ごたえがある。


 今は冬で水がないが、夏はわさびを栽培するのだろうか。


 さて、海沢園地まで下ってきた。


 いくつかの名瀑があり、その先に大岳山へ至るバリエーションルートがある。


 トイレを借り、あずま屋でどん兵衛天ぷらそばを食べる。
お昼にはまだ早いがそれなりに歩いてきたし、この先大岳山につくまで落ち着いた休憩は取れないだろう。


 海沢園地に入る。
どうにもとっちらかった感じがして、「景勝地」といった趣ではない。


 階段の横、


 ほほう、これが三ツ釜の滝


 下から1つ目の釜


 二つ目の釜


 3つ目の釜
夏なら水遊びも良さそうな感じだ。


 その先で沢から離れる。


 ネジレの滝分岐


 岩場も出てくるが補助ロープが張ってある。
ロープには触らずとも登れる程度なので、まだ悪路という程でもない。


 どっちに行ったら良いのか分からず、しばしキョロキョロする。


 大滝分岐
ネジレの滝も大滝も、見事な滝らしいが。
沢へ下っていって、また登山道へ登り返してこないといけないのが億劫でパス。

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この先でちょっとしたトラブル。
道は分岐のない、はっきりした踏み跡の一本道だったはずなのだが……
道が下りだしたかと思うと、途中で柔らかい土の急斜面を下りだす。
不審に思いつつも先に踏み跡が見えているので下ってみるが、その先で徐々に踏み跡が薄くなり……


このように、明らかに沢へ降りていくような按配。
踏み跡というよりも、「人が通った痕跡がある」程度。


 これはおかしい、とGPSを出せば、明らかに登山道を外れて沢に向かって降りている。
むう?
道は一本だったはずだが……


 ともあれ、踏み跡がしっかりとついていて・GPSでもルート上と思われる所まで引き返してみる。
だが道の分岐はなく、地形とコンパスを見比べて、「正解のルートがあると思われる方向」を探っても登山道らしきものは見えない。
これは一体どうしたことか?

1.現実に見えているこの道が正解で守屋地図が間違っている。沢沿いに降りていくが、その先で登り返して大岳山に至る。
2.現実に見えているこの道が正解で、守屋地図も間違っている訳ではない。谷筋でGPSが精密な位置を返していないだけ。
3.現実に見えているこの道が間違い。どこかに分岐があってそれを見落としている。

常識的に考えれば真っ先に3が考えられ、2はちょっと出てこない選択だ。
iphoneのGPS精度は(スマホの中では)かなり信頼がおける。
だがこのときは真剣に悩んだ。
少し前にキョロキョロしたように、このあたりの地形が複雑で。
小さな尾根筋沢筋岩場が複雑に入りくんで、ルートの屈曲点などは地形図の等高線には表現されない難しさがある。
地形図と周囲の風景との整合が難しい。
加えて、登山口で感じた「ああ、守屋地図といえども、記憶で線を引いている部分はあるんだ」という小さな不信感があり、1も選択肢として排除できないと思えた。

結局3の可能性を探りつつ引き返し、分からなければ海沢園地まで下山、奥多摩駅に帰ることとする。
難路を行くソロの登山は臆病な位でないと。



 ほんの数十m引き返した所に正解のルートへの分岐があった。
ほぼ平らに巻く道から右手上方に登る分岐がある。
細い道で足元に注意しながら歩いていたので、視界に入らなかったのだ。
なんてこった。

いやぁ……
では私が迷い込んだ踏み跡は何だったのか?
林業者の作業道ならば、この先もずっとしっかりした踏み跡が続くだろうし、
そういうところは守屋地図でも×印がつけられるはずだが。
分岐点から先はまったく違和感なく、同じような濃さの踏み跡が続いていた。
(その先で徐々に怪しくなってくるのだが、分岐点の場所では違和感がない)
何らかの注意喚起が欲しいところだ。


 その先は進む方向が分からないなどという場所は無く、平穏に歩ける。


 橋は崩れかかっているが、渡渉に問題はない。


 地図には水場と書いてあるが、この沢水のことだろうか?
たしかにまあ、飲んでも”たぶん”大丈夫だろう。


 海沢園地から登ってくるモノレールのレールが、あらら、壊れちゃってるじゃない。


 その壊れた場所のすぐ先に、モノレールの中間駅みたいな場所があり、停車していた。
レールを修理しないと降りられないねえ。


 沢が二股になっている所でモノレールも二股。
左の若宮沢方向に道は続いている。


 その先、若宮沢を見送る分岐で標識。
紫線ルートではあるが、標識がないわけでも無いのだ。
昔はもうちょっとちゃんとした登山道だったのが、荒廃してしまったのだろうか。


 沢筋で水が滲み出ている場所などはこんな具合に凍っている。
凍結を心配して軽アイゼンも持ってきたが、必要はなかった。
今年は暖かいねえ。


 沢沿いの道が徐々に


 沢の頭となり、急傾斜になってくる。


 トラロープと


 なぜかザイルの張ってある急斜面を登るとそこが。



大岳山の支尾根の尾根筋にあがった。




 14時前だが、日が傾いたような気にさせられる。


 大岳山の西の肩にでる。
出たところにちょうど標識があるが、海沢園地方向を示す案内は無い。
そして足元を見れば木の枝を横にして置いてある。
「こっちは登山道じゃないからな、間違えて入るんじゃないぞ」のサイン。

やれやれ、嫌な疲れ方をしてしまった。
昨年末に塔ノ岳をかなりの好タイム(当社比)で登れたのは、大倉尾根が安全確実なコースで、自分の身体のペース管理だけに全神経を集中できたから、というのもあるだろうな。
ルートファインドや、迷ったときのリカバリ、正しいかどうかも分からない道を焦りながら歩くとどうしたって疲弊してしまう。

ここで海沢探勝路の結論を言えば、
「初見でのくだりに使用するのはかなり危険」
と、お伝えしておきます。
通行が困難で滑落の危険がある……というような意味での悪路ではないが、正解ルートをはずしやすい。
そして地形が細かく複雑で地形図との照合がしにくい為、一度はずすと確実な場所まで戻る以外の選択が無い。
自信の無い方はまず登りでルートを一度覚えてくださいな。



 あとはほんの少しで、


 大岳山の山頂に到着


 14:20頃
当初の想定より1時間は遅れた。


 遅い昼飯をのんびり食べていると、いつの間にか山頂から人が居なくなった。


 14:50、雲が取れた富士山を拝めた所で、引き上げるとしましょう。
下山点は特に決めて居なかったが。
温泉に入るならば鋸尾根を奥多摩駅まで下るか、
馬頭刈尾根を適当な所から北秋川に降りて、バスで瀬音の湯か。
ただこの時間になると、奥多摩駅に下山するよりも日没が先だ。
今日は嫌な疲れ方をしてしまったし……いいや、御岳ケーブルで降りよう。


 大岳神社で初詣。
山の安全を祈願する。


 御岳神社へ向かう途中
奥の院のあるピークがどうしたことか、大きく斜面が崩落している。

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御岳神社についたのが16時頃
1月最初の土曜日といえど、この時間になると初詣客ももう少ない。
土産物屋・茶店も閉店作業をしていた。
随神門の所のベンチで荷物の片付けをしていると、手首のスマートバンドが無いのに気づく。



ペアリングしているスマホのデータを見ると、12:15のデータを最後に途切れている。
ああ、道迷いで怪しい急斜面を降りたり登ったりしていた頃だ。
シャオミのMiBAND3、安いものだが割と気に入ってたんだがな。
まさか1ヶ月で無くすとは。


 ケーブルカーで下山し、バスの座席に座って出発を待っているうちに日が暮れた。
御嶽駅まえのセブンイレブン、閉店していた。
駅のホームから見上げる御岳山の灯りが妙に遠く感じる。
こんな時もあるさ、とは思うが。
新年一発目の山としては嬉しくなかったなあ。


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