このところ膝の調子がさえない。
下りでどうしても膝関節が軋みだしてしまう。
昔何度か手ひどく痛めて以来、歩き方には気をつけてはいるつもりだった。
体重を・着地の衝撃を直接膝関節に与えないよう、膝周りの筋肉や足首を使った静かな歩き方を心掛けていた。
それは間違いではないのだろうけど。
ともすれば「筋肉に頼りすぎた歩き方」になっていたのかもしれない。
長時間酷使して筋肉がへろへろになった後の最期の下りで、筋肉が働かずに関節にダメージが入っていたのかも、と思わないでもない。
歩き方の姿勢を見直すべきか。
いや、そもそもオーバーユーズなので休ませるべきか。
こんな時思うのは「山に登るだけ登って、下らなくて良いなら楽なのになあ」。
どっかで聞いた話だが、パラグライダーというのはアルプスに登った人が、登頂したあとの下山が大変なので飛んで降りられたら、と発明したとかなんとか。
私の実感でも日本の3000m級を縦走していて、最終日に一気に大きな標高差を降りなければならないのはとてもツライ。
まあともかく。
高い場所までバスとかロープウェーとかリフトとか、そういうのが来ている場所ならばそれらを下山に使って膝の負担をかけない山歩きというのもアリではないかと。
ずっとそんな山ばかりとはいかないでもね。
始発で来た鶴巻温泉駅。
駅前のファミマで暖かいコーヒーととおにぎりを買う。
陣屋の脇を抜け、東名をくぐって山に入ると後ろから朝日が昇ってくる。
「関東ふれあわない道」なんて揶揄もある、関東ふれあいの道の標識。
ここは早朝にも関わらず、散歩をしている近所の老人やトレランの人とか結構いる。
関東ふれあいの道って、バス停等の公共交通機関を起終点とした日帰りのコースといいうコンセプトはいいのだけど。
コースとコースをつなげるという制約の為に結構無茶な……あえてメジャーなルートを外したコース取りになっている事が多くて。
その為オフシーズンの平日ともなれば一日歩いても誰にも会わない事もあったり。
ベンチがあったので座って小休止。
富士山方向は開けてなくて見えないのが残念。
その時はなんとも思わなかった、南から見上げるとそれなりに立派な山容をしている。
それにしても寒い。耳がしびれるようでフードをかぶる。
手袋も軍手の上に防寒テムレスをつけているが、指先が凍える。
北に大山を展望できる休憩場所だ。
登ってきた太陽が相模湾を金色に染めている。
ベンチに座ってお湯割りを飲み、おにぎりを食べていると。
西の方から犬が2匹やってきた。
これから向かう北への稜線の先に大山。
中腹に阿夫利神社が見える。
あそこから山頂へ登るの、結構急だよ。
指が凍えて限界なので、通気性重視でつけていた麻混の軍手をとって、綿の手袋に変える。
いくら空気こそが保温剤といっても、断熱層が無ければ冷たい風に撫でられる表面から冷気が伝わってしまうし、指先のような末端は体幹部分と違って発熱が小さいので。
通気性よりも断熱性の方が必要なのだな。
インナーを綿の手袋に変えたら指先の凍えもおさまった。
私は冬山はやらないのでさほど手袋の性能にはこだわっていないが、インナーグローブとオーバーグローブの組み合わせは検討する余地がある。
ベンチにすわって残りのスコッチをお湯割りにして飲んでしまう。
途中鎖の打ってある場所もあるが、どうということもない。
昨日ネットで見たのだが。
緊急事態宣言を受けて、伊勢原商工会議所が大山への「山頂登山はお控えください」という看板を出しているらしい。
その一つがここにもある、のだが。
石灯籠の後ろに隠されるように置いてある。
大山寺と阿夫利神社、ならびその周辺の茶屋や土産物屋は一つの経済圏であり、そこで生活する人々がいる。
そこへ「来るな」とは言えない苦しい事情はわかる。
だが「山頂登山はお控えください」という、参拝客を残すために登山客を切り捨てることで「対策はとってます」というアピールにするの、どうかなぁ。
まあ、こうして置いてはあるが・隠されるように置いてあるところをみるに、商工会議所の考える事と・現地での判断とで葛藤があるのは推測されますな。
10:39、鶴巻温泉駅から4時間弱。
さすがに物足らないきもするが、そう思っていられるうちにお終いで正しいのだろうか。
防災無線から「生活に必要な以外の外出は控えましょう」と流れてくる。
防災無線ゆえ、場所を選んで内容を変えられるものではなだろうが。
観光地でそんなこと言われても。
向こうに江の島や房総まで見える。
正月明け最初の週末にしては寂しい人出だけど、
それでも通常20分間隔のケーブルカーが「1回25人制限」の為に10分間隔で運行していた。