2020年10月31日土曜日

2020/10/31土 お鍋@大倉高原山の家跡地

今週末もいい天気だ。
きっと山に入る人はおおかろう。
山に向かうバスもきっと混雑するだろう。
今日はその山ラッシュには加わらず、遅い時間に出て山で鍋をしてくるだけ。


渋沢駅北口から大倉へ向かうバスは、始発はきっと混雑していたのだろう。
今日は10時過ぎだったのでだいぶ落ちついて座れた。
大倉バス停のベンチで支度する。
天気予報に反して随分と暖かい。


この時間から大倉尾根を登っていく人は流石に多くはない。


いつもの朝一のバスでくれば、まだ開いていない観音茶屋もこの通り。


あったかいコーヒーと牛乳プリンを頂く。


大倉高原山の家の跡地のテン場は、意外にも先客が数組いた。
特にファミリーが大きなテントを立て、子供がはしゃいで走り回っていたのはちょっと驚いた。
他にもテントを設営しているのが何人か。

この場所は、現在ちょっと特殊な状況にある。
前提として丹沢は国定公園であり、指定されたテント場以外での幕営は禁止だ。
そして丹沢には山小屋は多いが山中のテント場はない。
ここ、大倉高原山の家という例外を除いて。
テント場が無い理由は込み入っているのでここでは割愛するが、とにかくここは例外の場所だったのだ。

風向きが変わったのは何年か前。
登山ブームを受けてか秦野市が丹沢を観光資源として整備に乗り出したようで。
それでかどうかはしらんが、各山小屋の設置するトイレに変わって、新しいきれいなバイオトイレが設置されたりしている。
そして大倉高原山の家なのだが。
ここは長年ある男性が秦野市から営業権を得て、献身的に運営してくれていた。
わざわざ下の沢からポンプで引く水場も維持していたのだ。
その営業権を、秦野市が取り上げたらしい。
で、そこに何かをつくるつもりらしい。
暗くて汚くて臭いトイレが、新しいバイオトイレになるように、
ここも市の予算でいいものを作ってくれるならば、それは登山者として歓迎すべきなのかもしれないが……

だが何年か前にここの小屋が閉鎖されてそれ以降、ここに市が何かをつくるという様子がないのだ。
人のいなくなった小屋がただ古くなっていくばかりで。
それで例外扱いだったここのテント場がどうなったかといえば、
「当面は以前のように、テント泊してもいい」「特に許可・料金はいらない」という市の半公認・半黙認状態なのだ。
国定公園という事は実際の管理は神奈川県側だと思うし、その決定に他の山小屋が同意しているとはちょっと考えられないのだけど。
その辺ちゃんと詰めているんだかどうなんだか。

ともあれここは、管理者不在という宙ぶらりんな位置づけのまま、国定公園内でありながら
「なんか勝手にテント泊しても許される場所っぽい」
という事になってしまっている。

だが現在ここを利用する人がその辺の事情を理解しているのかどうなのか。
昨今のキャンプブームに反して麓のキャンプ場はどこもキャパオーバーで。
特に人気のあるキャンプ場は予約制だったりする。
なんだかそういう場所からあぶれた人たちがここにきているように見えなくもない。
ファミリーが大きなテントは立てているのはまあいいとして。
ネイチャーストーブで焚火している人までいて、それはまずいんじゃない?って。
裸火でこそないものの、ねえ。
あくまでここは山中であり、国立公園内であり、もと山のテント場であって。
決して無料のキャンプ場ではないのだ。
この利用方法が広まってしまうと、遠からず問題になるかもしれない。


まあそれはさておき飯だ。
寒くなってきたので鍋がおいしい。
山で凝った料理をしてみたいという気持ちもないではないのだが、
あんまり現地で下ごしらえとか、時間のかかる事とかはしたくないのだよね。
その点鍋なら、朝に自宅で材料を切って持ってきて、現地では鍋に放り込むだけ。
お手軽においしい。


先週の大菩薩の具合からするに、関東甲信の紅葉は1200~1500m位が見ごろだろう。
ここは550mくらいでまだ全然。
あと一か月後ぐらいになればここもきっときれいなはずだ。


2017/11/25のこの場所の写真はこちらの過去記事を参照


鶏白湯スープに牛肉とオーソドックスな野菜。
筍の水煮も入れてみた。


第二ラウンドは鶏肉とほうれん草。


沢山いろいろ持ってきたが、食い切らない前提。
使わなかった分は持って帰って私の晩飯になる。


連れは満腹になってしまったので、残りに都一の中華麺をいれて私一人でくう。


食後一休みしてから頂上決戦(頂上ではない)といく。
いや、スコッチの飲みすぎか凡ミスを連発したへぼ将棋だったが。


なんだかんだのんびりしていたら14時半になった。
朝一のバスで塔ノ岳まで登った人たちが降りてくる頃合いだ。
ゆっくり下っていくと後ろから足の速い人たちが次から次へと追い抜いていく。

大倉バス停は予想通り、バス待ちの長い列ができていたが。
神奈中バスが臨時便を出してくれたので2台目に座って帰れた。
登山したともいえないピクニックだが、まあこんなお山もたまにはいいでしょ。



2020年10月26日月曜日

傘と笠

 この夏、2つの「かさ」を買った。


一つがこれ。
軸の無いこうもり傘で、頭にかぶるやつ。
小池都知事がオリンピックのスタッフが炎天下の日除けにかぶるのを案内して有名になったやつだ。
てっぺんから紐がでていて、これを引っ張ることで広がる。
あー、なんという名前なのかは知らないが、昭和のご家庭にあった、夏に食卓の準備をしている最中に蝿がたからないようにかぶせる蚊帳。
あれと同じ開き方といえばオッサン以上の人には伝わるだろうか。


裏はこうなっている。
陽射しを反射できるようにか銀の裏地になっていて。
頭にかぶる所はゴムバンドになっている。
最初はあごひももついていたのだが、非常にちゃちなつくりで一回使っただけでちぎれてしまった。
てっぺんの所に穴が開いていて、


天辺が二重の傘になっている。
これにより頭部から発する蒸気が外に抜けていくようになっているし、
また強風が吹いた時に下からの風が抜けていくような工夫なのだろう。
雨風のなく、熱い時には通気性重視でこんな風にめくって使う事もできる。


たたむとこんな感じ。
天辺が二重の傘になっているため、不格好に膨らんでいるが。
ストックをザックに外付けするように、これもザックに括り付ければ問題はなかろう。



買ったもう一つがこちら。
竹製の編笠。
菅の編笠とどっちがいいか迷ったが、竹製の方が見た目がきれいなので竹にした。


五徳は別のものに取り換えた。
お遍路用品のいっぽ堂という店で取り扱っている柔らかい樹脂製の五徳をつけた。


元からついていた五徳は私の頭には小さすぎたのだ。


このいっぽ堂の五徳、柔らかい上に長さの調整ができるので自分の頭にピッタリにできる。
するとあごひも無しでも帽子のようにかぶることができる。

サイズフリー五徳
もし編笠を買おうと思っているならば、かならずこれも一緒に買いそろえてほしい。
あなたの編笠ライフを彩り豊かなものにしてくれるだろう。


傘のようにたたむことはできないので。
かぶっていない時はザックの後ろに括り付けておくことになる。
邪魔って程でもないが、まあ目立つね。

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なぜこれらのかさを買ったのか。
一言でいえば、夏の暑い時期にカッパを着たくない。
雨に濡れなくとも、内側で汗で蒸れてびっしょりになるから意味がないのだ。
これはおそらくゴアテックスだろうと同じだろう。
一度経験した人ならわかってくれるはずだ。
また道の良く整備された山ならば、傘を差しながら歩く人も多い。
基本観光地の高尾山一号路は言うに及ばず、
丹沢の大倉尾根あたりでも結構いる。
それほど皆、夏にカッパなぞ着たくないのだ。

とはいえ片手が塞がり、風にあおられる傘が登山に望ましくないのも確かで。
そこで頭にかぶる笠ならばいいのじゃないかと思ったのだ。
ちょうど都知事のアレがメディアに出ていた時期で、買ってみた。

以下は使ってみた感想。

まずかぶる傘のほう。
雨傘としての機能は十分だった。
そこそこの大きさがあるので、胸元から上はほぼ濡れない。
若干肘が濡れる。
強風下で使った事はない、というかそういう状況で使う気もない。
あくまで風のない、しとしと雨の状況で使うものだ。
欠点は、でかい事。
高尾山の一号路のような広い道ならばよいが、一般的な狭い山道でこれをかぶっているとすれ違うのが困難だ。
手持ちの普通の傘ならば、傾げたり・持ち上げたりしてすれ違えるが。
頭にかぶっているとそうもいかない。
使う場所は選ぶだろう。

もう一つの編笠のほう。
こちらは肩幅~肘幅くらいなので、これ単独では雨避けにはならない。
基本カッパなりポンチョを羽織った上で、頭部にフードをかぶらずともよくなるアイテムだ。
他人とのすれ違いにも支障はない。
編笠の中でも三度笠と呼ばれる大きな奴(木枯し紋次郎がかぶってるアレね)ならばもうちょっと雨に強いかもしれない。
三度笠+旅行合羽という旅がらすスタイルもいいかもしれないが、旅行がっぱに相当するものなかなか無い。
現実的にはバタつかない、適度な大きさのポンチョを探すことになるだろうか。

編笠は雨というよりも、真夏の強い日差しに対して強い。
笠と頭部の間に空間ができるので、汗は手ぬぐい等に吸わせることができる。
私が笠に興味をもったもう一つの理由がこれで。
結構な汗っかきであり、真夏は頭に巻いたタオルが絞れるほどの汗をかく。
そのため帽子ではだめなのだ。
帽子が汗をすってびしょびしょになって不快なことこの上ない。
故にいつも頭にタオルを巻いているが、そうなると帽子とは別種の日除けが欲しい。
それが笠というわけだ。

2020年10月25日日曜日

2020/10/24土~25日 フロアレスシェルターを試すその3@大菩薩

その1はこちら

https://yamatabinokiroku.blogspot.com/2019/09/201992829.html


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血圧の薬をやめて2週め。

本当はまだもう少し高尾山でリハビリに勤めるつもりだったのだが。

こんな好天を目の前にぶら下げられたら仕方ないよね。
機を見てせざるはなんとやら。


甲斐大和駅のバス待ち列が見たことない長さに。


最後尾ここ。
朝一のバスに乗るつもりで後ろの方に並んだ人は1時間45分待ちだったとか。
その後山交バスが車両と運転手をフル回転させてくれたおかげで状況は改善に向かっているらしく。
私は40分待ちで乗れた。
私の乗ったのが午前中の最終便だった模様。


上日川峠は大混乱。
車なんか止める場所無いのに、マイカーが後から後からやってきて、交通整理が大変そうだ。


喧噪の上日川峠を離れ、


福ちゃん荘へ。
テント受付400円。
コロナ対策でいろいろと大変そうだった。


意外とテントの数は多くない。


さて。
では1年ぶりにフロアレスシェルターをやってみましょうか。
まずは敷物を敷く。
ガーバーのオールウェザーブランケット。
アルミ蒸着してあって熱反射性があるが、少々かさばる。
軽量化につとめるのならもっとぺらい敷物でもいいのだろう。


その上にシェルターを広げる。


四隅をペグダウン。
ペグをひっかけるループが少々長く、そのままペグを打つと地面との隙間ができる。
(その1を参照)
そのためループを折り返して三重にして使用した。
またペグを打つ時に正確な長方形にしないと立ち上げたときにどこかに弛みが出る。


中でストックを立てる。
本来は130cm必要だが、ペグループを短く使っているせいで125cmで足りた。
ペグは最低4本でも足りるが、入口をこういう具合に維持し・夜間の弛みを予防するために6本打ったほうがいい。


奥半分を寝床にする。
手前半分の頭側が荷物置き場。
手前半分の足側が靴を脱いだりするための土間。


朝コンビニで買ったサンドイッチでお昼にし、スコッチのお湯割りを飲んで横になる。
昨夜はあまり寝てないせいか、ウトウトとして寝入ってしまった。


目が覚めると13:30。
どうしたものかと迷ったが、雷岩くらいなら行ってこれるだろう。
唐松尾根を登る。




流石にこの時間だともう登っていく人は少なくて。
皆ぞろぞろと上から降りてくる。


尾根途中のシカチャン。
福ちゃん荘で秋にテント泊すれば夜中に嫌という程鹿の鳴き声を聞かされるが。
そういえば鹿の姿はあまり目にしたことなかったかな。


まだうっすらと鹿の子模様が残る若いやつだ。
鳴き声がミェェェとカワイイ。


足停めてホウと吐く息白きかな



雷岩が見えた。


到着。
コースタイム60分の所、62分でこれた。
副作用とおぼしき症状もない。
上々です。



流石にこの時間では雲が沸いているが。
それでも素晴らしい眺めだ。
来てよかった。

この後iphoneのバッテリーが突然死する。
そこまで寒くはないと思うが、こいつもそろそろ寿命かな?


スコッチをお湯で割って飲む。
ごく少量をたっぷりのお湯で、アルコール2%くらいにして飲む。
寒いとこれがうまい。

今日の所は特に不調はない。
が、明日はどうしようかな。
本当なら丹波山か小菅へ降りたいところだけど、そっちはコースが長い。
途中で不調になってもエスケープできないんだ。


ぼんやり眺めながら薄いお湯割りを飲む。
傾いた陽の光を映して、笛吹川がキラキラしている。


富士山もちょっぴり頭をだした。


大菩薩峠へ向かう。
甲州側は晴れているが、丹波山側は雲が溜まっている。


てんしのはしご


南面の草原に、道のようなものが見える。
そういえば。
賽の河原の避難小屋のあるところが元々の大菩薩峠で、今の介山荘の場所は後から付け替えられたものだとか。
賽の河原から富士見荘へ降りる旧道があったはずだが。
あれがそうか。


地図上では破線ルートになっているが、そこまで悪い道でも無い気がする。
介山荘まで行けば確かに道は楽だが遠回りになるし、ここを降りてみよう。


笹原のなかにはっきりした道。
間違えようもない。




紅葉を楽しみながら降りる。


半分くらい降りてくると、沢の音が近づいてくる。


渡渉か所。
今の時期だからか、水量は少なく危なくはない。



黄葉した森が西日に照らされて美しい。


ほんとに富士見荘の目の前に降りてきた。
あー、そういえばこんな登り口があったっけ。


テントに帰って晩飯にしよう。
魔法瓶の中の残りを沸かしなおして、


アルファ米にお湯をそそぐ。
熱湯でも20分かかるので、その間に。


これ。
ハナマサで買ってきたウルグアイ産のどでかいコンビーフ。
国産メーカーはもう作らなくなった枕缶だ。


薄いお湯割りを飲みつつ、こいつをつまむ。
うーん、脂が多め。かつ寒くて固まっているので味は今一つ。

ご飯ができたので、中華丼をお湯で戻してたべる。
流石のアマノフーズでおいしいが、これ微妙に量が少ない。
アルファ米100g(1合相当)だと半分~2/3は食べられるが、どうしても御飯がのこる。


そこでこれ。
コンビーフを鍋にあけ、フリーズドライの野菜スープと一緒に煮れば、ごはんのおかずになるビーフスープに。
こいつで残りのご飯をかたづける。


飯を食っているうちに暗くなってきた。
お湯をさらに沸かして魔法瓶を熱湯で満たしておく。
お湯割りを飲んでいるうちに眠くなってきたので横になり、寝袋を掛け布団の様にかける。

シェルターと地面との隙間はなるべく小さくしたが、完全にふさげているわけではない。
どうしても少しづつ冷たい空気が入ってはくる。
ちゃんと寝袋に入らなけれはとは思うのだが。
疲れてどんどん眠くなっていくのと、
どんどん寒くなってくるのとがせめぎあう。
20時ころに酔いがさめてきたタイミングで観念して対策をとる。
・使い捨てカイロを足に貼る
・ちゃんと寝袋に入る
・寝袋の上からアルミシートをかぶる
これでぬくぬくと眠れる


翌朝。
夜間に多少風が出ただろうか?
ごぉという音と共に大量の枯葉が落ちてきて、テントにあたる音が気になった。
とはいえよく眠れた。


2年前からやってるこれ。
使い捨てカイロを足に貼るのが実に効果的。
私はハクキンカイロをこよなく愛していて。
冬の雲取山で-10℃以下の極寒の状況で救われたこともあるのだけど。
熱量は弱くとも、冷える体の部位にピンポイントで張れる使い捨てカイロはやっぱりべんりだよなあ。

今回の寝袋は「快適:7℃ 下限:2℃」の寝袋。
標高1700mの福ちゃん荘はまだ氷点下にはならないはずだが、ちと力不足だったか。
以前ほどご飯を食べないという私の方の変化もあるかな。

そんな時は寝袋の上からアルミのサバイバルシートをかぶるのが効果的。
熱を反射するので体感で5℃~10℃は違うように思える。
また風を通さないので、今回の様に隙間風がしみこむ状況ではシェラフカバーの代わりも果たしてくれる。
ただ透湿性はゼロなので、シートの内側が結露して寝袋をぬらす。
2泊以上の縦走だとちと面倒だ。


朝のトイレをすます。
今日は快晴だな。


テント場へ戻る。
既に撤収した人もいるだろうが、やっぱりそんなに混んではいない。
団体さんらしきグループがいなかったせいかな?


夜間の風で積もった落ち葉がいい具合に地面との隙間を埋めて?くれていた。


朝飯。
さほど空腹は感じていないし、アルファ米は作らなくてもいいかな。
なによりコンビーフがまだ半分近くも残っている。
これを昨夜同様野菜スープにする。

うーん、まずい訳じゃあないんだが。
この量を一人で食べるにしては脂が多すぎたな。
もっと脂の少ないコンビーフを持ってくるか。
明治屋のやつとかおいしそうなんだけど、80gで400円くらいするのでいつもスーパーの棚の前で怯んでしまう。


さて。
ではフロアレスシェルターの撤収をば。
まず中である程度荷物を整理しておく。
寝袋やエアマットはたたみ、細かいものは袋にいれ、すぐにザックに放り込める程度まで片づけておく。
(使っているザックが2気室ならば、先に荷物をパッキングしておき、濡れているシェルターやシート・汚れているペグだけを下の方に入れるのでもいい)


外にでたら柱代わりのストックを抜き、ぺしゃんこにしてしまう。
ここからペグを抜き、シェルターもろともくるくる巻いて畳んでしまう。


この状況になるので、濡れているものを下に、
今日これから使う着替えとかを上に、ザックに詰めていく。


慣れればテントを出てから5分で撤収完了できる。
この撤収の早さこそがフロアレスシェルターの神髄だと思う。
フロアレスシェルターといえばUL(ウルトラライト)の代名詞のように語られ、
小型軽量化の代償として快適さを捨てているように思われるが、私の感触は違う。
写真をみて気付いたかもしれないが、キッチリしたペグダウンの為に鋳鉄のソリッドステークペグに、ハンマーまで持ってきている。
決して軽いわけではない。
むしろ部品の少なさ、フレームとか貼り綱とか無い事による極限のシンプルさと、そこから生まれる設営&撤収の早さこそが神髄なのかと思う。


朝にのんびりしすぎたせいか、福ちゃん荘を出発したのが8:22。
裂石へ降りて、10時開店の大菩薩の湯に入るにはちょうどよかろう。


昨日同様大混雑の上日川峠を過ぎ、裂石へ降りていく。


かつては大菩薩峠をこえる街道だった為、切通のように深くえぐれた道を降りていく。


しゃがんでキノコの写真を撮って、立ち上がった時にすこし立ち眩みがした。
が、今回の副作用はその程度だった。
先週のような妙な頭痛はなく、良好に歩けている。


大菩薩峠登山口バス停に戻ってきた。
ちょうど10時の落合行のバスが通った後らしく、支度をした登山者とすれ違う。


そこから10分程で市営の「大菩薩の湯」に到着。
帰りのバスは12時ちょうど。


商売っけの薄い温泉施設だ。
念入りの検温と、住所と入退館の時間まで記入させられたが、お座敷を使わせてくれるのはありがたい。
寝っ転がって休める場所は閉鎖されている所が多いからね。
ただここもサウナはやってなかった。

塩山駅でほうとうでも食べて帰ろうかとも思ったけど。
すぐに特急が来るので信玄餅アイスと信玄餅どら焼きを買ってホームに降りたのだった。
ああ、やはりテント泊は楽しい。
来てよかった。



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ここからはその1に書いた内容とも重複するが。
フロアレスシェルターとツェルトとの比較をしてみよう。
上に書いた通りフロアレスシェルターの神髄は部品数の少なさだと思うのだが、それでもこれを検討する人は軽量さに惹かれての事だと思うし、そうなれば比較対象はツェルトだと思うので。

・重量
これはツェルトに分がある。
フロアレスの本家であるローカスギアのKhufuならばツェルトなみの重量だが、別途敷物が必要だ
まして私の使っている”安いワンポールテントのフライだけ”では倍くらい重い。

・設営&撤収速度
これは圧倒的にフロアレスが早い。
テントとして快適に使うためにはしっかりとペグうちをして、幕体をピンと張る必要があるのはどちらも一緒だが。
ツェルトは本体とは別に張綱が6か所(前後に2点づつ、サイドリフターに2点)も必要になる。

・専有面積
私がツェルトを使わなくなった理由の一つ。
その1でも書いた通り、ツェルトは幕体をピンと張って、また耐風性を高めるためにかなり離した場所に張綱のペグを打つ必要がある。
その張綱まで含めた正味の専有面積はとてつもなくでかい。
混みあうテント場で使用するには難が大きいのだ。
フロアレスも張綱を追加で張って、耐風性を高めるようにななっているが、
基本幕体の天頂から四隅へのラインが張綱の機能を兼ねているため、よほど風が強くないならば不要だ。

・居住性(結露は除く)
これはいくらかツェルトに分がある。
不通に上半身を起こして作業し、何なら着替える事も出来なくはない。
フロアレスは一番高いとここそ130cmもあるが、ツェルトのように辺ではなく点なうえ、
そこには柱と邪魔ものがあって使用できない。
今ではいくらか慣れたものの、初めて使った時は邪魔で邪魔で仕方がなかった。
着替えも外でしたし、寝ていても柱が気になって仕方なかった。

・結露
私がツェルト使わなくなった理由のもう一つ。
ツェルトというのは内側がとても結露しやすい。
中で煮炊きなどするとすぐにびっしょりになる。
ベンチレーターはあるのだが、位置が悪いのだ。
蒸気がベンチレーターに届く前に、天井にあたってそこで結露してしまう。
また幕体が薄い為(それは軽量というメリットとバーターなのだが)、サイドリフターを引っ張っておいても少しの風でバタつくため、風が吹くたび結露の水滴が雨となって降ってくる。
ファイントラックの売っている透湿性のあるツェルトならばいくらか違うのだろうか。
対してフロアレスはどうか。
四角錘のピラミッド型で、天頂の一番高いところにベンチレーターがある為、中で煮炊きをしても蒸気は自然とベンチレーターに向かう。
もちろん途中で結露は生じるが、ツェルトよりは圧倒的に少ない。
またピラミッド型の妙で、風を受け流しやすいためか風によるバタつきが少ない。
そのためツェルトのような「風が吹くと、中で雨が降る」ということもない。
さらには結露が水滴になっても、幕の内側を伝って垂れていく先はシートのない土の地面である。
シートを濡らすという事は少ない。
これまたフロアレスの妙というべきか。

・土間について
外があまりに寒い時・雨が降っている時などは中で靴の脱ぎ履きをしたいものだ。
通常のテントに対するツェルトのメリットとして、床が割れている所をめくって一時的に土間をつくれる、というものがある。
これ、嘘ではないが実用的な話ではないなあとも感じている。
通常ツェルトの長さは200cmで。
一度全身用のマットを敷いて寝床を準備してしまえば、めくって土間にするスペースなどない。
半身用のマットを使い、寝る時だけザックを足元に敷くという使い方ならば分かるが、それとて常時土間にして靴を置いておける訳ではない。
対してフロアレスの方は私の写真を見ての通り、十分な広さの土間を、なんなら常時作って置ける。
これまたファイントラックの長さが220cmの奴ならば、靴を置いておける土間分は確保できたりするのだろうか?
でもさすがの私もこれ以上ツェルトを買う気はしない。



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さて。フロアレスシェルターの記事もこれで3つめ。
まだまだ試したいと思う点はある。

1.スノースカート
幕体と地面との隙間から風が吹き込んでくるという問題。
今回私がやったようにペグを引っ掛けるループを短く使って、隙間を小さくすることはできるが完全にふさげるわけではない。
通常のテントのオプションにある「冬用のフライ」のように、地面との隙間をなくす短いカーテンのようなものをつけたら隙間をなくせるのではないかと考えている。
今回のように10月の1700mで樹林帯の中で風もきつくない条件下ならば必要ないが、
もっと厳しい冬季にフロアレスシェルターを試すならば必要になってくるだろう。
ただそんな状況でまでフロアレスに固執する必要はあるのか?とも感じているのだが。

2.柱の2本化
フロアレスシェルターの(割と致命的な)欠点は、中央の柱が邪魔で居住性を大きく損ねている点にある。
ところでこの柱は専用のフレームではなく、ストックで代用している。
ストックならば、通常2本持っているものだ。
ならば垂直に1本立てるのではなく、何らかの方法でストックの長さを延長して、逆V字状に2本で支えられないだろうか?
実は今回その準備をしていたのだが。
なんだか柱との付き合い方に慣れてしまった感じがして「ま、いいいか」となって試さずに済ませてしまった。
あんまり複雑な事をするならフロアレス&ワンポールのシンプルさを損ねるし、居住性を求めるなら普通のテントの方がいいし。

そう、実はフロアレスシェルターの限界も見えてきてしまった。
軽量化というよりも部品数の少ないシンプルさこそが神髄だと理解してしまうと、
それならば透湿素材を使ったシングルウォールのテントでもいいんじゃない?(高いけど)という気もしてくる。
横巾がそれなりにあり、長辺がわに出入口のあるような奴ならば、同じような使い勝手で邪魔な柱が無い。
ただ、うん、高いんだよね、それは。