山に行ってからずいぶん間が開いてしまった。
忙しかったというのもあるが、ちとブログ疲れ?というのもあるかもしれない。
もとはといえば、写真をプリントしてアルバムにするのをwebで代替するために始めたこのブログ。
他の方のきれいなブログやHPを見ると「もっと見栄えのするものにしよう」と感じるが、
気楽にやったほうが良いのかもしれないな、と思い直す。
別に画像だけあげるのでも良いじゃないか?
後で見返したときに、思い出すことがあればそのときに書き足すのでもサ。
それはさておき
天気の良い土日で一泊してこようと思った。
とはいえ、都心から一泊の山の指定幕営地となれば実質雲取山しかないのがツライ所ね。
今回は七ツ石尾根から登ってみる。
この七ツ石尾根はバリエーションルート扱いで、初心者のみで入るべきではない。
注意点などは最後にまとめておく。
いつものようにホリデー快速1号で奥多摩まで行き、
奥多摩駅前から丹波山行きのバスに乗る。
これまた当然いつものように鴨沢西までの増発便が2台先行で出たが、それは見送る。
3台目の丹波山行きのバスにのり、「お祭」バス停で下車。
青梅街道上のお祭バス停
サルスベリの花が咲いている
バス停から50m程先に、後山林道入り口がある
今日も暑くなりそうだ
今まで気づかなかったが、後山林道って道端にヤマブドウがわんさと生い茂っている
大菩薩の大蔵沢大鹿林道もたくさんヤマブドウを見かけたが、あっちよりも多い
クズも大量に繁茂して、あちこちで木に絡みついている
あまりに繁殖力が強すぎて、外国では危険外来種とされている国も多いとか
昔はクズをいろいろと利用してきたらしいが、今はほったらかしだから
せいぜい葛湯とか葛餅くらい?
漢方の葛根湯だって、そのへんの野生のクズから採取しているわけでも無いだろうし
脚の早いおじさんに抜かれる
この後七ツ石山の巻道に出るまで、誰とも会わなかった
片倉橋ゲートに到着
ゲートを通過して20mくらい
七ツ石尾根への取り付きがある
見ての通り、古くなってはいるが、階段がつくられている
ここで身支度などの準備を行う
10時過ぎに出発
しっかりつくられた道を登っていくと、モノレールの始点がある
もちろん治山用のモノレールで、一般人が使えるものではない
この建物の中にしまわれているのだろう
建物の裏手に道が続いているのが気になるが、そちらは片倉谷沿いの方向だ
そっちではない
こっち
基本的にモノレールの脇を登っていく事になる
そしていきなり無茶な急坂
踏み跡は、ほぼ無い
後ろを振り返る
遊園地のジェットコースターであれば悲鳴があがる所であろうな
モノレールの右側を登っていく
よく見ればところどころ、モノレールから離れるようにジグザグの踏み跡がうっすらとついている場所もある
よく周囲をみて、安全に歩きやすい場所を探しながら登る
最初の急登が一段落
モノレールの脇に、いくつも巣箱を見かける
これは「H25 No9」と書かれている
平成25年にこのモノレール脇に巣箱を設置したのだろう
おそらく下から順にNo.が振られている
せっせと登っていくと、こんな看板が
モノレールの全長3450mのうち、500m地点
まだ1/7かあ、とため息が出る
左手が開けてくる
踏み跡がモノレールを跨ぐ
守屋地図で最初の「モノレール出合」と記されている場所
ここで初めてモノレールの左側に出た
(※後で説明する都合上、「A地点」とする)
まずまずの眺め
眼の前に丹波天平から保之瀬天平へ緩やかに下る尾根が伸びる
「天平(でんでえろ)」とは、私の知る限りここ、丹波山村周辺でしか聞かない言葉だが、
要するに山の上の広く平らな場所の地形を意味する言葉らしい
良い場所なので腰をおろして最初の休憩にする
陽射しは強いものの、もう真夏は過ぎたことを感じる
風にもどこか秋の気配が混じっている
ふと、やけに静かな事に気付く
もちろん誰にも会わないというのもあるが……
そうだ、夏の低山でうっとおしい、頭部にまとわりつく蝿や虻が全くいないのだ
理由がこいつら、赤とんぼ
トンボは凶暴な肉食で、他の羽虫を捕食するのだ
そのためトンボのいる場所から順に蝿や虻はいなくなる
さて、十分に休んでから出発
モノレールの左側を歩くのだが崖沿いに踏み跡はあり、すぐにモノレールを右に見送ることになる
はじめてモノレールから左手に大きく離れることになるが、見ての通り道ははっきりしているので信じて進もう
崖のへりを通過すると、道が二手に分かれる
モノレールは右手の尾根の上を走っているので、迷うこと無く右上への道を行く
左は……どこへ行くのだろうな?守屋地図にも記載がない
後山林道はあちこちに山への取り付き点があるので、そのどれかから登ってくる道なのだろう
ジグザグに斜面を登っていくと、再びモノレールにであう
林業班境界「4│2」の看板がある
踏み跡はレールを超え、今度は右側に離れていく
守屋地図で「モノレール跨ぐ」を記されている場所
(※後で説明する都合上、「B地点」とする)
モノレールを今度は右手に離れ、道を進むこと数百m
山側を注意していると、木にいくつか白いテープが巻かれているのが見える
ここかな?
よほど注意深く観察していなければ、まず見落とすこと間違いない
踏み跡は、端的に言って”無い”
だがすぐに尾根上のモノレールが見えてくる
尾根上に復帰
うーん?ここが守屋地図に記されている2つ目の「モノレール出合」なのだろうか?
テープの場所から上がってくるのにまったく踏み跡がなかったし、釈然としない
だた他にそれらしき場所はなかったし、
右側に離れていく道から尾根上に復帰するのには一番楽な場所であるのも確かだ
ここは、かなり分かりにくいぞ
再び急登が始まる
モノレールの左側を歩くが、レール脇は木がない
少し離れて木の生えている中を登っていくのが良いだろう
少し下って、上りかえすと
1500m地点の看板があった
地形図の等高線を読んでも分かるように、ここから2つ目の急坂に入る
基本的にはレールを少し離れ、木の生えている場所を登る
岩や木の根を頼りにしないと登っていけない
何もない場所だと手をつきながら登るようなありさまになる
後ろを振り返る
ようやく2つめの急坂が終わり
”片倉ゴヘイザスオネ”に到着
いやー、大変だった
2回目の休憩、お昼ごはんにしよう
朝買ってきたおにぎりとせんべいをかじり、コーラを飲む
地形図を見ての通り、大変なのはここまで
この先は七ツ石尾根に合流して、なだらかになるはずだ
しっかり休んでから出発
”片倉ゴヘイザスオネ”のすぐ先に2000m地点の看板があった
レールが右に10m程飛び出ている
複数台が行き来するとき、すれ違いのための待避スペースだろうか?
待避スペース?に入るための切り替えポイント?は無造作に倒木の上に置かれていた
それでいいの?
南東がわがちょっとだけ開けていて、大岳山が見えた
いつの間にか七ツ石尾根上に乗っていた模様
地形図からはイメージするのと違って、やや細い尾根だ
このあたりもトンボが飛んでいて、他の羽虫がいないのはありがたい
一部赤くなりだしている葉もある
2500m地点の看板
ゆるやかに登っていたレールが下りだす
するとここが赤指山(茸山)か
ちとややこしいが、この七ツ石尾根の東側、鴨沢からのメジャールートを”登り尾根”といい、
その東側、千本ツツジから南に下る尾根を”赤指尾根”というのだ
赤指山のすぐ先、なんとベンチがある
ここが”片倉見晴駅”
いい眺めた
三頭山から御前山への続く、奥多摩町と檜原村の境の山並みがよく見える
三頭山の右下に見える白いのは、大寺山の仏舎利塔か
誰もいないこんな山中に秘密基地めいた展望ポイント
モノレールを設置した治山業者のちょっとした遊び心だろうか
尾根はますます細くなり、モノレールのすぐ脇を歩かざるをえなくなる
右下に下っていくやけにはっきりした道
守屋地図には”作業路分岐”と記されている場所
道はここモノレールの場所で終わっているが、いったいどこから登ってくるのだろうか?
それともモノレールでここまで来て、ここから下っていく道なのだろうか?
相変わらず細い尾根だが、踏み跡は見えている
七ツ石山が見えてきた
もう少しだ
ズームすれば小雲取山も見える
ツツジの中の獣道めいた踏み跡をすすむ
3000m地点の看板
このあたりはもうレールを右に左に跨ぐことが多すぎて、どっち側を歩いたかなど思い出せない
ツツジのヤブが終わり、尾根が太くなると
とうとうモノレール終点に到着
後半は急坂こそ無いものの、細い尾根のわりにヤブっぽくて
歩きやすくはなかったな
終点駅の看板の後ろ、取れかかった巣箱があり
それがちょうど「No100」だった
さて、ここから登山道まであとどれくらいかな?
と地図を見るまでもなく
眼の前20m程先を登山者が歩いていた
登山道ではないところから私が出てきたので驚かれてしまった
山と高原地図にも”南へ下る踏跡あり注意”と書かれているな
一般登山道・七ツ石小屋からの下段巻道からモノレール終点をみる
なるほど
いままで気づかなかったが、よくよく見れば木々の合間からモノレールが見えているな
ああ、一般登山道は歩きやすいなあ(しみじみ)
ブナ坂の十字路に到着
小休止しよう
終わりかけだが、まだマルバダケブキが咲いていた
何度来ても、ブナ坂はいいとこだな
ヘリポートの先、雲取小屋のテント場に到着
先に心残りを片付けよう
5月にここでツェルトを張った時、ペグを一本抜き忘れてきたのだ
……ない
間違えるはずもなくここだった
誰かが気づいて抜いてくれたのだろうか
それならば、それで良いんだが
町営の奥多摩小屋でテントの受付をして、ビールをもらう
当初の取り壊し予定から1年延長されたが、これが最後の夏なのか
富士山を正面に眺められる、まずまずの場所を確保
今回もツェルトです
何度も張ったからか、我ながらツェルトの設営がうまくなったよなあ
ツェルトの欠点の一つだが、見ての通り結構離した位置にペグを打つ必要がある
そのため一般的なクロスドームテントよりも、広い場所を要求するんだ
お隣と詰めあって設営しなければならないようなテント場だと厳しいものがある
富士山
南アルプスはかろうじて
ビールを飲みながら、日が西へ落ちていくのをずっと眺めていた
18時頃になると流石にTシャツ姿だと寒くなってきて
ツェルトの中に入る
いや、予想よりもだいぶ寒いな?
マットの下にエマージェンシーシートを敷いているが寒い
カッパの上下を着込み、サバイバルシートをかぶって眠りに就く
翌朝
6時前に起きて撤収を始める
今回ペグは軽量のアルミペグで揃えた
鉄釘を一本持ってきて、これで下穴を開けてからならアルミペグでも硬い地面に打てるって寸法よ
6:25出発
10時前の丹波山から来るバスに乗れればありがたいが
七ツ石山に寄っていくとちょっと時間が怪しいかな?
七ツ石山には寄らず、そのまま下山することにする
なんの花だろ(後で気が向いたら調べる)
0902追記、これが萩の花らしい。
これまた奇っ怪な
同じような形で白い花のなら見たことあるような気もするが(これも後で)
センノウ、だったかな?
南アルプスの鳳凰山から御座石温泉に下山したとき、温泉の手前にたくさん咲いていたのを覚えておる
小袖の登山口に下山
時間は……あれ?急いだつもりは無いけど想定より20~30分は早かったな
ん~、1時間近く待つ事になるな
その前のバスはといえば、峰谷橋まで行けば小菅から来るバスを拾えるが……
小袖乗越から峰谷橋まで30分というのは走っても無理だな
せっかく丹波からのバスなのに、鴨沢に降りると座れるかどうか怪しくなるし、
いいや、所畑におりてのんびり支度していよう
なにもない道端の斜面のヤブの中に蛇口
藤倉から御前山に登った時のことを思い出す
ひねってみると弱いが水は出た
ストックの先の土を洗い流させてもらった
所畑に下山
民家が何軒かあるだけのバス停
バスは50分後
のんびり片付けていると、奥多摩駅から丹波へ向かうバスが通っていった
昨日私が乗った便だな
あれが丹波山村まで行って、戻ってくるのを待つわけだ。
水筒に残った水を頭からかぶり、ボディシートで体を拭いてさっぱり
時間も早いし、今回は温泉はなしでも良いかな
帰宅後、道具の手入れ
石混じりの硬い地面にアルミペグを打つため、下穴あけ用に15cmの鉄釘を持っていった
(黄色い細引きを付けているやつ)
結果から言えば下穴開けの役割は果たしが、過信はできない
地中に硬い石があると、そこで止まってしまう
ハンマーでぶっ叩いたが、石を割るほどの力はない
一番上の未使用の釘と比べて、曲がって先端が潰れているのがわかるでしょう
鋼鉄か、鋳鉄のネイルペグで無いとだめかなあ
アルミのVペグは今回初めて使用して、いちばん重要な張り綱に使用したが十分な働きだった
「こんな形のペグは柔らかい土用で、硬い地面には使えないのじゃないか?」
と思っていたのだが
上高地の徳沢のテント場で使っている人を見かけて試してみた
下穴さえ開けておけば、意外とすんなり打てるものなんだね
これは今回の収穫だ
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【七ツ石尾根ルートの注意点】
通称「守屋地図」、正確には『奥多摩登山詳細図(西編)』は必携。
他の地図にはルートが乗っていない。
モノレール沿いに歩くとはいえ、一部モノレールから離れる場所もあり、
しかも本文中に書いたように、一箇所非常に間違えやすい場所がある。
読図に慣れた人ならば、間違えたとしてもすぐに間違えたことを気づけるはずだが、
念の為GPSもあったほうが良いと思う。
マナーというか、登山者の道徳の話になるが。
このルートは一般登山道ではないバリエーションルートであり、
治山関係者が敷設したモノレールに沿って歩くことになる。
なのでモノレールの設備にダメージを与えるようなことは厳に謹んでもらいたい。
具体的にはモノレールのすぐ脇を歩いて地面の土をえぐるようなことは避けるべきだし、モノレールを手すり代わりに掴むようなこともしてはならない。
可能な限り、モノレールから少し離れた場所を歩くべきだろう。
・モノレール始点~A地点
レールの右側を登る
いきなり急登だが、よく周囲をみて歩きやすい場所を探しながら登る
所々薄っすらとだが、ジグザグに登る踏み跡が見える場所もある
モノレールが見えなくなるほど離れる事は無い
・A地点~B地点
モノレールの左の崖沿いを進み、モノレールから離れる
崖の先の分岐から右上の尾根上にジグザグに復帰する
踏み跡もはっきりしていて迷う心配は無いと思う
・B地点~C地点
このルート最大の問題点がここにある
B地点からモノレールの右側の道を歩いていくが、
守屋地図に書かれている「テープ」が非常に分かりにくい
踏み跡は一本道で、尾根上に復帰する踏み跡は無い
そのため注意せずに歩いていると、ゴヘイクボへ向かっていってしまう
(守屋地図で×印の方)
登山者のバリエーションルートとしては、モノレール沿いに踏み跡のない山肌を歩いていくのだが、
部分的に仕事用の作業道と交錯して、部分的に作業道を歩く。
その作業道がなまじ明確な踏み跡であるがために、バリエーションルートへ戻るべきタイミングがわからないのだ。
私としては、B地点からC地点までは守屋地図に従って作業道を歩くのではなく、モノレールから離れずに歩くことを推奨したい。
(下の地図に緑線で記入した)
というか、このルートを下りで歩けば自然とそうなるはずだ。
モノレールの走る尾根筋から、”テープ”の場所に降りていく目印も踏み跡も無いのだから。
・C地点~片倉ゴヘイサスオネ
モノレールの左側を登る。
モノレールから離れる事は無いので道迷いの心配はない。
最後のほうが結構な急傾斜であり、モノレールの脇は木がなく開けている場所もある。
それでいて土が柔らかい所もある。
レールから少し離れて、岩や木の根を頼りにしたい。
下山で使うと滑落しやすいので注意がいる。
・片倉ゴヘイサスオネ~モノレール終点
特に問題はない
ちなみに
守屋地図で×印とされている方へ間違って進むとどうなるのか。
私が少し前に実際歩いてみた結果をオレンジ線で入れてみた。
五兵衛窪を巻くように少しずつ高度を上げていき、隣の尾根筋に乗る。
その場所には潰れた小屋の残骸があり、そこまで道ははっきりとしている。
小屋跡から尾根筋にそって、”片倉ゴヘイサスオネ”看板の場所まで登っていく事になるが、
実は小屋跡の少し上の広い平らな場所で踏み跡が途切れているのだ。
最後の方は踏み跡のない斜面を登って行くことになる。
守屋地図の紫実線ルートと比べてかなりの遠回りになるが、その分傾斜はなだらかで、「急傾斜 注」の難所を迂回できる。
最後まで踏み跡がしっかりついていれば、モノレール沿いよりもこちらのほうが安全なルートになりうるのではないか?と私は感じた。
だが現実に踏み跡がなく、登りではともかく下りでは遭難の危険性がある。
それ故守屋地図では×印を付けざるを得なかったのだろう。
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おまけ
七ツ石尾根のキノコ