日本三大急登、北アルプス三大急登などはどことはっきり決まっているが
奥多摩三大急登というのは候補がいくつもあり、人によって挙げるものが違う
日原から鷹ノ巣山へ登る稲村岩尾根が大抵入るようだが、あとはてんでんばらばら
これはたぶんあれだ
首都圏からの日帰り登山として人気の奥多摩という限定された地域で、
そこ登る人同士ならば、メジャーなルートならば大抵知っているので「あれだ、これだ」と話のネタにするのにおあつらえ向きなのだろう
今日登る本仁田山の大休場尾根は奥多摩三大急登の有力候補の一つ
平均傾斜で言えばかなりの高い数字になる
バスを使わず駅から歩けるルートなので自分の脚で確かめてみたい
この所おなじみのホリデー快速1号で
いつもなら丹波行きなり日原行きのバスにそそくさと並ぶ所だが、今日は駅から歩ける山なのでのんびり
大休場尾根から本仁田山に登り、下山は花折戸尾根を途中まで
チクマ山の先からゴンザス尾根を降り、もえぎの湯に寄る
町役場の前を過ぎ、奥多摩工業の鉱業所の脇を抜ける
川遊びのためかな、川の石がきれいに組まれている
再度橋を渡り、氷川国際マス釣り場(どのへんが国際なのか)を左に折れる
安寺沢林道に入る
林道と言ってもこの状態で電柱にかかるケーブルも太い
この先にまだ民家がたくさんあるのだろう
住所で言えばここも「氷川」なのだが、地形図には「除ヶ野」とある
小字というやつかな
現在の行政上の住所では小字を必要とせず、番地だけで特定するようになっているので
林道はまだ続くが、この民家の所が登山口にあたる
既に200m近く登ってきた
ここから本仁田山まで水平方向の直線で約1kmだが、標高差700mを登る
なるほどこれは急登だ
もちろん実際の道のりが1kmな訳もなく
標識には2.2kmとある
ところでこのモノレール、山中で時々みかけるが
基本1本だけで機能するはずだ
それを2本つかって大型のゴンドラを眼の前の民家まで動かす
(2本なのだからモノレールとは言わないのだろうが)
民家の裏を登るとすぐに、乳房観音の標識がある
心惹かれる名前だ、ちょっと寄ってみよう
小さいがしっかりしたお社だ
ふむふむ?
医学も栄養も悪かった昔、乳幼児の死亡率も高く、乳飲み子が健康に育つかどうかは母乳にかかっていたはずで
お乳の出の良し悪しは切実な問題だったはずで
そういうのをお参りする観音様だと思っていたが、どうも違うようだ
ただ乳がんのご利益は名前からの連想で後付されたのかな
想像に違わぬ急登
息が切れ、脚が止まる
写真では白飛びしている先まで傾斜地が見えている
上ばかり見ていると首が痛くなるようだ
もちろん踏み跡はジグザグについている
それでも息が上がって、どうにもペースがつかみにくい
はい
沢沿いからの急登が一段落し、尾根上にあがる
ここが
大休場尾根の途中、大休場か
早くもくたびれてしまったが、まだ400mしか登ってないのか
やんなるね
とはいえここからは尾根上の開けた登山道で、さほど急登というほどでもない
ゆるい所、急な所、時々岩場
ただ全体としては「急登」って程でもない
「急登」と呼ばれる場所は単純な傾斜度だけでなく、主観的かつ総合的な「キツさ」でもってそう呼ばれるように思う
特にここは大休場尾根にあがるまでがキツく、尾根にあがってからはさほどでもないので
そのへんが稲村岩尾根に比べて「奥多摩三大急登」の不動のレギュラーたり得ない理由だろうか
ピークが見えてきた
あれが本仁田山だな
最後の一登りはキツイ
ふうふう言いながら登っていくと、花折戸尾根との分岐点がある
分岐点から少し北へ向かう
お天気雨がパラパラと降ってきた
本仁田山到着
いやー、疲れた
駅からの標高差は900m程度で、先週の六ッ石山と大差なく、先週のほうが重い荷物を背負ってたはずだが
序盤でペースを掴みかねたな、ちょっと不本意
地図上のコースタイム1:40の所、1:50かかった
山と高原地図「奥多摩」はなかなかに手厳しい
山頂標識はこれだけ
ここ最近のやたらと豪華な山頂標識は、本仁田山にはまだこないみたい
山頂は東側と南東側が伐採してあるが
あいにくと今日は展望なし
ベンチは先客が使っていた
切り株はいくつもあるが、どれも座るには高い
ヘリノックスの椅子を持ってきているので出して座り、切り株をテーブルにする
今日は熱湯を魔法瓶に入れてきた
食いかけの板チョコとドーナツ、インスタントのカフェオレ2杯とティーバッグの紅茶を2杯
のんびりお茶しているとポツポツ登ってくる人がいる
華やかさでは周辺の他の山に譲るとは言え、駅から歩ける便の良さがあるものな
さて、大休場尾根と花折戸尾根との分岐にまで戻って来る
花折戸尾根は鳩ノ巣駅から取り付きの所の橋が老朽化で閉鎖されているとの警告
私は直接確認したことはないが、他の人のブログなどで知っている
一応迂回するすべはあるらしいが
こちらもかなり急な降り
落ち葉で踏み跡が見えず、滑りやすい
慎重に降りていく
再度、同じ警告
この花折戸尾根、山と高原地図で破線ルートとなっているように踏み跡が大分怪しく、
特に下山時に支尾根への踏み跡に間違って入りやすいらしい
奥多摩地域でも特に道迷い遭難が多い場所なのだ
実はついさっきもソロの高齢男性に川苔山までと、川乗橋バス停までのコースタイムを聞かれた
人も多く道や標識の整備されたコースならばともかく、破線ルートを行くなら最低地図とコンパスくらいは持とう
急なくだりが一段落すると、今度はやたらと平坦な場所に出る
踏み跡を見落とすと、そちらに行ってしまいそうだ
この先で、茂みの中からドスンという重い音が聞こえビクッとなる
ゴソゴソという音と、鳥が飛び立つ音と
大型の動物がいるようだ
鹿ならまだしもイノシシや熊と鉢合わせると厄介
奇声を発しながらそろそろと進むと、どうやらどこかに行ってくれた
山上とはいえ、池の水をあてにはしたくないが
チクマ山
手製標識が一つぶら下がっているのみ
山と高原地図にはゴンザス尾根のルート表記がない
ここからは国土地理院地形図を見る
そろそろこの辺のはずだがと注意していると
予想に反して案内標識があった
ただ少し古いもので傷んでいる
ここを南に折れ、ゴンザス尾根に入る
踏み跡もあるし、基本尾根筋を外さないように気をつけていれば特に問題はないようだ
広い尾根に新し目のピンクテープもあるな、と思いきや
テープは東の植林帯に降りていく
登山者のための目印ではなく、林業者の目印
登山者が安易にあてにしてはいけない
まあ、こんな分かりやすい尾根道でつられる人などいないだろうが
奇妙なアンテナがある
テレビの難視聴地域対策だろうか?
稼働しているのかどうかも怪しいが
このアンテナを過ぎてすぐ、尾根が二股に別れている
左のほうが踏み跡は濃いが、右にも踏み跡はある
地形図を見ると、
左が正解だな
右も踏み跡がある以上、どこかに続いているのかもしれないが
地形を読む限り、危ないなあ
突如尾根上に出現したこれ、なんだ?
ハンドホールのようにも見えるが、こんな山中で?
この辺は高架鉄塔が点在しているので、東電職員の巡視道もある
高架鉄塔の下をくぐる
いつもの
鉄塔をすぎると海沢の方が見下ろせる
あの山の斜面なんだ?
大きく土砂崩れしたように見えるけど
再び現れたこれ
その先にはNHKの施設
ああ、これはやっぱりハンドホールだ
このNHKの施設からさっきのアンテナの所まで、ケーブルが行っているのだろう
ケーブルを地下埋設にして、そのクロージャ(接続点)がハンドホールの中にあるのだろうな
このNHK施設まではなんと電柱で、架空でケーブルを麓から持ってきている
麓から標高差300mはあるが
東電柱表記は「白丸19」、NTT表記は消えてしまって読めない
たった19本で標高差300mも持ってこられる?
20mくらいの間隔なら、いけるか?
ここからのくだりは尾根筋ではなく、大きくジグザグに振れる
NHK施設への小さな案内があり、標識代わりになっている
もう木々の合間から民家が見えるところまできて、再び巡視道の標識
南に降るか、正面(西)へ向かうか
ここまでくればどっちに行ったって大差ないとは思うが、一応確認すると
あれ?
地形図のルートを大きく東に外れている
どっかで見落としたかな?
ともあれ向かうのはもえぎの湯・奥多摩駅なので西へ
枝打ちした杉の葉が道に落ちたままで、妙な引っ掛かりを覚えるが、まあ、もう民家も見えている所なのでどっかしらには出られるはずだ
赤い屋根の、民家ではない?
ここの右手に「日向配水所」の施設があったので、日向地区なのは間違いない
下山点
あれ?標識があるな
おやあ?
ここが登山口であってるっぽいよ
どうも町営住宅の団地の中みたいだ
歩道橋を渡ると、トンネルの左手にもえぎの湯が見える
下山してすぐに温泉があるのはいい、とてもいい
帰宅してから守屋地図で確認
やはりあの道で合ってる
地形図のルートは……これまでも何度も痛感しているが、古いんだ
数年とかではなく、何十年も前の情報が更新されていないのじゃないかな
ニュースでみたが、ヤマレコと提携して登山者のGPSログを参考に古いルートを更新する試みが始まっているらしい
まずは北アルプスと八ヶ岳かららしいが
守屋地図ではゴンザス尾根が実線ルートで、花折戸尾根が破線ルート扱い
歩いてみた感じでも、ゴンザス尾根はさほど難儀ということもない
(アンテナの所の踏み跡はくだりで注意が要るが)
低山を歩けば歩くほど、山と高原地図が意外と細かい所が適当なのも実感するし、守屋地図も携行しないと駄目かな
早いところAndroid版を出してほしいもんだが
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