2025年8月24日日曜日

2025/8/30(土)~9/2(火) 燧ケ岳・至仏山@尾瀬

これは計画段階メモ
大清水→燧ケ岳→尾瀬ヶ原→至仏山→鳩待峠→戸倉、と反時計回りにめぐり百名山を2座登る予定

■1日目
0635 バスタ新宿
1115 大清水 ※往復9500円支払い済
(1130大清水~1145一ノ瀬 低公害バスあり 1000円)

大清水
↓1:10
一ノ瀬(1420)
↓1:15
三平峠
↓0:40
尾瀬沼

尾瀬沼キャンプ場 予約済 ※現地支払い
尾瀬沼ヒュッテで受付、2000円×2泊

■2日目
尾瀬沼キャンプ場(1660)
↓2:10
長英新道4合目
↓2:10
爼嵓(2346)
↓0:30
柴安嵓(2356)
↓3:40
尾瀬沼キャンプ場

■3日目
尾瀬沼キャンプ場(1660)
↓1:05
沼尻
↓0:40
白砂峠
↓1:20
見晴(下田代十字路)
↓0:30
竜宮十字路
↓1:25
山の鼻

山ノ鼻キャンプ場 予約不要
至仏山荘で受付 1000円

■4日目
山ノ鼻キャンプ場(1410)
↓3:00
至仏山(2228)
↓2:05
鳩待峠(1591)

鳩待峠から戸倉へのバス
35分 1300円
9:30~14:30から毎時30分
※可能なら12:30のに乗りたい

尾瀬ぷらり館 戸倉の湯
600円

15:20 尾瀬戸倉
19:35 バスタ新宿

■用意するもの
現金 1000円札7枚+300円+トイレチップ100円×n回
食料 一日目の分はバスタで買って行く
   二日目以降の行動食+テント食を少し余裕見て
   (8800kcal分を準備)
装備 寝袋は持参せず、上下ジャージとシェラフカバーで対応可能と判断
   下山後の着替え一式に加え汗濡れを想定してもう一式、靴下はさらにもう一足

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以下は実際の帰宅後の記録

目次
■1日目 山の鼻閉鎖
■1日目 一ノ瀬~尾瀬沼キャンプ場
■2日目 燧ケ岳ピストン
■3日目 尾瀬沼~見晴キャンプ場
■4日目 見晴~山の鼻
■4日目 山の鼻~至仏山~鳩待峠
■4日目 下山後



■1日目 山の鼻閉鎖

荷物の最終確認。
今回は行き帰りが高速バスなのでサンダルで行く。
登山靴は荷物。

食料。
1日目の分はバスタのヤマザキでパンを買って行くので、3日分。
日中はポカリをはじめとした行動食で賄うので、朝晩はこれで足りる計算。

水と手回り貴重品を除いて13.8kg。
まあそれなりだ。


王子駅で京浜東北線の電車に乗ったとたんに車内アナウンスが流れる。
東十条~王子間で人身事故の為運転見合わせと。
げぇっ
急いで南北線へ移動、迂回して新宿に向かう。
なんとか発車15分前にはバスタに着けた。
余裕は見ておくものだ。

だがバス車内でネットを見ているととんでもない情報を拾う。
熊出没が相次いだため、山の鼻キャンプ場を当面閉鎖にすると。
これは参ったな。
山の鼻を山小屋泊に切り替えるか?と地図を眺める。
んん、見晴から山の鼻まで約2時間。
ならば見晴キャンプ場に泊まって、最終日は予定より2時間早く出発すればそれでいいか……

バスはバスタ出発時には8名程度。
金曜日夜行のバスは満席だったのだが、朝一のバスはこんなものなのか。
練馬での乗車は0、川越駅西口での乗車が意外といて最終的に20名程度になった。
他の目的地降車の客はいないとのことで、戸倉に直行。
乗客のほとんどは戸倉でおり、大清水まで来たのは2名だけ。
大清水も11:15着予定のところ、10:55頃についた。
するとバスの隣に一ノ瀬行きシャトルバス11:00発のが待機している。
歩いてもいいのだが、せっかくなので乗ってしまおう。
砂利道をガタゴトとゆっくり走る。
大清水~一ノ瀬間は歩いている人もそこそこいた。



■1日目 一ノ瀬~尾瀬沼キャンプ場


そんなわけで一ノ瀬からスタート。




三平峠へ向かって登っていく。
道は整備されているものの、


ところどころ木道階段は傷んでいる。


三平峠。
正面から吹いてくる風の匂いが変わる。
高原の湖畔の、ひんやりとしたあの空気だ。


尾瀬沼に向かって下っていく。


三平下、尾瀬沼南岸に建つ尾瀬沼山荘。
黒い板塀に年季を感じるものの、不思議と貫禄のあるいい建物だ。



湖畔に座って飯をたべつつ、燧ケ岳を眺める。
明日の天気が心配だ。
群馬の片品側の天気予報だと回復傾向なのだが、会津の桧枝岐側の予報だと昼から崩れそうなのだ。




尾瀬沼の南岸から東岸へ。



尾瀬沼ヒュッテでテントの受付。
2泊で4000円。
受付札がベル付き。
受付時間・チェックアウト時間が決まっているものの、連泊の場合は張りっぱなしでOK。


尾瀬沼キャンプ場はウッドデッキであり、区画が限られている為予約制。
このデッキが妙にデカい。
多少大小はあるが、大きめのとこならソロテントを3つは張れそうだ。
元々5.6人用のテントを想定していたのかな。
グループ登山でも一人一張な風習も最近のものだしな。


当然ペグは打てない。
が、よく見ればデッキの隅にこういうアンカーポイントがある。


受付札をかかげ、さっさとサンダルに履き替えてしまう。


デッキは20以上あるが、この日は全部は埋まらなかった。
土曜日だというのに意外だ。





ビジターセンターを覗いてみた。
やはり山の鼻キャンプ場は閉鎖とのこと。
8/28に東電が閉鎖を決めたらしい。



■2日目 燧ケ岳ピストン

朝4:20のテント内は18℃。
やはり寝袋は不要で正解だった。



デカくてきれいな公衆トイレで身支度し、5:15出発。


正面は桧枝岐へ抜ける沼田街道。
左へ折れ、尾瀬沼北岸へ。


長英新道入口。
燧ケ岳ヘはたぶん長英新道が一番楽だろう。
ただ紫安嵓までのピストンでCTが8:30なのが気になっている。
この距離・この標高差で?


緩やかな樹林帯が長い。

元々3年前の転職時に、有休消化中に尾瀬に来るつもりだった。
がその時はなんやかんやあっていきそびれたのだった。
それで手持ちの尾瀬の地図は山と高原地図の2022年版。
そこではCT8:30となっている。
が本棚をあさると2012年版の地図もあった。(なんで買ったのだっけ?)
そこではCT6:30。
昔の山と高原地図というのは作成者のクセが強くでていて、年々そういうったクセが是正される傾向にある。
だが2時間も伸びるのは尋常ではない。
普段の私の足は山高地図CT通りであり、今回も8:30かかるという想定で来ている。
私にとっては重めの山になる。
その為テントを置いての軽身でのピストンで計画を組んだ。


2合目、まだまだ樹林帯。


3号目、特徴的な階段が出てくる。
コの字型に組んだ他では見ないタイプだ。



4合目、道が山っぽくなってくる。
ポカリで給水。


5合目、まだまだ展望が開けない。



水が4.5Lあるとはいえ、どうにも身体が重い。
汗を垂らしながら登る。
リンドウやキリンソウが慰め。


6合目、腰をおろして休憩。
時折後ろから聞こえてきた熊鈴のおじさんが息を切らせながら追いついてきた。
雑談しつつ一緒に休憩する。




7合目の手前にマルバダケブキのお花畑。


7合目、樹木帯から笹藪・ハイマツ帯へ変わる。
ようやくペースも落ち着いてきた。
我ながら遅い立ち上がりだな、とそこで気づく。
いつものルーチンであるカフェイン摂取忘れてた。
とはいえもうお茶もコーヒーも無い。
カフェイン錠剤を飲む。


階段を上がるとようやく稜線にでた。
風が冷たい。
ここが8合目かともおもったのだが。


もう少し先、ナデッ窪との分岐が8合目標識。
雪に潰され押し倒されたナナカマドなどの中の道を行き、


9合目、ここからは岩場になる。



とはいえおっかないとこや難しい動きの必要なとこは無かった。
正解ルートを外しさえしなければ。
一か所、下りだと難しい方に行ってしまいがちなとこはあるが。


爼嵓登頂、真っ白だ。


西側の隣、柴安嵓へ。
しかしすぐ隣にあるはずのそれが真っ白で見えない。
見えないのに急降下していく道に不安になる。
正面から登ってくるおじいさんに「しあんぐらはこっちでいいんですよね?」と思わず聞いてしまう。


鞍部までおりるとようやく薄っすらみえてほっとする。


重い。
夏の8:30想定で水を4.5L持ってきたが、もういらんな。
水を1L強残して残りは捨ててしまう。
うん、だいぶ軽くなった。
判断が遅い。


岩場的にはこちらの方が少しだけやさしい。


燧ケ岳の最高点、柴安嵓に登頂。


景色は諦めてようかんを齧っていると、


風が吹き、山頂の雲を晴らしてくれた。
尾瀬ヶ原を見下ろせた。


爼嵓へ戻る。
今度は隣のピークが見える。
が、見えたら見えたで「あれ登って降りるのか」と嫌になるね。
とはいえペースも落ち着いてテンポよく登れる。
今頃カフェインが回ってきたか。
コーヒーなどと比べて錠剤は効きが遅いのだ。



特に問題なく尾瀬沼へ下山。
やはり下の樹林帯の長さは嫌になるが。
天気予報が群馬側が勝ったようだ。


仙境尾瀬沼花の原

と出てくる程度には私にもまだ上州魂がのこっているのだ。


おぜんちゅ。
尾瀬沼ヒュッテで生ビール。
うめぇ!

結局6:30で行ってこれた。休憩30分程度とってこれなので、CTは2012年版が正当な気もする。
山高地図のCTは年々長くなる傾向にはあるが、2時間も伸びるのは異様だ。
なぜだろう?
尾瀬は老人や子供も来て登ることを想定しているからだろうか。
これが上高地ならば、大正池~明神あたりを散策している観光客が「ついでにちょっとそこの穂高まで」とかありえないけど。
尾瀬は、尾瀬に来ている時点でハイカーなので。

1000円のビールを2杯飲んでしまった。
泣く子と地頭と下山後のビールには勝てぬ。



デッキにマットと枕をだしてゴロンと横になる。
気持ちいい。
ひと眠りすれば汗も乾くだろう。


ふと気づく。
今ならどこのデッキも空いている。
という訳で一番手前のデッキにお引越しした。
手前の方がトイレ水道売店が近いというのもあるが、手前ならばかろうじてドコモの電波が届くのだ。


おゆはん。
マルタイの長崎あごだし醤油ラーメンとモンベルのアルファ米。
アルファ米はそれだけで食べられるようにお茶漬け海苔を持ってきたが、ラーメンスープで雑炊にして食べた。
山ではインスタントラーメン一食では足らないが、かといって二食食べると塩分が多い。
工夫のしどころ。



■3日目 尾瀬沼~見晴キャンプ場

3日目の今日は、予定なら山の鼻まで移動だが。
熊による閉鎖となったので見晴まで。


昨日登った燧ケ岳。


尾瀬沼の北岸を西へ。


燧ケ岳へ南から登るナデッ窪コース。
楽ではなさそう。


西の沼尻。


道のわきを沢が音を立てて流れる。
尾瀬沼の水は西に落ちて尾瀬ヶ原へ注ぎ、尾瀬ヶ原の水は北に落ちて只見川になる。



白砂峠を越えて、尾瀬ヶ原へ下っていく。


親爺、茶をくれ。それと団子だ。
なにっ無いだと??



燧ケ岳へ西から登る見晴新道の入口。
燧ケ岳と至仏山を登るなら3日でもいける。
初日に見晴まで入り、2日目に燧ケ岳へここからピストン、3日目に至仏山。
ただ今回4日の休みがあったので、のんびりすればいいだろうし。
見晴新道の噂のほどはかねがね……、ええ、そのヌチャドロ地獄ぶりは。
ただこうしてみると長英新道とさほど変わらなそう。
同じ山なのだから当たり前だけど。
悪名高い見晴新道も晴れが続いてさえいればさほど悪くはないのかもだ。



見晴に到着。
もっとも多くの山小屋があつまる尾瀬の中心地(?)


この先が見晴キャンプ場か。
しかし受付にはまだ早いかな?


燧小屋に尋ねると受付してくれた。
ついでにチョコを買う。
いや、なんか、食料足らないかなって。


既になん張か。
右手の奥の方が静かそうだが、そっちはがら空き。


うん、ここがいいな。


沢水で身体を洗い、予備の着替えに着替えてしまう。
汗で濡れた服は軽量化の為にも乾かしておく。


見晴休憩所は中は使えないものの、軒下や表のベンチは使える。



昼前からもう酒盛りじゃよ。



蝶がとまり、ぺろぺろ舐めてくる。
こそばゆい。
(すね毛はご容赦)
塩分を求めているのだろうか。
内側の羽根が赤と青の宝石のような美しさだが、一瞬開いてはすぐに閉じる。
チラッとしか見せてくれない。
ああんっ。
キベリタテハ、というらしい。


酒がきれた。
足らん……山小屋の方にふらふらと。
桧枝岐小屋で冷えた栄川とカレーライスを頼む。

向かいの尾瀬小屋のランチはフレンチシェフの作るすごいのがあるらしいが。
私にはこういうのの方が性に合うのです。


尾瀬のトリカブトは背が高い。


明日の至仏山。
早起きしなきゃだ。


おゆはん。
太くないのに煮込み5分。


夕方になると結構テントが増えてきた。
最終的に20張を越える。
平日なのに意外と多い。
山の鼻が閉鎖のあおりでこっちに流れてきているのだろうか。
実際遅めの時間にやってくる人も多かった。

不思議なのはみなこう、木道近くの中央に蝟集してて。
私のように奥に張る人は少ない。
現在この奥の八木沢道が閉鎖中で通る人が居ないのは分かるにしても、なぜそんな中央にあつまる?


と、不思議だったのだが。
この後夜間に理由を知ることになる。

ここは湿原のキャンプ場ゆえ、夜霧と夜露の量がはげしいのだ。
それが木の枝を濡らし、日付が変わる頃には枝からぼたぼたと雨が降っているかのように雫が落ちてくる。
それが結構うるさいし、テントを濡らす。
なるほど、それでか。
木々のそばではなく、上が開けた場所に張るのは。
いやはや、何事にも先達はあらまほしき。



■4日目 見晴~山の鼻

明け方3時過ぎのテント内は13℃。
テント内の結露を乾かす時間が無く、濡れたテントは重くなるので。
そもそも結露しないよう、扉をメッシュにして寝ていたのだ。
なのでこれはほぼ外気温。
それでもやはり寝袋は要らんな。


前述のとおり私のテントの場所は枝から雫が落ちてくるので。
いったんすべての荷物を休憩所の方に持ってきて、そっちで荷物を整理し、朝飯を食べる。
4時も過ぎるとぽつぽつトイレに起きてくる人たちも出てくる。



準備完了、4:41に出発。


空は白んできたが、まだしばらくはヘッデンを点けていく。
木道で滑って湿原にドボンは嫌よ。


振りむけば白砂峠の方から明るくなってくる。


見晴近くの木道は新しかったが、先に進むと更改中。
穴……
暗い時に歩くとこういうのがあるからなあ。


尾瀬の木道の傷みというのはこういう……
丹沢なんかのアイゼンの爪による傷みとはちがって、湿気による腐食なんだな。
木目の沿って、年輪の輪の部分は残りやすく、輪の間の柔らかいところが腐りやすい。


尾瀬ヶ原は巨大な湿原だが、歩いてみると均一な湿原でもない。
浅いとこ・深いとこ・池塘のとこ・川の流れのあるとこ・そして、


そして土があり、陸地のように木が生えているとこ。
ここ竜宮もそんな風に尾瀬ヶ原のド真ん中にぽつんとある。
その木々の中に竜宮小屋。
よくぞここに……
小屋は静かだが灯りは点いていたので人はいるのだろう。


木道が踏み抜かれている。
うへぇ。
この踏み抜き方だと湿原に落ちたな。バシャーンと。
老朽化した木のこと、いつか誰かが外れくじを引くのだろうが。
それというのは軽い人ではなく、私のように重い人になるのだろうな。



実は大失敗してしまった。
木道の両脇からこんな風に草が伸びてきてて。
夜露をたっぷり含んだ草のせいで脚がぬれてしまう。


脚が濡れるだけならいいが、靴下も濡れ、いつの間にか靴の中も濡れてしまった。
朝のうちに尾瀬ヶ原を渡るならば、カッパの下、最低でもロングスパッツが要る。



歩いても歩いても一向に西の山が見えてこない。
サターンやPSの初期の頃の雑なグラフィックのオープンワールドゲームみたいだ。


後ろからようやく陽が登ってくる。


途中の木道更改工事現場。
上は木材だが、基礎と柱はコンクリートの擬木だ。
そりゃそうだろう。
水に浸かれば木材ではすぐにダメになってしまう。
木材だって見ての通り、普通に住宅の柱になるような角材だ。
高いだろうなあ。
具体的には忘れたが、1m単価で結構なお値段になるとか聞いた。



ようやく山の鼻に到着。


ここから至仏山だが、その前に休憩と再度の身支度が要る。


トイレをすませ、水は2Lを確保。


予備の靴下に履き替える。
靴の中が濡れてしまった以上、靴下を変えても焼け石に水ではあるが。
足が濡れてるのはトラブル要因だ。
多少なりとも。
せいぜいこれ以上汗で濡れないよう、ゆっくり登るとしよう。



■4日目 山の鼻~至仏山~鳩待峠

山の鼻から至仏山を経由して鳩待峠までCTで5:05。
12時頃に下山して12:30の戸倉行きシャトルバスに乗りたい。
なのでここを6時半に出発出来たらと思っていた。
だが尾瀬ヶ原の横断に思ったより時間がかかった。

CT設定自体は甘めと思われる一方、ネガティブ要因として
・靴が濡れている
・テント泊装備を背負っての縦走
・例の蛇紋岩とやらがどれほど滑って厄介か


山の鼻から至仏山へは登り一方向。
仏に至る道は片道切符。
いや、捨身業じゃないです。



階段はやや荒れ気味。


というか既に序盤から。
妙にぬるぬる滑るのだけど。
これか?この黒いのが蛇紋岩ってやつか?


陽が照って来た。
いいぞ。
私が上に行くまでに道を乾かしてくれ。



森林限界。
至仏山は蛇紋岩の地質のせいで極端に森林限界が低い。
そしてここより先は下山禁止。
ポイントオブノーリターン。
ルビゴン川。
靴の中で変えた靴下も濡れてきたが、その程度で諦めるはずもなし。
いざゆかん。


後ろをみると尾瀬ヶ原の朝靄も晴れつつある。


ずっと展望が開けてて気持ちがいい。

蛇紋岩は確かに滑るが、スラブなどは切ってある。




道端にたくさん咲いているツリガネニンジン。


ウメバチソウ。


タカネトウウチソウ。


上まで見通せるのはいいが、見通せるということは後の方ほど傾斜がきつくなるということだよね。


汗を流さぬよう、ゆっくりゆっくり歩く。
陽が照ってくれたおかげで道は乾燥している。
にもかかわらず、嘘だろ??というくらい蛇紋岩はスルスル滑る。

ただ見ての通り幅の広い直登の登山道で、高所の岩場とか崖路のトラバースとか、
ツルっと滑るのが即滑落という危険個所は無い。
考えてみればその通りで。
滑って危険だから下りが金にになるくらいなら、上りだって危険だ。
上りも禁止か、さもなくば鎖・梯子・桟道化されるはず。
そうはなっていないということは、まあそれほど危なくはないはず。


だんだんコツが分かってきた。
すべての蛇紋岩が問答無用に滑るわけではなく、こうして多くの人に踏まれて磨耗して黒色が出た箇所が滑る。
それ以外はそれなりにフリクションが効くし、磨耗した黒いとこも足の置き方を気をつければ対応可能。
冬の凍結路と同じ、フラットフッティングの基本を守ればいいのですよ。


とはいえガレた道のこと。
必ずしもフラットフッティングを守れる訳でもない。
膝に力を溜めて、爪先で身体を持ち上げないといけない場面も多い。
そんな時に滑ったら厄介だ。
ではどうするか。
四つん這いになって手で三点支持するのです。
この程度の傾斜で?とは思うが、ここでは必要なこと。

ちなみに私はダブルストックを短くして使った。
キャップは外して石突を出してね。


鎖1/3


鎖2/3
まあ、要らないよね。


階段化されてるところは安心して歩ける。


横を向く。
この程度の斜度。


鎖3/3
ここはまあ、スラブに足を置くなら確かに鎖を掴みたいが。
右手の割れた方を掴みながら登った方が安全かな。


ゆっくり登っているせいでペースは調子がいい。



これが蛇紋岩の”蛇紋”だろうか。
岩の中に蛇が走っている、ないし蛇の文様のような。


8~9合目くらい?
高天原という少し平坦な休憩場所。
抜きつ抜かれつしているおじさんたちとはげましあう。


ようかんでも食うか、とザックをあさっているとトンボがとまる。
虫に好かれる右手だ。


最期のひと登りで。


至りました。
美しい山だ。


南方向
小至仏山と、右後ろの大きな山塊は一昨年登った上州武尊だろうか。


南東方向。
下山地点の鳩待峠が見える。


東方向
尾瀬ヶ原と燧ケ岳。
左手に会津駒ケ岳。


西方向
下にならまた湖。
谷川のほうは霞んでよく分からない。


北方向
越後三山……だがそっちの山は詳しくなくて。地図見ないと分からないや。


では南へ。


小至仏山へ。
2000m級でこのアルプス感!



すこしばかり岩場の小至仏山を越えたらあとは下るのみ。


とはいえ下りの蛇紋岩だ。
滑らないよう、慎重に。


笠ヶ岳への分岐。
時間をみるとCTを超過している。
12:30のバスは諦めるか。

元々15:20戸倉のバスを買ってある。
鳩待峠12:30のシャトルバスで13:00戸倉に出ればだいぶ温泉でゆっくりできるという算段。
まあ鳩待峠13:30でも温泉には浸かれる。
14:30だともう風呂キャンセルだが。


写真を撮ってなかったが、鳩待峠に向かって東に進む道もなかなか気が抜けなかった。
道が稜線上ではなく稜線の南側を通るのだが、そこが木道化されている。
ところが笹藪で足元が良く見えないのに、その木道が谷側に傾いていたり、傷んでいたり。
集中力を切ることができい。
あと3.0kmの標識あたりでようやく穏やかな山道になる。

結局鳩待峠まで8時間近くかかった。
尾瀬ヶ原はCT通りだったので……
5:05の至仏山に6時間近くかかったことになる。
まあいいさ、レースやってる訳じゃない。
花の一つ、山の特徴の一つも覚えずして何が山かってなもんですよ。



■4日目 下山後

鳩待峠に建つ真新しい2棟。
ああ、これが例の星野リゾートの。
9/1から営業開始。
実は山の鼻キャンプ場閉鎖を聞いた時、3日目にここまできて星野に泊まって至仏山はピストンという案も思いついたのだけど。
宿泊予約はずっと先まで埋まってるのですな。
しかも値段が高い。


閉店した旧休憩所。
扉は開いていて、座って休むことはまだできるみたい。

星野の新しいカフェの方の横のコインロッカーにバスの券売機があった。
そこで乗車券を買い、下の駐車場へ。
シャトルバスというのはワゴン車で、何台も待機している。
定時以外でも、1台分(8名)の客待ちが溜まった時点で随時発車してくれる。
13:10頃に発車し、13:40頃に戸倉第一駐車場へ。



戸倉の湯は観光協会の建物の中にある。
柔らかめのぬるぬる湯ながら10分も浸かっていると立ち眩みがした。
ここには食堂は無いので。


新宿行のバス停にきた。
14:30の便でも間に合ったな。
まあ今からではもう変更も効かない時間なので。


向かいの飯屋でご飯でも……と思ったら休業中。
三軒隣の酒屋さんへ行く。


バスが来るまでの45分、地酒を飲んで待つとしよう。


水芭蕉の夏酒、純米吟醸生貯蔵。
香りがたまらん。
川沿いを吹き抜ける風がなによりのツマミ。
まあツマミは食うけど。


2本目はノーマルな純米大吟醸。
どっちもちょっといい奴。
だけど町の酒屋さんにみえて、一合瓶で2000円を超えるやつがあった。
さすがの永井酒造、強気だなあ。
それを置いてる酒屋さんも。

新宿行のバスは渋滞も無く、予定より早くに着いた。
行きと同じく川越駅で下車する人の方が多かった。

燧ケ岳も至仏山も素晴らしい山だった。
だが登山抜きでも尾瀬はすばらしいな。
正直に言うと、山に登らぬ尾瀬など老人の行くとこだ、という偏見はあったかもしれない。
贅沢な飯と酒とチェアなど担いで、ゆったりキャンプしに行くのもいいかもしれないな。

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