1.はじめに
2.計画
3.登山口まで
4.登り
5.荒船山
6.下り
7.下山後
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1.はじめに
西上州は我が故郷ながら、山登りに来るのは初めて。
小学校時代の遠足を別にすればだが。
山登りを始めたのは30代になってからだし、都心から来るには微妙に不便なとこ。
今は妙義神社へのバスも無くなったようで、原則マイカーの山域かな。
そんななかで上信電鉄沿線は比較的公共交通機関で行きやすい。
妙義とならぶ西上州の名山・荒船山には一度行きたいと思っていた。
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2.計画
・行き
0505 王子
0510 赤羽
0523 赤羽 高崎行
0655 高崎 1694円
0710 高崎 上新電鉄下仁田行
0815 下仁田 1130円
0823 下仁田駅 しもにたバス【市野萱線】・スクールバス5号
0850 三ツ瀬 200円※先払い
・帰り
1652 三ツ瀬 !最終・必須(これの前は1545)
1719 下仁田駅
下仁田駅から
1725、1803、1846
・登山(CTは山と高原地図2024年版)
三ツ瀬
↓0:50 ↑0:45
相沢登山口
↓1:00 ↑0:40
中ノ宮
↓1:10 ↑0:45
相沢分岐
↓0:35 ↑0:35
荒船山(経塚山)
※上記に加え、相沢分岐~艫岩展望台で休憩含めて60分程度見込む
トータル7時間20分
0850のバスから1652のバスまで約8時間、40分の余裕がある
あるいは最終一つ前の1545に間に合うかもしれない
相沢分岐まで、登りがCT通りに3:00かかったと仮定して、相沢分岐からの下山開始は14:20をリミットとする
場合によっては艫岩での休憩時間を削り、ないしは経塚山へのピストンを見送る判断も要る
最終手段
上信ハイヤー株式会社 下仁田営業所 0274822429
(有)成和タクシー 0274-82-2078
※バスで30分の距離、迎車料金もかかるとすると1万+か……
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3.登山口まで
高崎駅でのJRから上信電鉄への乗り換えは少し時間がかかる。
高校生の頃は、構内がJRと共用だった気もするが。
今はJRの改札を出て、西口デッキから地上に降り、立ち食い脇から0番線に入り、ホームを南に進むと上信電鉄の改札がある。
ICカード未対応なので切符を買う必要がある。
何もなくとも乗り換えは10分みといたほうがいい。
トイレ買い物もあるなら+アルファ。
……実は1週間前に荒船に登りに来たのだが。
お腹がどうにもこらえきれず、高崎駅でトイレに駆け込んでも個室が埋まっていて。
複数のトイレを移動しても同じくで15分の乗り換え時間で足らなくなってしまったのだ。
結果、高崎駅にて途中敗退。
有人改札の無い駅では一番前の運転手の後ろで乗り降りし、整理券を取ったり料金を支払ったりする方式。
小海線と同じね。
なので前の方が混雑する。
乗っていてすぐに気づくが、列車の走行速度が遅い。
そして駅間の距離が短く駅が多い。
似たような、高崎駅から西へ長野県堺の手前までの路線で比較すると、JRの信越線は終点横川まで 29.7km 34分 506円
上信電鉄は下仁田まで 33.7km 65分 1130円
地元でよく聞いた「日本一高い」が事実ではないにしても、何らかの不満がでるのはわかる。
ただ駅間が短いのはそれだけ生活に密着しているということでもあるか。
終点下仁田駅で降りる。
しもにたバスののりばは目の前にあった。
7人乗りの常用ワゴンだ。それはまあ、予想はしていたが。
2台停まっているいる車の表示を見ると、どちらも私の乗る市野萱線ではない。
乗り換え時間はそんなにないのだが。
あれ?とスマホを確認していると、車の中から運ちゃんが
「おう!どこ行くんだよ!荒船か?」
と声をかける。
そう、三ツ瀬まで行きたいのだと告げると
「それなら背番号5のやつだ。それ、後ろ来た。」
とみれば市野萱線のそれは常用ワゴンではなく普通のでかいバス車両だ。
あれ?デカイんだ?と返すと
「貸し切りだけどな、バッハッハ!」
と返す。
しもにたバスは町営ではあるが、運行は民間委託。
田舎の交通会社の運ちゃんらしく、口は荒いが気はいいおっちゃんだった。
市野萱線のバスは昔の観光バスみたいな車両だ。
4列シート×9列のみのシンプルな作り。
運転席に料金箱みたいなものは無い。
200円を渡そうとすると、小さなタッパーの蓋に貯金箱めいた切り込みの入ったものを差し出される。
そこに200円を投入。
三ツ瀬で下車。
向こうに艫岩だろうか?岩壁が見えるが雲がかかっている。
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4.登り
私の実家の方にもたくさんある。
ここで身支度。
一気に秋めいてきたものの、今日の気温だと汗をかきそうだ。
体温調整用のTシャツは脱ぎ、ベースのメッシュシャツのみになる。
歩きやすいなだらかな道を登っていると、突如上から白いワンちゃんが全力疾走で駆け下りてくる。
「うおおおおおっ!?」
と変な声を出して山側に飛びのける。
ひと目で犬と認識できてこのざまでは、猪や熊の時に落ち着いて対処できただろうか。
遅れて飼い主も降りてきた。
散歩してたみたい。
下に車は止まっていなかったし、地元の人かな。
しかし困ったことに、ワンちゃん飼い主と一緒に降りていかないで、私と一緒に登ってくる。
いや、私を先導して「早く早く」と言わんばかり。
遊び足りないのか。
飼い主も付き合ってまた登るみたい。
岩屋の下が実際の中の宮。
傾斜75度くらいか。
もし崖から落ちたらなら、途中なんども岩に叩きつけられるだろうな。
初撃で頭を撃って即死出来れば幸運だろう。
死に損なえば激痛と死の恐怖と、しかしどこかで引っかかって止まってくれないかと奇跡を願いながら落ちていくことになる。
ナムアミダブツ。
CT3:00のところ、2:25で登ってきた。
もとより足の遅い私で、このところ体調が良くない。
今日など咳と鼻水とえづきもある。つまり具合が悪い。
それでも×0.8で登れたということは、CT設定がわりと甘めのようだ。
ここからバス停までの下りは2:00みておけば十分だろう。
ん~。
計画段階では16:52の平日最終バスが必要と判断して、平日を選んで来たのだけど。
これなら土日最終バスの15:45でも大丈夫だったな。
今日も15:45のバスに乗る事になりそうだ。
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5.荒船山
さて。
艫岩の方と、経塚山の方と、どっちを先に行こうか。
現在雲がかかっていて、艫岩に行っても展望があやしい。
ならば先に経塚山に行って、このあと雲が晴れる可能性に期待しよう。
荒船山はテーブルマウンテンで山頂が南北に長く平ら。
船に例えれば1km以上の巨大な甲板。
艫岩が船先で、経塚山が甲板後方の艦橋だ。
歩いても歩いてもずっと平らな光景が続くので……なんだか妙な感覚になってくる。
普通の山を歩いている時の感覚ではない。
妖精の小路にでも迷い込んだかのよう。
相変わらずまったいら。
西上州は信州文化圏の影響が強いのです。
多少埃臭いが問題なく寝られる。
アルミサッシのガラス戸もからからと軽く開く。
奥多摩や丹沢の避難小屋と比べたらぼろいかもしれないが、北関東の避難小屋としては上等な部類でしょう。
正面北側に浅間を望む。
ちょっと下を覗いてみたくなる……
みんな平気で崖のへりを歩いているような形跡があるが。
そこから後一歩踏み外したら、ちょっとよろけたら、墜落するよ。
だがこうしてみると確かに……そこに確実な死がある、という程危険な場所には見えにくい。
数人いた他の人もなごやかにお昼を食べている。
普通の展望のいい山頂の印象を受ける。
危険な感じがしないのだ。
実は墜落事故が多発する理由はなんだろうか、というのが荒船山への興味のひとつだった。
ミイラ取りがミイラになるつもりはない。
決して油断して崖に近づくまいと思っていたが。
それでも相沢コースからあの断崖絶壁を見ていなかったらもう少し油断してしまったかもしれない。
想像していたのとは違ったが、確かに恐ろしいとこだよ、ここは。
おやつを食べて時間をつぶす。
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6.下り
登ってきた相沢コースを降るので、特になにもなし。
時間調整しながらゆっくりなので、道を観察しながら降りていく。
道は、全体的にはなだらかで歩きやすい。
危険な箇所はない。
強いて言えば、中ノ宮手前の沢筋を横切る所が少し崩れぎみなのと、
相沢分岐直下に足元の頼りないところがあるくらいか。
まったくの初心者や、子供を取れているなら少し不安かな。
山慣れている人には高速道路です。
・中ノ宮周辺のオブジェ
手製標識も同じ人によるものだろうか。
そういえばコース中には標識の類がなかった。
国定公園の200名山にしては、だが。
おそらく昭和の登山ブームの頃に一度標識類が整備され、それっきりなのだろう。
代わりにピンクテープはふんだんにあった。
正面に見えるのはお隣の千ケ平。
こっちも荒船同様の絶壁だ。
荒船の湯が休業中でなければ温泉に浸かりたかった。
休業というか、運営側が連絡とれず閉業ではないかという噂も。
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7.下山後
三ツ瀬バス停から15:45のバスに乗る
運転手に200円を渡そうとすると、
「この時間はスクールバスなのでいらないです」
と。
町民の税金で運営しているも同然のバスに、よそ者が行楽で利用しているのに。
なんだか申し訳ない。
せめて地元でお金を使おうと思ったが。
駅周辺に飲食店は多いものの、ランチ営業のみか、中休みが入るタイプか、テイクアウトのみの店ばかり。
16時に食事できる場所が乏しい。
唯一通し営業のカフェは臨時休業だった。
市街地近くのでも西上州らしい奇岩の山だ。
気づいたのだけど、駅名に「上州◯◯」というのが多い。
「上州一宮」は、一宮なんてすべての州(くに)にあるのだしいちいち断らんでも……と思ったけど。
たぶん全国レベルで駅名検索した時に、群馬の上信電鉄の駅だと認識しやすくするためのものなのかな。
秩父鉄道の「武州◯◯」も同様だろう。
「武州日野」なんて、中央線の日野も武州じゃないかとツッコんでたけど。
あれは東京の日野との区別ではなく、全国区からみて埼玉の秩父鉄道であると認識しやすくするためのものなのかな。
コレ!
同じものをうちの母も作ってた。
硬めの生地を手で握って油に落とすのでこういう形。
母はこれをドーナツじゃなくて「かりんとう」と称していたけど。
これひとつで口の中の水分全部持っていかれる。
日本の農村のオールドファッション。
新美南吉の『牛を繋いだ椿の木』で主人公が駄菓子屋で食べかけた"油菓子"というのもこういうやつではないかと思う。
切符に鋏を入れてもらいホームへ。
焼餅。
ふきのとう味噌を生地に混ぜ込んで焼いた、具無しのお焼き。
これも同様に本物の農家のおやつだ。
日本の農村のスコーンとでもいうか。
や、観光地で売ってる薄皮で野沢菜漬とかの具材がたっぷり入ってるやつを偽物呼ばわりはいたしませぬが。
プリミティブな姿はこうですよって話ね。
米が貴重な時代に、小麦粉で安く簡単に造れて、ある程度作り置きできて、手で持って食べられる間食。
ソースカツ丼は高崎線のグリーン車で頂きました。
肉たっぷりなので肉でビールを飲み、タレの染みたごはんをお新香で食べるのが良き。