東京駅八重洲口から大倉への直行バスが運行されるというのだ。
東京⇔秦野丹沢登山口大倉の運行開始
JRバス関東、東京駅~東名秦野丹沢登山口線を9月11日開業。丹沢方面へ直行
表丹沢は年間を通じて登山者が多い。
「都心から一番近い百名山」とも呼ばれる塔ノ岳・丹沢山へもっとも手軽にアクセスできる大倉登山口もその一つ。
しかしニュースに触れた多くの人が覚えた困惑は、
「そもそも直行バスを運行するほどのニーズがあるのか」
だろう。
登山口直行の高速バスというものは便利ではある。
それは鉄道で山近くの駅まで移動したのち、登山口への路線バスに乗り換えてからが長く・座れるかどうかも定かでない状態でデカいザックを抱えねばならないからだ。
その点直行バスならば、確実に座って行けて・寝てても登山口まで運んでくれて・でかいザックはトランクルームに入れておける。
しかし先に述べたように大倉登山口へのアクセスはかなり良い。
都心からならば、新宿から小田急線の急行にのり一時間程度の渋沢駅まで行き、
渋沢駅北口から神奈中バスに乗って大倉まで15分程度。
バス間隔も、もっとも少ない昼間でも一時間に二本はある。
テント泊できず、日帰りが中心の丹沢ならば荷物もそんなに大きくはならないだろう。
なにより。
渋沢駅北口からの6:52の始発のバスこそ混雑するが、それは各方面から集まってきた人で混雑するのであって。
東京駅から来る人限定でみれば、それほどいるのやら。
もう少しデータで比較してみよう。
まず運賃。
これは鉄道+路線バスが圧倒的にお得。
高速バスは距離が長いほどお得になる傾向があるが、大倉までは近すぎて高速バスが割高になってしまう。
次に所要時間。
意外にもこれは早い。新宿からの時間とそう変わらない。
ただし後述する信頼性の点でどうか。
乗換回数に関しては高速バスに軍配が上がる。
一度乗ってしまえば座ったまま大倉まで運んでもらえるのは圧倒的に楽だ。
問題は所要時間の信頼性。
私は東名高速の高速バスは箱根方面くらいしか経験がないが、中央道とあまり違いは無いだろう。
土休日の都心からの下りともなれば、どうかすると渋滞に巻き込まれる可能性がある。
最期に気軽さ。
確実に座って行ける事とのバーターではあるのだが。
事前に予約が必須。
ただまあ、全席が予約で埋まるという事は想定しにくいので、当日でも買えるとは思う。
なんといっても往復1便しかないのでその時間に縛られるというのが痛い。
往路はともかく、復路の時間が決まっているのは困る。
(往路)東京駅八重洲南口(6:30)→秦野丹沢登山口大倉(8:10)
(復路)秦野丹沢登山口大倉(15:30)→霞ヶ関(16:59着)→東京駅(17:10)
である為、到着から帰りの便まで7時間20分しかない。
山と高原地図(2015版)では、大倉から塔ノ岳まで登り3:30、下り2:20だが
登山詳細図(守屋地図)では登り3:50、下り2:25。
準備や休憩時間も含めるとあまり余裕はない。
以上を踏まえると、鉄道+路線バスに比べ、この高速バスのメリットはあまりないように思える。
どうも今回の運航は、JRバス関東から出たものではなく、秦野市からの要請で試験運行的な意味合いが強いらしい。
新東名が開通すれば、大倉近くのPAにスマートICが併設される。
そこからならもう少し時間が短縮されるかもしれないが、
現状の東名の秦野大井ICからだと少し遠い。
むしろ大倉ではなくヤビツ峠行の方がまだニーズはあるのではないかと思える。
毎日アルペン号などは一つのバスが複数の登山口を回るが、それは早朝に着く夜行バスだからこそ可能なのであって、
日中のバスで大倉とヤビツ峠と両方を回るとなると、後の方の登山口へは時間がかかりすぎて魅力がない。
根本的な問題として。
鉄道+路線バスだとアクセスが悪くて諦めていた人に対して、登山口直行バスがあるならばそちらを利用していってみようと思わせるような魅力が無いのだ。
千葉・茨城方面から来る人で、新宿寄りも東京の方が近い人にならばかろうじて訴求力があるだろうか?
また今回要請した秦野市にとってみても。
登山口に直行して登山口から帰っていく登山者は、地元にお金を落とす見込みが小さい。
鉄道で来る人ならばまだ、駅周辺の飲食店や日帰り温泉施設を利用するかもしれない。
いろんな意味で「無茶じゃねえかなあ」と思わせるのだ。
とはいえ一度は利用してみたい。
でも往路だけかな。
復路の時間に縛られるのもあるし、汗で濡れた状態で4列シートのバスに乗るのも気が引けるし。
むむむ。
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(9/13追記:実際に乗ってみた記事はこちら)
大倉登山口直行バスに乗ってみた
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